『キャプテンアメリカ ウィンターソルジャー』MCU一気通貫レビュー09

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『キャプテン・アメリカ/ウィンター・ソルジャー』 
 Captain America: The Winter Soldier

死んだはずの親友バッキーが最強の敵として登場。スティーブの葛藤。アクション抜きの陰謀ものとしても完成度が高い。加えてのヒーローアクションで、もう言うことなし。


公開:2014 年  時間:136分  
製作国:アメリカ
  

スタッフ 
監督:   アンソニー・ルッソ

            ジョー・ルッソ

キャスト 
スティーブ・ロジャース: 

         クリス・エヴァンス
ナターシャ・ロマノフ:

       スカーレット・ヨハンソン

バッキー・バーンズ:  

        セバスチャン・スタン
サム・ウィルソン/ ファルコン:    

        アンソニー・マッキー
ニック・フューリー:

      サミュエル・L・ジャクソン
マリア・ヒル:  コビー・スマルダーズ
アレクサンダー・ピアース:

       ロバート・レッドフォード
ブロック・ラムロウ: フランク・グリロ
ジャスパー・シットウェル:

    マキシミリアーノ・ヘルナンデス
アーニム・ゾラ:  トビー・ジョーンズ
シャロン・カーター:

       エミリー・ヴァンキャンプ
ペギー・カーター:ヘイリー・アトウェル

勝手に評点:4.0(オススメ!)

(C)2014 Marvel. All Rights Reserved.

あらすじ

ブラック・ウィドウやニック・フューリーらとともに、S.H.I.E.L.D.の一員として任務の数々にあたっていたキャプテン・アメリカ。

仲間であるはずのS.H.I.E.L.D.から襲撃され、誰が本当の敵なのかわからないまま逃亡者となる。

そんなキャプテン・アメリカを最強の暗殺者ウィンター・ソルジャーが追いつめるが、その姿は70年前に死んだはずの親友バッキー・バーンズのものだった。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

『アベンジャーズ』とは違う面白さを発見

『アベンジャーズ』から数年後のヒーローの活躍を描いたこれまでの2作品には少々物足りなさを感じたが、本作は一つの映画としてとても満足できる仕上がり

ルッソ兄弟の志が高いのだろうか。キャプテン・アメリカの映画としては、『ザ・ファースト・アベンジャー』の歴史とエンタメを融合させた完成度を私は高く評価しているが、本作は続編として新たな境地に挑んでいる。

いきなりのネタバレになるが、面白味としては、まずは新キャラ、旧キャラの登場をあげたい。

そう、何といっても『ザ・ファースト・アベンジャー』で谷底に落ちて死んだはずのバッキー。このスティーブの唯一無二の親友が、ウィンター・ソルジャーとして、彼らを攻撃する。

マスクが外れて正体が明かされたシーンは興奮もの。強くてクール。厳密にはヴィランではないが、敵の名前がタイトルに入ったMCU作品は本作のみというのも納得。

本来は善玉なのに、正義と悪の狭間で苦しむ悲劇性が、人造人間キカイダーを思わせる(或いはアンパンマンに出てくるロールパンナでもよいが)。

ゾラ博士やペギー・カーターも、死んでいなかったのねという登場で驚く。

ゾラは古めかしい磁気テープが回る大型コンピュータの中で現れる点がユニーク。ペギーはスティーブと再会できて良かったが、老衰でベッド生活なのが物悲しい。

冒頭のランニングシーンから登場のサムは、ファルコンとして本作では大活躍の新キャラだが、何より孤高の人であるスティーブに、現代でも親友ができたことが嬉しい。

(C)2014 Marvel. All Rights Reserved.

バトルアクションのバランスの良さ

本作のバトルアクションも気に入っている。キャプテンがフリスビーのように盾を投げるスタイルは不変だが、格闘のスタイルは近代的になってきている。

好みの問題だが、アイアンマンのロボットファイトよりは、生身のぶつかり合いの方が迫力がある。

また、そこに、ナターシャの華麗な身のこなしと乱れ撃ちファルコンの空中を舞いながらの攻撃という組み合わせも、映画的にはバランスがよい。トニー・スタークとローディが同じようなパワードスーツを着るような重複感がないのだ。

スティーブVSバッキー、サムVSラムロウ、ナターシャVSピアースという対戦相手の組み合わせも、どれも勝負が拮抗するようになっていて飽きさせない。

(C)2014 Marvel. All Rights Reserved.

組織の陰謀ものというMCUの新境地に挑戦

ポリティカル・スリラーにしたいというルッソ兄弟の構想も結実している。ヒーロー抜きの陰謀ものとして見ても楽しめる内容だ。

所属している組織の上層部に敵がいるというパターンは、デパルマ監督が『ミッション・インポッシブル』の1作目でやってコアなファンから酷評された手だ。

1回きりの禁じ手だが、本作ではうまく活用できたのではないか。スティーブがS.H.I.E.L.D.に襲われたり、ニック・フューリーが珍しく動揺したりするのも貴重。

それにしてもS.H.I.E.L.D.内にあんなにヒドラが浸食しているなんて。

ピアースロバート・レッドフォードとは、まんまと善人と思い込まされてしまった。ファルコン、いや、『コンドル』のオマージュらしい。

スキンヘッドのジャスパー・シットウェルがヒドラの一員だったのは驚いたが、そう言われれば過去作でもやや冷淡な印象で、造反も納得。コールソンがもし過去作で殉職してなかったら、ヒドラの一員にさせられてたかも。

インサイト計画でヘリキャリアの発進を強行しようとするラムロウたちのヒドラ党員と、土壇場でスティーブに事実を知らされそれを阻止するS.H.I.E.L.D.職員の戦いが感動的だ。

特に、スティーブの隣人13号ことエージェント13のシャロンに惚れ惚れ。彼女は次回作にも登場する。

もはや現実でもあり得るかインサイト計画

このインサイト計画は、ゾラの頭脳によるデータマイニングで潜在的な敵を予め空から射殺してしまうという、007に出てきそうな、ちょっと荒唐無稽な内容

まあ、スペクターもヒドラもともにタコさんマークの組織だが。マンガ的だけれど、コミックなのだから、当たり前か。

民衆を恐怖で支配するインサイト計画は、たとえS.H.I.E.L.D.が推進していても拒絶する。そして、親友バッキーに対しては、「君とは戦わない」と毅然と言い放つ。スティーブは常に、自分の良心と信念に忠実だ。

気絶したままバッキーに水中から引き上げられて戦いが終わっても、なおカッコいいヒーローなのだ。

ラストの数分は次回につながるネタの連発だ。バッキーは正気に戻った、ラムロウは生き永らえた。そしてヒドラは、双子の超能力者を手に入れた。

このピエトロとワンダの登場で、いよいよX-MENもからんできそう。そういえば、壁を次々に突き破ってバッキーを追うスティーブも、X-MENの壁抜け少女みたいだった。