4年ぶりに帰ってきたスパイダーマンが、MJもネッドもピーターの記憶は消されたまま、パニッシャーと大暴れ
『スパイダーマン:ブランド・ニュー・デイ』
Spider-Man: Brand New Day
公開:2026 年 時間:145分
製作国:アメリカ
スタッフ
監督:デスティン・ダニエル・クレットン
キャスト
ピーター・パーカー/ スパイダーマン:
トム・ホランド
フランク・キャッスル/ パニッシャー:
ジョン・バーンサル
ブルース・バナー/ ハルク:
マーク・ラファロ
マック・ガーガン/ スコーピオン:
マイケル・マンド
ミシェル・ジョーンズ(MJ):ゼンデイヤ
ネッド・リーズ: ジェイコブ・バタロン
メイ・パーカー: マリサ・トメイ
メッツガー局長: トラメル・ティルマン
デウォルフ刑事:ライザ・コロン=ザヤス
勝手に評点:
(一見の価値あり)

コンテンツ
あらすじ
愛する人たちを守るため、全世界の人々から自分の存在の記憶を抹消する道を選んだピーター・パーカー(トム・ホランド)。
自分のことを誰も知らないニューヨークで孤独に暮らしながら、スパイダーマンとして犯罪と戦い、街の人々を守ることに全力を尽くす日々を過ごしていた。
しかし人々のスパイダーマンへの期待が高まるにつれ、そのプレッシャーが彼の存在そのものを脅かし、命に関わる身体的変異を引き起こしてしまう。時を同じくして、街では不可解な犯罪が頻発し、かつてない脅威がスパイダーマンに迫る。
一気通貫レビュー(まずはネタバレなし)
忘れられた親愛なる隣人
前作『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』(2022)から4年後が舞台というのは、まさに現実社会とも重なる設定。オタクな親友ネッド(ジェイコブ・バタロン)と恋人MJ(ゼンデイヤ)はともに前作で合格したMITで学生生活を送り、就活中の状況。
そして、彼らを守るために、人々から自分の記憶を消し去ることを選んだピーター・パーカー(トム・ホランド)は、唯一の身寄りであったメイおばさん(マリサ・トメイ)も前作で亡くし、真に孤独になってNYの犯罪撲滅に日々奔走している。

スパイダーマンは町のヒーローだが、ピーターは知人の誰からも忘れられた存在になっているという前作ラストからの設定は、この最新作でも全編を通じて堅持されている。都合よく設定を忘れては新機軸を打ち出すMCUにしては、よく頑張った。
監督はデスティン・ダニエル・クレットン。MCUでも屈指の地味な作品『シャン・チー/テン・リングスの伝説』以来のメガホンとなったが、今回はアクションの派手さも若者ヒーローの悲哀もバランスよく取り込んでおり、さすが量産体制のMCUの中でもスパイディーの作品は別格だと一安心。
パニッシャーとのバディ感
孤独に町の平和を守るピーターだが、気心の知れたNY市警の女刑事ジーン・デウォルフ(ライザ・コロン=ザヤス)という存在がいる。バットマンにおけるゴードン刑事のようなものか。正体はまだ知られていない。

