『Michael/ マイケル』考察とネタバレ|評論家受けしない超エンタメ作品

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『Michael/ マイケル』
 Michael

マイケル・ジャクソンの伝説がここに始まる

公開:2026年 時間:127分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:      アントワーン・フークア
脚本:         ジョン・ローガン


キャスト
<ジャクソン家>
マイケル:    ジャファー・ジャクソン
(子役)ジュリアーノ・クルー・ヴァルディ
ジョセフ(父):  コールマン・ドミンゴ
キャサリン(母):     ニア・ロング
<その他>
ジョン・ブランカ弁護士:マイルズ・テラー
ビル:   キーリン・ダレル・ジョーンズ
イエトニコフ社長:  マイク・マイヤーズ

勝手に評点:4.0
(オススメ!)

ⓒ 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

あらすじ

野心家の父ジョセフのもとで厳しいレッスンを受け、兄弟グループ「ジャクソン5」のメンバーとして幼くして成功を収めたマイケル・ジャクソン。

やがて名プロデューサーのクインシー・ジョーンズと出会った彼は、ソロアーティストとして数々の歴史的名曲を生み出し、瞬く間に時代の寵児となっていく。

しかしその栄光の裏には、早熟の天才ゆえの孤独感や、強権的な父の呪縛、家族への愛と自分の中にあふれるビジョンとの間で葛藤するひとりの人間の姿があった。

レビュー(ネタバレあり)

えっ、この映画、良くないですか? 映画評論家を名乗っている連中が、こぞって高評価を渋っている理由がよく分からない。

だって、マイケル・ジャクソンの映画なのだから、メガヒット曲のベストアルバム的な内容になっていることに文句をいうのはお門違いではないか。

じゃあ、あんたはマイケルがムーンウォークしたりスリラーのゾンビダンスを披露したりの、鉄板ネタのシーンが皆無だったら満足するのかよと、ネチネチと反論したくなる。

あの時代をリアタイで知る世代なら、これこそが待ち望んでいたマイケルの映画なのではないかと私は思う。『イコライザー』シリーズ等で知られるアントワーン・フークア監督は、良い仕事をしてくれた。

ⓒ 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

マイケルの現役時代のステージ・パフォーマンスを思えば、こんな映画はアーカイブ映像のつぎはぎでないととても撮れないと思うところを、ジャファー・ジャクソンが見事に再現してくれたと思う。

こんな本人っぽく見える逸材をどこから発掘してきたのかと感心していたが、マイケルの甥っ子と聞いて合点がいった。『ボヘミアン・ラプソディ』は良い映画だったが、正直ラミ・マレックフレディ・マーキュリーには見えなかったが、今度は違う。

あの映画のプロデューサーであるグレアム・キングが、今度はマイケルを題材に選んだわけだが、どちらの映画が面白いかは、単純にマイケルクイーンの、どちらのロックスターに夢中になっていたかの違いによるのではないか。

ⓒ 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

興味深いのは、マイケルが子供時代に兄弟バンドのメインボーカルとして活躍した<ジャクソン5>を通じて、父親であるジョセフ・ジャクソン(コールマン・ドミンゴ)が強欲な鬼親として描かれていることだ。

貧困家庭から子供たちをスターに羽ばたかせるために、11歳のマイケルにも容赦なくベルトで鞭打つ暴力父。成長しソロデビューを果たしたマイケルが、「オフ・ザ・ウォール」でスターの座を確立し、やがて「スリラー」という記録的な大ヒットアルバムを世に放つ。

ⓒ 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

それでも、父ジョセフはマイケルの人気でジャクソン5を盛り上げようと画策し、息子との間には大きな確執が生じる。世界的なロックスターが強欲なプロモーターにがんじがらめにされている様子が、『エルヴィス』プレスリーと重なって見えた。

チンパンジーのバブルスをはじめ、豪邸の中にはヘビからラマ、キリンまでが徘徊。動物好きなだけでなく、スーパースターになっても、病院の子供たちへの慰問も欠かさない。

マイケルの聖人ぶり、繊細ぶりが際立つエピソードが続く。

これまでのMVという枠ではとても収まらない『ビート・イット』『スリラー』の撮影風景。ああ、もう全ての振り付けが脳内のメモリーと一致する気持ちよさ。これが本人映像ではないなんて信じがたい。

ⓒ 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

そして、それまで事実上白人ミュージシャンしか受け入れていなかったMTVに、CBSレコードの社長を通じて恫喝させ『ビリージーン』のMVを放映させる。マイケルが黒人ミュージシャンの活躍の場を切り開いたのだ。

孤独に見えるマイケルだが、常に支えてくれる母キャサリン(ニア・ロング)に、護衛兼運転手のビル(キーリン・ダレル・ジョーンズ)、敏腕弁護士のジョン・ブランカ『セッション』マイルズ・テラー!)など、味方も増えてくる。

ただ、兄のジャーメインをはじめ、ジャクソン家の兄弟姉妹たちが、どこまで彼をサポートしてくれていたのか、今ひとつわからず。妹のジャネットに至っては、本人の了承得られずで映画では存在が消されている。

ⓒ 2026 Lions Gate Entertainment Inc. All Rights Reserved.

また、実生活ではお騒がせのトラブルやスキャンダルの多かったマイケルだが、映画ではネガティブな話はあまり紹介されず、麗しいスーパースターとしての話が中心。

『ボヘミアン・ラプソディ』に比べると、そこがやや嘘くさくて深みに欠ける部分と言えなくもない。

でも、そんなダークサイドを、わざわざ映画で観たくないから、個人的にはこれで大満足。結局ロックスターの伝記映画って、こういうハッピーな気分にさせてくれるのでいいんじゃないか