『隠れビやってました』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | シネフィリー

『隠れビッチやってました』考察とネタバレ|告白させるまでがゲームなの

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『“隠れビッチ”やってました。』

佐久間由衣を主演に持ってきた時点で作戦勝ち。彼女が初主演作でこのビッチを熱演する意外性に萌える。多くの男性がまんまと術中にはまったに違いない。告白させるまでがゲーム、あとは鼻ほじりながら男を振るだけ。

公開:2019年  時間:1時間52分  
製作国:日本
  

スタッフ
監督:     三木康一郎
原作:    あらいぴろよ

キャスト
荒井ひろみ:  佐久間由衣
小島晃:      村上虹郎
木村彩:     大後寿々花
安藤剛:      小関裕太
三沢光昭:    森山未來

勝手に評点:4.0
(オススメ!)

(C)「“隠れビッチ”やってました。」フィルムパートナーズ/光文社

ポイント

  • あり得ない強烈キャラだけど、佐久間由衣が隠れビッチを演じるところが、すでに勝負ありのキワモノ作品。鼻ほじるとか、ありかよの意外性。虹郎と大後寿々花とのシェアハウス楽しそうだわ~。

あらすじ

ひろみ(佐久間由衣)の趣味は清純派を装い、相手の男を翻弄し告白させること。 シェアハウス仲間のコジ(村上虹郎)と彩(大後寿々花)にたしなめられるも、お構いなし。

珍しく本気で好きになった安藤(小関裕太)にはフラれてしまい、 酔いつぶれているところを、職場の三沢(森山未來)に助けられるが、すっかり醜態をさらしてしまう。

ひろみは“隠れビッチ”だということを三沢に打ち明け、封印してきた過去と向き合い始める。 本当のしあわせに気づいた時、彼女が出した答えとは…。

レビュー(まずはネタバレなし)

作戦勝ちの面白さ

いや、これ断然面白いです、三木康一郎監督。前作の『旅猫レポート』は私にはどうにも全然響かなくて、「猫が喋ればいいってもんじゃなかろう、有川浩の原作が泣いている」と思ったものだが、本作は素晴らしく楽しい。


佐久間由衣を主演に持ってきた時点で、すでに作戦勝ちだ

世間的には清純派で通っている(であろう)彼女が、この隠れビッチな役を初主演作で熱演するところに意外性があり、観客男性の多くもまんまと術中にはまったに違いない。

清楚な服装と本性を隠した計算高いしぐさで男を翻弄して、手玉にとるなんていうのはよくあるパターンだが、相手に告白させるまでが<ゲーム>であり、そのあとは鼻ほじりながらケータイで男を振るだけ

おまけに酒癖は最低の酒乱女。下手すると総スカンを食うキャラだが、そこに佐久間由衣を起用することで、何となく受け容れられてしまう。

(C)「“隠れビッチ”やってました。」フィルムパートナーズ/光文社

共演者の顔ぶれもいい感じ

共演者のキャスティングも絶妙。隠れビッチに対するやりマン女の彩大後寿々花もハマリ役だし、二人のお目付け役のバイセクシャルのコジ村上虹郎とは。

デパートの中華総菜売り場のバイトで、ひろみが惚れる安藤君(小関裕太)も、爽やか好青年。

売れ残りケーキと安藤と交換したシュウマイを、「汚れたキサマらには食う資格がない!」と同居の二人には渡さずに独占するひろみが笑える。

安藤君以外の、ひろみが翻弄する個性的な男どもも、結構ツボにはまったナイスな配役だった。

  • 最初にフラれるバツイチ男:前野朋哉 
  • イケメンのノーマル系男: 栁俊太郎 
  • 美術館巡りの草食男子:  戸塚純貴 
  • 肉食系IT起業家:     片桐仁 
  • 金持ちキザ男:      前川泰之

といったメンバーで合っているだろうか。ワンカットだけの役もあるが、どれもみな、印象に残った。

そしてひろみの勤めるデパートのフロア主任のような役なのが、森山未來の演じる三沢

ひろみの退職で思い切って三沢が告白してからの後半戦は、前半とまた異なり、ひろみの内面を映し出す展開となる。ここで作品としての深みが増していく。

レビュー(ここからネタバレ)

コントとシリアスドラマの好バランス

ひろみが輝かしい男性遍歴を経て、結局いちばん地味な三沢(森山未來)とくっつくというのは想定外だった。

「自分は夢もないんで、できることをみつけて社会で必要とされる人になりたいんです」

とか殊勝なこといってたくせに、ひろみと付き合うことになるとは三沢、モテキ終わってねえじゃん! と言いたくなる。


自分の隠れビッチ本性を全面的にさらけ出しても好きになってくれる三沢に驚くひろみは、顔は好みじゃないけど付き合ってみるかとなるが、その後の好き度合いが凄まじい。

ひろみにとってのニ大トラウマは、幼少期に母を虐げたDVの父のこと、それから、すね毛が濃いこと(彼女には同一ランクらしい)。

これを受容する三沢への惚れこみようは熱烈で可愛いが、彼が牛乳を買い忘れて帰宅するたびに、彼女に「愛してないんだ!」と責められ泣かれるサマは、まるでドリフのコントだ。

(C)「“隠れビッチ”やってました。」フィルムパートナーズ/光文社

そして、音信不通だったDVの父親(光石研)が癌で入院していると聞き、健保申請のため渋々入院先を訪れたひろみは、恐ろしいことに気づく。

自分が抱えている異常なまでの感情の起伏、一方的にキレて暴れる性格、これらは、筆跡までそっくりの父親譲りだったのだ! 

幼少期から、この父親には(渡辺真起子)が散々な目に遭わされているが、光石研のキレっぷりは、TVドラマ『Nのために』でも彼が演じた異常な父親像と重なった。

予定調和でいいのに

さて、自己嫌悪に陥るひろみを、1か月間の冷却期間をおいてまた会おうと別れた三沢が、大人の包容力で迎えにくるのがカッコいい。

「都合のいいひとなんかじゃなくて、自分のことを尊重してくれているのだ」と、やっとひろみは気づく。(でも3月10日の一か月後って、普通4月10日じゃないか? 11日っていうのは三沢の思い込みかと…)

こうして、晴れてふたりの同棲生活に突入。壮絶なキャットファイトまでやったけど仲直りした彩や、最後まで面倒見のいいコジともお別れ。

自分の弱さに気づくことが、人生で一番大事。ひろみに共感した。

ここでハッピーエンドでよくないか? 私はここまでで、すでに★4つのオススメ評価だ。なのに、エンドクレジット後のシーン、必要なのか。

最後にひろみがどうすると思うかは、観るひとが考えてねって、クリストファー・ノーラン監督の『インセプション』のラストじゃないんだから。

以上、お読みいただきありがとうございました。原作もぜひ。