そして、本作では力強いバディとなってくれるのがパニッシャーことフランク・キャッスル(ジョン・バーンサル)。元米国海兵隊武装偵察部隊に所属のマッチョな処刑人。
MCUでは『Marvel デアデビル』から『Marvel パニッシャー』とDisney+のドラマで活躍中らしいが、ドラマは脱落して久しいので私は本作で初めての出会いとなった。
この超人ではないが戦闘能力のすこぶる高い銃火器の使い手は、ネバネバのウェブシューターだけで悪と戦うピーターとはなかなか相性もよさそう。
演じているジョン・バーンサルは、ノーラン監督の最新作『オデュッセイア』でもトム・ホランドやゼンデイヤと共演しているようで、こちらも公開が待ち遠しい。
さて、今回のメインヴィランは誰なのだろう。巨大な鋼鉄の尾っぽを巧みに操って攻撃するスコーピオン(マイケル・マンド)は登場するが、こいつとのバトルは前作のドクターオクトパスにちょっと似ていて、新鮮味には欠けるなあ。
そう思っていたところに新たに登場する敵が、かなり手ごわそうで期待が持てる。なにせ、まったく姿を現さない。周囲の人間の頭の中に憑依し、その近くにいる別の誰かから誰かへと、瞬時に飛び移っては、その人物を操っていくという恐ろしい敵だ。
町にいる大勢の人たちから次々に人が移り変わって、奇異な動きや攻撃を仕掛けてきたり、時にはピーターに囁きかけてきたりする。この映像表現は実によくできていて、興奮ものだった。
『マトリックス』でエージェント・スミスが大量発生したり、或いは『ジョン・ウィック』で町中の殺し屋たちが次々と襲ってきたりするのとは、また一味違う面白さ。これAIで作ってるのかな。エキストラが演じてるのなら、大したものだ。
他のMCUメンバーの登場
MCUの他のメンバーとしては、前作のドクター・ストレンジに変わり、今回は大学で教鞭をとるバナー博士(マーク・ラファロ)がハルクになって登場。
意外なところでは、2代目ブラックウィドウ(フローレンス・ピュー)が『サンダーボルツ*』に続いてのカメオ出演。スパイダーマンの世界観を大事にするなら、MCUメンバーの活躍度合いはこのくらいで丁度いい。
◇
あと、赤い装束で身を包んだ忍者軍団みたいのがでてきて対戦するのだが、ワイヤーアクション満載のこのバトルもなかなかの見ごたえあり。
空を飛べるわけでもない連中が、仲間の背中に次々と飛び乗って宙を舞う姿が、曲芸のようで楽しい。この監督は『シャン・チー/テン・リングスの伝説』でも、この手の忍者系アクションがあったような。

精神的な影響なのかしらんが、途中で本来のクモ由来の特殊能力が発揮できなくなるピーターが、今回も常人と超人の間をさまよいながら戦う羽目になる。
そもそもクモに噛まれただけでここまでの能力を備えてしまった彼なりの宿命なのだろうが、ピーターはよくこういう憂き目に遭遇する気がする。他のマーベルヒーローではあまり見られない現象ではないか。
◇
全体を振り返ると、さすがに『スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホーム』の満足感には及ばなかったものの、バトルアクションの躍動感もピーター・パーカーの孤独や苦悩もひっくるめて、手堅くまとめた作品になっていたのではないか。
一気通貫レビュー(ここからネタバレ)
ここからネタバレしている部分がありますので未見の方はご留意ください。
ここで触れるのは、メインヴィランの正体になるので、知りたくない方は先に進まないようお願いします。
とはいえ、その名を知らない人にはピンとこないかもしれないが、なんと、人の頭の中を次々と乗り移っていった敵の正体は、ジーン・グレイ(セイディー・シンク)だったのだ。
その名が判明してもピーターたちは反応しないが、『X-men』の世界では最強のミュータントとして知られる。
◇
MCUにX-Menがどのように合流してくるのかは、長年注目されるトピックだった。
スカーレット・ウィッチやクイックシルバーはアベンジャーズに絡んでたし、ウルヴァリンもデッドプールとともにちゃっかりMCUに参入しているが、プロフェッサーXは『ドクター・ストレンジ/マルチバース・オブ・マッドネス』に突如登場した程度。
ずいぶんと焦らされてきたけれど、ジーン・グレイがメインヴィランで登場となれば、この先に本格的なクロスオーバーがあり得るか。
更に驚いたのは、ジーンは最強とはいえヴィランになるには違和感があったわけだが、真に悪党なのは、彼女に襲われたと被害者ヅラしていたダメージ・コントロール局の方だったのだ。
ということは、ピーターが2時間かけて平和のために戦ってきた相手が、実は間違っていたということになり、これも衝撃的な展開。
これだけの大きなネタだから、中途半端なところでエンドマークがでるのも覚悟していたが、意外と最後はきれいにまとまった。
スパイダーマンがNYの市民に愛されている様子がわかるのも泣ける。これだけ世間に愛されているマーベルヒーローも珍しい。
