『28年後… 白骨の神殿』
28 Years Later: The Bone Temple
『28年後…』の続編は、凶暴化したゾンビ映画から、殺戮集団が新ヴィランの宗教映画に!
公開:2026年 時間:109分
製作国:イギリス
スタッフ
監督: ニア・ダコスタ
キャスト
ケルソン医師: レイフ・ファインズ
ジミー・クリスタル:ジャック・オコンネル
スパイク: アルフィー・ウィリアムズ
ジミー・インク: エリン・ケリーマン
サムソン: チ・ルイス=パリー
勝手に評点:
(悪くはないけど)

コンテンツ
あらすじ
28年前、人間を凶暴化させるウイルスがロンドンで流出してパンデミックを引き起こし、多くの死者を出した。
海を隔てた孤島という環境のためウイルスの蔓延を免れたホーリーアイランドで生まれ育った少年スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)は、本土で生き延びたケルソン医師(レイフ・ファインズ)と出会い、そして病気の母親を看取った。
その後、ウイルスに覆われたイギリス本土で生きる道を選んだスパイクは、感染者に襲われかけたところを、ジミー・クリスタル卿(ジャック・オコンネル)率いる全員金髪の暴力的なカルト集団「ジミーズ」に救われる。
しかし、彼を待っていたのは救済ではなく、救いのない世界で味わうさらなる絶望だった。

レビュー(ネタバレあり)
地味にエグいジミーズの本性
久々に新作が作られたなと、感慨に耽っていた本シリーズだったが、その続編はなんか、凄いことになってきた。
作品そのものの出来としては正直首をひねりたくなるが、目新しさに乏しかった前作『28年後…』よりは、本作の方が面白い。
凶暴化ウイルスに毒されたゾンビのような連中がのさばっている生活環境はこれまでと変わらず、襲い掛かってくる局面もそれなりにある。
だが、今回のメインヴィランは彼らではなく、前作のラストシーンで颯爽と現れたジミーズの連中なのである。
前作でひとり生き延びた少年スパイク(アルフィー・ウィリアムズ)が絶体絶命になった状況を、戦隊ヒーローかのように色とりどりなコスチュームで登場したジミーズの男女がゾンビを次々に倒して救い出してくれる。
そこで前作は終わったが、この瞬間は、彼らは救世主にみえた。だが、まるで違った。
本作の冒頭、ジミーズを率いるジミー・クリスタル卿(ジャック・オコンネル)は、スパイクと手下の一人とを戦わせる。配下のジミーは7人。これはという若者をみつけると、誰かと戦わせて勝った方を、新たにジミーと名付けて手下にするのだ。

この悪魔崇拝者の集団は、あちこちで覇王の教えだといって殺戮を繰り返す。その集団に、ジミー少年(スパイク改め)が仲間入りさせられてしまう。
◇
一方、同じく前作に登場した、感染予防のヨードを塗ってオレンジ色の肌の医師ケルソン(レイフ・ファインズ)は、凶暴化したアルファ種を相手に麻酔の吹き矢で応戦し、モルヒネで治療を試みる。
すると、何ということでしょう。サムソンと名付けたそのゾンビの大男(チ・ルイス=パリー)は、次第に獣のように暴れることをしなくなり、ケルソンに飼いならされていく。まるで、野生の王国でトラやライオンに接していくムツゴロウさんのようだ。

無神論者VS悪魔崇拝者
『テルタビーズ』か『時計じかけのオレンジ』か知らんが、金髪ウィッグで派手な衣装の善玉にみえる若者たちが、実は覇王を崇拝する連中で、白骨の神殿に住みゾンビを飼いならすオレンジ色の肌をした入道のような初老の男が、人類を救おうとする無神論者だという対比が面白い。
このように書くと、まるで格調の高い宗教論争のような映画のように思えるが、シリーズ固有のえげつないゴア表現や、素っ裸で下半身丸出しのぶらぶら映像も、相変わらずテンコ盛りなので、その方面に期待する層のニーズには応えている。
◇
そして、このジミーズとケルソンが、ついに後半に出会うことになる。それもただ、ジミーズが襲撃するのではない。ケルソンの風貌と、ゾンビを手なずけている様子を盗み見たジミーの一人が、「あのお方こそが覇王に違いない」と言い出したのだ。

我こそは覇王の息子だと嘯いて、手下たちを従わせていたジミー・クリスタル卿は、単身でケルソンに会いに行き、覇王になりすますよう交渉する。
意外なことにノリノリで白骨の神殿に細工をするケルソンが面白い。だが、ジミーズたちとの顔合わせの場で、ケルソンは少年がスパイクであることに気づく。
最後にサプライズ
無神論者VS悪魔崇拝者という構図を軸に、ジミーズの殺戮行為で悲惨な死を遂げる村人たちの目を覆いたくなる場面や、ついには人間の記憶を取り戻し言葉を発するようになるサムソンの心温まる場面が、ごちゃまぜ状態で流し込まれる。
前作を観てレイフ・ファインズの無駄遣いと断じたが、なるほどこういう続編なのであれば、彼ぐらい重鎮の起用であっても不思議ではない。

ジミー・クリスタル卿役のジャック・オコンネルって、『罪人たち』ではゾンビになってリーダー格を演じてたよね。この手のジャンルが好きなのか。
◇
前作同様、本作のラストにも、続編につながる新キャストが登場する。いや、厳密には新キャストとはいえないか。ゾンビに囲まれた世界で娘と二人で隠遁生活を送る父親が、なんと、本作の製作総指揮であるキリアン・マーフィーなのだ。
まさか、シリーズ1作目の『28日後…』の主人公を再び演じているのだろうか。そういや、あの役もジミーだったような。関係あるのかな?
◇
『28年後…』はどうやら三部作ということらしい。監督ダニー・ボイル、脚本アレックス・ガーランドの組み合わせは望ましいが、シリーズの最後が三部作って、なんでこんな複雑なことをするのかな。
しかも次作が撮られるかどうかは、本作の興行成績次第。いまのところ計画はポシャってないけど、まだ撮影開始にもなっていない模様。でも、これだけ間延びすると、もう『28年後…』じゃないのでは?
