『スパイダーマン:ホームカミング』 MCU一気通貫レビューvol.16:君は舎弟より愛すべき隣人のままでいてほしい

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『スパイダーマン:ホームカミング』 
Spider-Man: Homecoming

完全にアイアンマンの舎弟扱いのピーター・パーカー。学園青春ドラマのテイストが入るのは斬新だけど。今回のヴィランはさすがマイケル・キートン、感情移入できてしまう。

公開:2017 年  時間:133分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:       ジョン・ワッツ

キャスト 
ピーター・パーカー/スパイダーマン:
            トム・ホランド
エイドリアン・トゥームス/バルチャー:
          マイケル・キートン
トニー・スターク/アイアンマン:
       ロバート・ダウニーJr.
ミシェル・ジョーンズ:   ゼンデイヤ
ネッド・リーズ: ジェイコブ・バタロン
リズ・トゥームス:  ローラ・ハリアー
フラッシュ:    トニー・レヴォロリ
メイ・パーカー:    マリサ・トメイ
ハーマン・シュルツ/ ショッカー:
        ボキーム・ウッドバイン
フィニアス・メイソン/ ティンカラー:
         マイケル・チャーナス
マック・ガーガン:  マイケル・マンド
ハッピー・ホーガン:ジョン・ファヴロー
ペッパー:   グウィネス・パルトロー

勝手に評点:2.5
(悪くはないけど)

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

あらすじ

ベルリンでのアベンジャーズ同士の戦いに参加し、キャプテン・アメリカのシールドを奪ったことに興奮するスパイダーマンこと15歳の高校生ピーター・パーカー。

ニューヨークに戻ったあとも、トニー・スタークからもらった特製スーツを駆使し、放課後の部活のノリで街を救う活動にいそしんでいた。

そんなニューヨークの街に、トニー・スタークに恨みを抱く謎の敵バルチャーが出現。ヒーローとして認めてもらい、アベンジャーズの仲間入りをしたいピーターは、トニーの忠告を無視してひとりで戦いに挑む。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

なぜ、舎弟なんだ。ピーター

『シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ』で初参戦したスパイダーマンの単独作品。ソニー・ピクチャーズが映画化権を持つが、高校生ヒーロー一人では採算ベースに乗せるのもおぼつかず、大人の事情でMCUに合流する運びとなった。

そんなことは映画を観るにあたって関係ない話と思っていたが、MCUの作品なのにディズニープラスでは配信されていないと分かり、ちょっと驚いた。

そんな本籍地の違いのせいではないだろうが、本作はこれまでのMCUとは少々毛色が違う。ノリが軽いのと学園ドラマ風なのは、ピーターが高校生なのだから全然問題ない。

私が何度観ても馴染めないのは、スパイダーマンがアイアンマンの舎弟扱いだということだ。

『シビル・ウォー』の中では、全体バランスからも無理もない上下関係だと思うが、スパイダーマンの冠がついた映画である以上、この扱いは可哀想ではないか。

サム・ライミ監督とトビー・マグワイアの時代から、数々のヒット作を生んでいるヒーローなのだ。もう少し敬意を払ってくれ、と言いたい。

トニー・スタークが高級なスーツ(トム・フォードじゃないよ)を作ってくれたもんだから、ピーターのお手製のスパイダースーツは冗談みたいな冴えない代物に見える。

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彼をヴィランと呼ぶのは抵抗がある

本作で一番光っていたのは、ヴィランであるバルチャー(マイケル・キートン)だと思う。

『バットマン』から『バードマン』まで主役を張ってきた役者魂。近作では『シカゴ7裁判』が迫力あったな。どうしてもピーターが小便臭いガキに見えてしまう(いや、トム・ホランドは悪くないのだけど)。

エイドリアン・トゥームス(=バルチャー)が、自社で請け負っていた残骸処理作業(NY決戦のチタウリの残骸)をダメージ・コントロール局に高圧的に取り上げられてしまったことで、裏で糸を引くスターク社に報復を企む。

『アイアンマン2』のウィップ・ラッシュ(ミッキー・ローク)や『アイアンマン3』のキリアン(ガイ・ピアース)がトニーに逆恨みしたことに比べれば、バルチャーの方が余程同情の余地がある。

ウィング・スーツを使いこなしてしまうスキルも凄いし、妻と娘を大切にしている家庭人であるところも、これまでにないキャラだ。共感してしまう。

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

親愛なる隣人・ピーター

一方、ピーター・パーカーの方はどうだ。クラスに憧れの女の子リズ(ローラ・ハリアー)がいて、正体がバレても付き合ってくれる親友ネッド(ジェイコブ・バタロン)がいて、学園生活の描写はなかなか楽しい。

いつも冷静に彼を観察している孤独な娘MJ(ゼンデイヤ)と、お調子者のいじめっ子フラッシュ(トニー・レヴォロリはあの傑作『グランド・ブダペスト・ホテル』の少年)もいいバランス。

スパイディーは<親愛なる隣人>だから、クイーンズ界隈の自転車や自動車盗難とかを頑張って退治するのも重要任務。

ただ、マンハッタンのビル街をクモの糸でターザンのように動き回る姿の臨場感と興奮は、本作よりも『アメイジング・スパイダーマン』の方が強かった気がする(記憶頼りだけれど)。

親友ネッドがあれこれ知恵とハッキングのスキルを使って、ピーターをサポート。本人の希望通り、あれこれ指示して助ける<椅子の男>になっている。それはそれで楽しい。

マッチポンプになっていないかい

だが、何とも複雑な気持ちなのは、ワシントンDCのモニュメントタワーの上でエレベーターが爆発したり、はたまたフェリーが真っ二つに裂けて沈みそうになったり、これらの大惨事は冷静に考えるとピーター達が引き起したようなものでは? 

そうなると、アイアンマンがたまらずに指導に走りたくなったのも無理はない。

また、こんなことを思うのは私だけかもしれないが、スパイダーマンのクモの糸だけで裂けたフェリーを元通りにしたり、或いは落下するエレベーターを引き上げたりするのは、あまりに荒唐無稽で力学的にムチャに思える。

空想ヒーローものに対して文句をいう筋の話ではないが、アベンジャーズの他のヒーローたちの繰り出す技にはあまり違和感を覚えないのに、なぜかスパイダーマンのアクションだけは引っかかるのだ。

(C)Marvel Studios 2017. (C)2017 CTMG. All Rights Reserved.

逆さまキスがあっても良かった?

ジョン・ワッツ監督は絶対意識していると思うが、本作は、ジョン・ヒューズの学園ものみたいに観るのが正解なのではないか。

好きな女の子のパパと殴り合いの喧嘩になっても、身の危険を感じたら助けてあげるのが、健全な高校生の振る舞いなのだ。

でもヒューズ路線なら、トビー・マグワイヤ時代のピーターが彼女(キルスティン・ダンスト)と交わした逆さまキスを、モニュメント・タワーで再現してくれても良かったのに。

ラストの刑務所のシーンは、娘と、そして自分をも助けてくれたピーターへの、バルチャーの精一杯の謝意マイケル・キートン、安易な続編への出演は好きじゃないらしいけど、また出てきてくれないかな。