『ミッション:インポッシブル3』 一気通貫レビューM:I-3:軌道修正したシリーズがついに<スパイ大作戦>の興奮を取り戻す

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『ミッション:インポッシブル3』 
 Mission: Impossible Ⅲ

シリーズ第3弾にしてJ・J・エイブラムスを初めて監督に起用して大正解!「スパイ大作戦」のファンが待っていた面白味が詰まっている。人間的な弱さがあって、結婚するイーサンに新鮮味あり。

公開:2006 年  時間:126分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:       J・J・エイブラムス

キャスト
イーサン・ハント:   トム・クルーズ
オーウェン・ディヴィアン:
    フィリップ・シーモア・ホフマン
ジュリア・ミード: 
           ミシェル・モナハン
ルーサー・スティッケル: 
          ヴィング・レイムス
ゼーン・リー:
               マギー・Q
デクラン・ゴームリー:
    ジョナサン・リース=マイヤーズ
ジョン・マスグレイブ:
           ビリー・クラダップ
リンジー・ファリス: 
            ケリー・ラッセル
ベンジー・ダン:    
             サイモン・ペグ
セオドア・ブラッセル局長:
     ローレンス・フィッシュバーン

勝手に評点:4.0
(オススメ!)

あらすじ

イーサン・ハント(トム・クルーズ)は第一線から退き、後進の指導をしていた。

自分の教え子の女性エージェントが、IMFの長年の宿敵である武器商人ディヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)捕獲作戦に失敗し、拉致される。

彼女を救助するためにイーサンたちはベルリンへ飛ぶ。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

ついにシリーズ本命登場!

シリーズ三作目にして、ようやく心底楽しめる作品が生まれたことを喜びたい! 人気シリーズなので、全作面白くて当たり前だと誤って記憶していた。改めて順番に観直してみると、本作はこれまでより格段にいい。

今や『スターウォーズ』から『スタートレック』までSF何でも来いのJ・J・エイブラムスだが、監督としてはトム・クルーズに誘われた本作が処女作。しかも、当初予定のデヴィッド・フィンチャーからの交代劇。

シリーズもこれまでのデ・パルマジョン・ウーという大御所に続いての起用であり、当然重圧もあっただろうが、見事に諸先輩を凌ぐ作品に仕上げてしまう。

職人のJ・J・エイブラムスは、『スパイ大作戦』の頃の本シリーズの魅力がよく分かっている。イーサン・ハントが一人で活躍するのではなく、IMFの選抜メンバーによるチームプレイが醍醐味だということを。

上司が裏切るのは、この手のスパイものではありだとしても、仲間に裏切り者が出たら全く盛り上がれない。その失敗をデ・パルマは1作目でやらかしてしまった(更に、英雄フェルプスを悪役にする禁じ手までも)が、ここでようやくシリーズは失地回復

本ページの情報は2021年9月時点のものです。最新の配信状況はU-NEXTサイトにてご確認ください。

いろいろと芸が細かいところがいい

本作では、イーサンのチームがバチカン市国でのパーティに潜入し、デイヴィアン(フィリップ・シーモア・ホフマン)に変装して、まんまと大事な<ラビットフット>を奪取するまで、相当念入りなチームワークを見せてくれる。

デスマスクの製作工程も今まで以上に丁寧だ。ランボルギーニを自爆させるのは贅沢だが、作戦自体は荒唐無稽ではない(と感じさせる)。

この手のスパイものでは珍しく、偽装ではなく、ちゃんとイーサンを恋人ジュリア(ミシェル・モナハン)と結婚させるのも興味深い。

どこぞの映画やTVドラマのように、夫婦そろって取り扱い注意な同業者ではない。ジュリアは一般人の医師だ。

イーサンがホームパーティでシェイカー振ったり(そりゃ『カクテル』で鍛えた腕前だもの)、セブンイレブンに買い出しに行ったりとはジェームズ・ボンドにはない斬新な演出。

