『ショーンオブザデッド』考察とネタバレ|ドーンでも羊でもないゾンビ映画

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『ショーン・オブ・ザ・デッド』 
 Shaun of the Dead

エドガー・ライト監督にサイモン・ペグら豪華おバカ映画メンバーによる、ゾンビ愛に満ちたコメディ。日本では未公開のまま15年も放置され、2019年に限定的に劇場公開。笑えるのに、ゾンビはリアルなのだ。

公開:2004年 (日本では2019年)
時間:1時間 39分 製作国:イギリス
  

スタッフ
監督:     エドガー・ライト

キャスト
ショーン:    サイモン・ペグ
エド:     ニック・フロスト
リズ: ケイト・アシュフィールド
バーバラ:ペネロープ・ウィルトン
フィリップ:     ビル・ナイ

勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

(C)Images courtesy of Park Circus/Universal

ポイント

  • エドガー・ライト監督にサイモン・ペグ、ニック・フロストの豪華おバカ映画トリオ。
  • たまにはこういう何も考えずに笑って観られる映画って必要。とはいえ、ゾンビの迫力はロメロに負けてない本格仕上げ。

あらすじ

舞台はロンドン。家電量販店勤めのショーン(サイモン・ペグ)は、働かずゲーム三昧のエド(ニック・フロスト)ら三人で同居生活を送っている。

だが、仕事も恋愛も冴えないダメ男ぶりに恋人のリズ(ケイト・アシュフィールド)からも愛想をつかされる始末。

落胆するショーンだが、ある日突然に町中にゾンビがあふれていることを知り、エドとともに母親バーバラ(ペネロープ・ウィルトン)とリズを助け出し、行きつけのパブを目指してゾンビ相手に奮闘する。

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レビュー(まずはネタバレなし)

スリー・フレーバー・コルネット三部作

ゾンビは大勢出てくるが、コメディ映画に分類されているはずで、まったく怖くない。2004年の製作から日本では未公開のまま15年も放置され、2019年に限定的に劇場公開されたらしい。

エドガー・ライト監督にサイモン・ペグ、ニック・フロスト豪華おバカ映画トリオによる、分かる人に愛される映画なのだ。

コメディ9:ホラー1くらいの配分なので、ネタバレも考察も特にない。おバカさに乗れるかどうかがすべてなので、評点はしたけれども、ご参考になるかどうか。

ゾンビだらけの町で家から出られない状況は、不要不急の外出が禁じられている昨今と状況が同じという訳ではないが、何も考えずに馬鹿笑いしたくなる向きにはおすすめ。

(C)Images courtesy of Park Circus/Universal

恥ずかしながら観終わってから知ったのだが、監督をはじめこのメンバーが世に送り出したB級コメディ映画三作品、

『ショーン・オブ・ザ・デッド』
『ホットファズ  俺たちスーパーポリスメン!』
『ワールズエンド 酔っぱらいが世界を救う!』

は、スリー・フレーバー・コルネット三部作とか呼ばれて、ファンに愛される存在になっているのだそうだ。他の二作は過去に観ているが、本作が原点だったとは。

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確かに、ロンドンの馴染みのパブを砦にゾンビ相手に立てこもろうとする話自体、『ワールズエンド 酔っぱらいが世界を救う!』<12軒のパブをハシゴして飲み歩くぞ計画>のノリとかなり近いとは思っていた。

それにしても、やっぱりサイモン・ペグはこういうおバカ路線が似合う。

ミッション・インポッシブル』シリーズ途中からのイーサンをサポートできるような役も悪くないが、この三部作とか『宇宙人ポール』みたいな役柄の彼が本来の持ち味だと思っている。

Shaun of the Dead Official Trailer #1 - Simon Pegg Movie (2004) HD

レビュー(ここからネタバレ)

笑える映画だが、ゾンビについては本物志向

低予算な作品ゆえ広大な地域をゾンビが押し寄せるシーンも撮れるわけがなく、ロンドンの限られた街並みやパブを最大限利用して工夫がみられるが、その少しチープな感じも本作の味わいにつながっている。

もっとも、見せ方は工夫しているが、ゾンビの動きやグロいところはちゃんと本物志向で、ゾンビ映画の父、ジョージ・A・ロメロに気に入られたのも肯ける。

庭で初めて遭遇するゾンビを攻撃するのに投げるものがなくなり、大事なLPレコードから不要な盤を選り抜いて投げたり、ゾンビの動きを真似して逃げれば気づかれないとみんなで試してみたり。

初めて心を開いて打ち解け合った義父フィリップ(ビル・ナイ)がすぐゾンビになってしまい、その扱いが雑だったり。くだらないのだが、つい笑ってしまうネタがテンコ盛り。

(C)Images courtesy of Park Circus/Universal

大量のゾンビたちに包囲されたパブで、絶体絶命の状況からどう生きのびるかという、ちゃんとホラー映画的に観られる部分も、一応クライマックスには登場する。

ジュークボックスとかバーカウンターとかパブならではの大道具やロケーションなども大いに活用して、映画としてのケリはつけたうえで、最後にはオチまで持っていくのは、さすが。

ゾンビものといえば、近年では『新感染 ファイナル・エクスプレス』が出色の出来だった(笑えるという意味ではなく)。

コメディ路線となると『ラッパーに噛まれたらラッパーになるドラマ』小芝風花主演の日本のTVドラマ)のくだらないけど笑えるゾンビものという点が、本作と相通じるのではないか。いずれ劣らぬ作品と思う。