『マイティ・ソー バトルロイヤル』 MCU一気通貫レビューvol.17:紅白戦のあとは、ヒーロー両横綱のぶつかり稽古か

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『マイティ・ソー バトルロイヤル』 
Thor: Ragnarok

マーベルMCUレビュー。ロキが裏切るのも飽きてきたと思ってたら、ソーがネタにするとは。父の威厳も落ち、姉も加わっての大兄弟喧嘩が勃発。コメディタッチのMCUが見たい人には向いているかも。

公開:2017 年  時間:130分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:     タイカ・ワイティティ
          
キャスト 
ソー:      クリス・ヘムズワース
ロキ:       トム・ヒドルストン
ヘラ:     ケイト・ブランシェット
ヘイムダル:     イドリス・エルバ
グランドマスター:
        ジェフ・ゴールドブラム
ヴァルキリー:   テッサ・トンプソン
スカージ:      カール・アーバン
ストレンジ:
     ベネディクト・カンバーバッチ
ホーガン:          浅野忠信
ブルース・バナー:  マーク・ラファロ
オーディン:  アンソニー・ホプキンス

勝手に評点:2.5
(悪くはないけど)

(C)Marvel Studios 2017 All rights reserved.

あらすじ

人工知能ウルトロンとアベンジャーズとの戦いから2年、アスガルドを追放された父オーディンを捜しにニューヨークへやってきたソー。

だが、突如として現れた強大な敵ヘラによって宇宙の果ての惑星に飛ばされてしまう。

その星で行われていた格闘大会に出場させられたソーは、対戦相手として盟友ハルクと再会。

危機を乗り切った二人はヘラを倒すためアスガルドへ向かい、わけありの女戦士ヴァルキリー、そして宿敵であるロキも仲間に加え、チームを組んでヘラに挑む。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

濃いめなコメディタッチは好きになれない

前作の『スパイダーマン:ホームカミング』に続き本作と、ついにMCUは低迷期に入ってしまったと公開当時に危機感を感じたのを思い出す。この後に『ブラックパンサー』がなければ、このまま愛想を尽かしそうだった。

原題はラグナロク。アスガルドがスルトの炎により焼き尽くされ滅ぶという言い伝えが、物語のベースになっている。

邦題を変えたのは、日本では馴染みがないからかと思っていたが、どうも権利の関係らしい。まあ、そういうことなら、この邦題も悪くはない。

(C)Marvel Studios 2017 All rights reserved.

私が本作で生理的に馴染めなかったのが、何といってもコメディ―濃度の高さだ。

シリアスなバトルアクションにおいて、ちょっとした軽口を叩いたり笑いを取る要素を入れるのは、十分ありだと思うし、むしろ好きな方だ。

だが、それはやはり隠し味程度が好ましく、本作においては、あまりに頻繁にギャグを入れ過ぎている。

いわば、ショーン・コネリーの時代からロジャー・ムーアの後半に移るにつれ、次第にお笑いエンタメと化した頃のジェームズ・ボンドだ。それが好きな人には好まれる作品なのかもしれないが、私は嫌い、ということである。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』もコメディ濃度は高めだったが、あれはMCUとしては異端児揃いだから許されるあそびなのだ。一軍のレギュラーであるソーやロキ、ハルクが彼らの真似をしてはいけない。

『アベンジャーズ』のラストでハルクがロキをこてんぱんに叩きのめすシーンがメチャクチャ面白かったのは、そこまで彼らがシリアス路線でいたからこそだと思う。

タイカ・ワイティティ監督は、『ジョジョ・ラビット』は良い出来だったけれど、このコメディタッチは苦手だ。ソーの次回作でも監督やるそうなので、ぜひトーンを変えてほしいと願う。

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ぶつかり稽古に時間を割かなくてよいのに

懐かしのマックス・ヘッドルーム(知らない?)みたいな映像が楽しいグランドマスター(ジェフ・ゴールドブラム)が支配する惑星で、奴隷として身売りされたソーが挑戦者としてチャンピオンのハルクと戦うこれがバトル・ロイヤルだ

『シビル・ウォー:キャプテン・アメリカ』にはパワーバランスが崩れてしまうので登場しなかった、力自慢の二人の対決。でも見応えがあるとはいえ、所詮は仲間同士のぶつかり稽古。大して盛り上がらない割には時間を費やしている。

本筋と大して関係ないバトルに長尺を割くあたり、『スターウォーズ・エピソード1』アナキン少年のポッドレースを思い出す。

アズガルドのロキが主役の茶番劇も、クリスの兄ルーク・ヘムズワースサム・ニール、マット・デイモンの豪華キャストは面白いが、ちょっと長かったかな。

ヘラとの対決までに話が飛び過ぎて疲れた

さて、本作は話があちこち飛び過ぎてそれぞれ中途半端に終わっている。

ドクター・ストレンジの絡み方もとってつけたようだったり、偉大なる国王オーディン(アンソニー・ホプキンスが、9つの世界を統治するのに人に言えない過去があったり。

本作のヴィランであるソーの姉・ヘラも、最後どう死んだのか(死んでないのか)あまり記憶にない分かりにくさ。おまけに、エンドクレジットのサノスの宇宙船も、無理やり加えた感じだ。

ヘラはせっかくのケイト・ブランシェット起用だったが、すっかりディズニーのマレフィセントのようにみえる。最後に復活したスルトの燃え上がる姿も、庵野の巨神兵みたいだったけど。

(C)Marvel Studios 2017 All rights reserved.

今回はソーもロキも見せ場を作れずじまい

今回は割と仲の良いソーとロキが並んで戦う姿は、時に平成ライダー風であり、時にMIB風であり、それなりにカッコいい。ただ、いつもは軽妙さが冴えるロキも、今回はソーが軽すぎるので、やりづらそうだ。

「お前は信用すると裏切る」と手のうちは兄に読まれているし、<助けて>作戦はあまりに幼稚だ。ロキが本物か投影かを見極めるために、ソーがモノを投げるパターンも、どこかしつこい。

ハルクに関しては、あまり語るところもないのだけれど、知能が上がってハルクに変身した状態で会話ができるようになってしまうと、バナーの存在価値が低くなってしまうようで、ちょっと寂しい気がした。

本作で拾い物だったのは、新キャラのヴァルキリー(テッサ・トンプソン)と毎度渋い活躍のヘイムダル(イドリス・エルバ。それから、ヘラに殺されちゃったけど、最後まで勇敢だったホーガン(浅野忠信)といったところかな。

そうそう。スタン・リーが嫌がるソーをショートヘアに散髪してしまうのは、面白かった。彼のカメオ出演で笑えたのは初めてかもしれない。