『ゴジラ-0.0』考察とネタバレ|江戸の敵を松本で討つ

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『ゴジラ-0.0』

山﨑貴監督が『ゴジラ-1.0』に続いて贈る第2弾。三度目はない。ここですべて終わらせる。

公開:2026年  監督:山崎貴
時間:135分  製作国:日本

勝手に評点:4.0

© 2026 TOHO

あらすじ

戦争によって「無(ゼロ)」となった日本を、ゴジラが「負(マイナス)」に叩き落としてから2年。もがき苦しみながらも復興を遂げ、ようやく取り戻したはずの日常に、再びゴジラが襲いかかる。

レビュー(若干ネタバレ)

いよいよタイトルの由来が分からなくなってきたこの『ゴジラ-0.0』。「三度目はない。ここですべて終わらせる」というキャッチコピーは、もう『ゴジラ+1.0』には続かないよという宣言なのか。

ともあれ、山崎貴監督のもと主要キャストも前回と同じ、しかも今度は本邦初の「Filmed For IMAX」仕様だといわれれば、初日に観ない訳にはいかない。ちなみにIMAX上映館では期間限定のオープニング映像「IMAXカウントダウン」でゴジラのコラボが観られる。ここからもうテンションは上がる。

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ちょっとネタバレさせてもらうと、今回はゴジラの天敵ともいえるキングギドラが登場する。

『ゴジラ-1.0』では大戸島の襲撃で序盤すぐにゴジラが出現したことで、山崎監督の出し惜しみしないサービス精神を感じたが、本作は更に大盤振る舞い。もう冒頭から、ギドラが松本市街を襲うのだ。

この映像のド迫力と美しさには驚いた。もうリアルすぎて、「白組のVFXはすげえな」という感想が出てこない。だって実写として受け止めちゃうから。

前作の主要キャストはみな健在だ。敷島(神木隆之介)は典子(浜辺美波)と結婚し、明子(永谷咲笑)を育てている。澄子(安藤サクラ)は孤児院を運営し、秋津(佐々木蔵之介)は水島(山田裕貴)と相変わらず船乗りをやっている。

野田(吉岡秀隆)は気象関係の政府系機関の責任者となり、巨大生物襲来時の対処もこの組織のミッションらしい。そのため、ギドラ退治の陣頭指揮は野田が取ることになる。

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「鳴神作戦を始動します」と野田が宣言するのは劇場予告通り。前作の「海神(わだつみ)作戦」に比べ説得力と準備に不足感は否めないが、まあご愛嬌。

野田の配下の天才気象予報官に新キャラの青山真琴(長澤まさみ)。劇場予告では霊能力者なのかと思われたが、違ってた。シリアスな表情がキンチョーっぽい。

ゴジラ映画に東宝シンデレラが出演するのは、初代・沢口靖子からの既定路線だからな。これで『シン・ウルトラマン』の長澤まさみと『シン・仮面ライダー』の浜辺美波が出演。ゴジラは当然いるから、あとはエヴァが出てきたら庵野秀明コンプリートでもある。

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さて、本題に戻ると、このキングギドラは歴代最高に強そうで相当怖い。IMAXならではの上下方向の広がりを活かし、戦闘機との空中戦も臨場感満点。なんなら、ノーランの『オデュッセイア』よりIMAXの魅力をフル活用している気さえした。

山崎貴監督が幼少期に観た『三大怪獣 地球最大の決戦』では、ギドラが松本を襲来する場面があまりあっけなく落胆したそうだが、本作でその鬱憤を晴らす。おかげで松本の市街は『アベンジャーズ/エイジ・オブ・ウルトロン』のソコヴィアの町みたいになっちゃうし、松本城は粉々になる。

そして、お待ちかねゴジラの登場。泣きっ面に蜂、弱り目に祟り目ならぬ祟り神。こうなったら、ゴジラとギドラを戦わせてみよう。勝ち残った方も弱っているだろうから、我々はそこを叩くんだ。

簡単にいえば、そんな都合のいい作戦なのだが、はたしてこれがどうなっていくのか。

大迫力のゴジラをVFXで作り上げ、さらにそこに人間ドラマをしっかりと落とし込んで、個々人の終戦の落とし前を描き切った前作は、ゴジラ映画70年の歴史の中でも屈指の傑作だと思う。

それに比べると、本作は衝撃度が弱まった感は否めないが、かといってキングギドラを加えただけの安易な続編というのとは全く違う。

銀座の焼け野原をバックに二大怪獣の対決を当たり前のような自然さで見せてくれる、「Filmed For IMAX」仕様のための並々ならぬ努力。そして、神々しささえ感じさせるようになった孤高の怪獣ゴジラと、龍のように華麗に飛翔するキングギドラの雌雄を決するぶつかり合い。

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ひとつ感心したのは、本作がまったく米国市場を意識していない内容だったことだ。

前作がアカデミー賞視覚効果賞に輝き、本作もNY映画祭でワールドプレミアに初お目見えするなど、東宝としても当然に米国市場本格参入を意識した内容にするのだろうと睨んでいた。

だが、山崎貴監督は、路線変更など頭になかったのだ。戦後復興の中に怪獣が現れれば、これもまだ戦争の続きだと日本人ならとらえるだろう。これを密接不可分にしなければ、ハリウッドのゴジラ映画と変わらなくなってしまう。そこに監督のこだわりがあるのかもしれない。

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夢の中とはいえ、マンハッタンでゴジラが熱線を吐き、ニューヨーカーを焼き尽くすとは。『オッペンハイマー』以上に反戦映画的である。田中泯のマッドサイエンティストぶりが最高。

あともう一つだけ言わせてもらうと、前作で九死に一生を得た典子(浜辺美波)の眼帯に、あんなに深い意味があるとは思わなかった。そもそも、前作のエンディングで、彼女の首筋に生生しい傷跡があって、ちゃんと寄せで撮ってるんだな。

初めからどこまで仕込んでいたネタなのかは知らないが、この布石が今回生きてくる。眼帯を取ると片目が異形になっている美女というのが、『嗤う伊右衛門』(蜷川幸雄監督)の小雪を彷彿とさせた。

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最後は、前作から2年経ち、だいぶ成長して芝居もできるようなってきた明子が泣かせる。ホントに山崎版ゴジラは、三度目はないのかな。本人明言してないけど。