このキャラ設定には好き嫌いが分かれるかもしれないが、イーサンの人間的な弱さや深みが出せたと思う。本作以降、ジュリアとの遠距離恋愛は長年続くことになるし。

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今回から定着し始めるキャスティング

チームワークに重きを置いたせいか、これまで目まぐるしく変わってきた味方陣営も、ようやく少し落ち着きを見せる。

イーサン以外の唯一の全作参加のルーサー(ヴィング・レイムス)は、すっかりツーカーの仲になっているし、妻となったジュリアも、出番は少ないが今後レギュラーとなる。

また、今回初登場のベンジー(サイモン・ペグ)は、貴重なコメディリリーフとして、今後常連となる。

その他、アクション要員のゼーン・リー(マギー・Q )とヘリパイのデクラン・ゴームリー(ジョナサン・リース=マイヤーズ)も、過去作よりチームの連帯感はあり。

一方、IMFの上司マスグレイブ(ビリー・クラダップ)ブラッセル局長(ローレンス・フィッシュバーン)のポストは、どうも毎回定着せず、ここはボンドのMI6とは勝手が違うようだ。

イーサンの人間味がでてきた

ここからネタバレしている部分がありますので、未見の方はご留意願います。

さて、さきほど結婚でイーサンの人間的な弱さが出せたと書いたが、この手の職業では、愛する者は敵に狙われると相場が決まっている。

ジュリアはディヴィアンに拉致され、脅迫材料に使われる。そして、教官時代のイーサンの一番の教え子リンジー(ケリー・ラッセル)もまた、頭部に埋め込まれた超小型爆弾により殺されてしまう。

いずれもイーサンは激昂し、状況は不利な方向に流れる。ついでに言えば、精神面だけでなく、肉体面でも今回は弱さがでる。超人的だった2作目の戦いぶりとは大違いだ(二丁拳銃もないし)。

まあ、勿論主人公だから最後に勝つには勝つが、敵の一人は揉み合っているうちに突進するクルマに激突死するし、もう一人は本人失神中に奥さんが射殺してくれる。無駄に強かった前作よりも、親近感がわく

ただし、相変わらず高層からのジャンプや宙づりは本作でも健在だ。今回は上海に聳え立つ超高層ビル群から、振り子のように隣のビルに飛び移っては、なんとか斜面で踏みとどまる。

その動きはまるで『カリオストロの城』のルパンだが、実写で見せるのだから恐れ入る。

この手の高所恐怖症克服アクションは、毎回お約束で入れることにしたのかもしれない。ビルを見上げるイーサンの目は、いつも爛々と輝いている気がする。

持ち直してきた気がする本シリーズ!

本作は敵役の存在感もいい。1作目のフェルプス、2作目のアンブローズに比べると、ディヴィアンは大物感が違う。不気味だが、ちょっと憎めないところもあり、いかにもフィリップ・シーモア・ホフマンが得意そうなキャラクター。

IMFに捕まり拘束されでも全く動じず、「お前の女を殺すか、お前を女の目の前で殺す」みたいなことを平然と云うディヴィアン。前作でIMFの上司役だったアンソニー・ホプキンスが好きそうな台詞だ。

そもそも、冒頭で突然始まる、ディヴィアンがイーサンに秘密を吐けとカウントダウンで問い詰め、ジュリアを射殺してしまうシーンからして衝撃的ではないか。

思えば本作は、このシーンと教え子リンジーの死で、頭部埋め込み爆弾の怖さがビンビンに伝わってくるし、IMF内でディヴィアンに内通しているモグラの存在の描き方もなかなか芸が細かい。

難をいえば、<ラビットフット>の正体って結局あまり本筋にからんでこなかった気がする。

そして、「ジュリアが殺されるまであと●分しかない」と騒いで不安を煽るのはいいが、イーサンが肝心の <ラビットフット>を上海のビルから単身盗み出す(普通なら見せ場になる)シーンがまるで描かれないのはズッコケた。

とはいえ、ようやくシリーズにオススメできる作品が登場したので、満足だ。残りの作品も観直すモチベーションが出てきた。