『007ドクターノオ』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー(ドクターノー) | シネフィリー

『007 ドクター・ノオ』ボンド一気通貫レビュー01|全てはここから始まった

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『007/ドクター・ノオ』
Dr. No

ショーン・コネリーがボンドを演じた007シリーズ第1作。ボンドガールにウルスラ・アンドレス。

公開:1963 年  時間:105分  
製作国:イギリス
公開時邦題『007は殺しの番号』

スタッフ 
監督:         テレンス・ヤング
原作:        イアン・フレミング
         『007ドクター・ノオ』
キャスト
ジェームズ・ボンド: ショーン・コネリー
ハニー・ライダー: ウルスラ・アンドレス
ドクター・ノオ:  ジョセフ・ワイズマン
フェリックス・ライター:ジャック・ロード
デント教授:    アンソニー・ドーソン
ミス・ターロ:     ゼナ・マーシャル
クオレル:     ジョン・キッツミラー
シルビア・トレンチ: ユーニス・ゲイソン
M:          バーナード・リー
Q:         ピーター・バートン
マネーペニー:   ロイス・マクスウェル
アナベル・チャン:マルグリット・ルワース
ストラングウェイズ:  ティム・モクソン

勝手に評点:2.5 
(悪くはないけど)

あらすじ

ロケットを妨害する怪電波を調査していたイギリスの諜報員ストラングウェイズ(ティム・モクソン)が、ジャマイカで何者かに殺害された。

捜査のため現地へ派遣されたボンド(ショーン・コネリー)は、殺された諜報員が科学者ドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)について調べていた事実を突き止め、博士が所有する島へ向かう。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

007シリーズの原点ともいえる、シリーズ第1作。主演は勿論、ショーン・コネリー。まさか60年もシリーズが続くなんて、当時は誰が想像しただろう。

ちなみにイアン・フレミングの同名原作は、出版順に『カジノ・ロワイヤル』『死ぬのは奴らだ』『ムーンレイカー』『ダイヤモンドは永遠に』『ロシアから愛を込めて』となり、そして6作目に『ドクター・ノオ』がくる。

諸般の事情でこれが一作目になったようだが、単発のスパイアクションなので、大きな支障はない。

上司のM(バーナード・リー)がボンドに愛用のベレッタワルサーPPKに変更するよう命令する場面があるのは、前著作『ロシアから愛をこめて』でベレッタがホルスターに引っかかったことでボンドが重傷を負うことに起因している。

さて、オープニング。これまた現代まで脈々と続く銃口シーケンスで、ボンドが銃を構えるショットから。そしてお馴染みのテーマソングと60年代当時の洒脱の極みだったモダンなデザインによるタイトルバック

この三点セットは今見ても、非の打ち所がない。

舞台はジャマイカ。見るからに怪しい盲人男性トリオが、英国諜報部員のストラングウェイズ(ティム・モクソン)と秘書のメアリー(ドロレス・キーター)を射殺し、定時連絡が途絶えたMI6は、007を現地に派遣する。

アヴァンタイトルのアクションはまだない時代であり、ボンドはここでようやく登場。カジノで美しいご婦人相手にカードゲームに興じている男が彼女に名前を聞かれ、「Bond, James Bond」 と名乗って顔が写る。全てはここから始まった。

(C)2023 Danjaq, LLC and Metro-Goldwyn-Mayer Studios Inc.
60th Anniversary Logo, and related James Bond Trademarks are trademarks of Danjaq, LLC. All Rights Reserved.
DR. NO (C) 1962 DANJAQ, LLC AND METRO-GOLDWYN-MAYER STUDIOS INC.

その後、Mに呼び出されてオフィスに入った途端にまずはハットを帽子掛けに投げて命中させ、秘書のマネーペニー(ロイス・マクスウェル)にボディタッチして口説いたあとに上司の個室に。

ここまででボンドのキャラが濃厚に伝わる。危険な仕事もこなす敏腕エージェントだが、どうにも型破りでルールに縛られるのは苦手、ついでに女には滅法手が早い。

今や時代は21世紀、Mは女性になり、マネーペニーも職場の華でなくボンド同様に危険な任務につく役割となったが、当時はまだ、危険な仕事をこなして、いい女を抱くのが男の憧れという時代だった。

舞台はジャマイカ、キングストンに飛ぶボンド。空港には怪しい輩がうようよと彼を待ち受ける。

彼を領事館まで運ぶ運転手を装うジョーンズ(レジー・カータ)、女性カメラマンのアナベル・チャン(マルグリット・ルワース)、そして秘かに尾行する男がフェリックス・ライター(ジャック・ロード)

その後、カーチェイスやらアクションはあるが、CIAのエージェントであるライター以外は敵のようで、どうやら諜報部員を殺したのは、クラブ・キーなる立ち入り禁止の孤島にいるドクター・ノオだと分かってくる。

真相に近づくボンドは、ノオの手先である盲人トリオやデント教授(アンソニー・ドーソン)の仕掛けた毒蜘蛛などに狙われるが、危機を切り抜け、ライターの仲間である船乗りのクオレル(ジョン・キッツミラー)とともに、孤島に潜入する。

デント教授アンソニー・ドーソンヒッチコック『ダイヤルMを廻せ!』でも、強面なのにすぐにヘマをやるトホホな悪党役。

この時代、まだボンドのアクションは比較的おとなしめであるが、諜報部員の日常ってこんなにスリリングでカッコいいのかと、誰もが魅了されてしまう。

私が劇場で新作のボンドを観始めたときにはすでにロジャー・ムーアに代替わりしていて、ショーン・コネリーはテレビの洋画劇場(声は若山弦蔵、渋かった)でしか観ていない。

でも、本家本元はコネリーだという声には素直に肯ける。

女を口説く時には軽口を叩くけど、腕は立つし銃は巧いし、酒はウォッカマティーニ、スノッブな知識も豊富で、スーツの着こなしも洗練(服はサヴィルロウで仕立てるって言われても、当時みんな分かったのか)。

おまけに、胸毛の豊富さは、毒蜘蛛がボンドの胸を這ってそこに住み着いてしまいそうなほど。これが当時は男の憧れだったのか。男子も脱毛全盛の昨今では、考えも及ばないが。

監督はテレンス・ヤング。本作のヒットで『ロシアより愛を込めて』『サンダーボール作戦』の三作を手掛けた。シリーズの土台を作った立役者といえる。

本作の前作でテレンス・ヤング監督が撮った、007とは無関係な英軍捕虜脱出記『今は死ぬ時でない』の原題が、ダニエル・クレイグ版ボンドの最終作『No time to Die』と同じというのも、面白い偶然だ。

イアン・フレミングの原作とは、結構差異がある。

ボンド自身のキャラクター設定が、本作ではケガをしたあとの養生を兼ねてジャマイカに行くというもので、映画版ほど、あくの強いキャラではないように思えた。

毒蜘蛛は原作にも登場するが、ボンドの布団の中で待ち構えているのは大きなムカデだったのも違う。また、CIAのライターも原作には登場せずクオレルは初めから、ボンドが頼りにする現地の相棒なのである。

そして、終盤にようやく登場するドクター・ノオ(ジョセフ・ワイズマン)。映画ではスペクターの一員ということになっていたが、原作ではそんな設定はなかったような。

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また、映画では孤島にはボーキサイト鉱山があり、放射線に汚染されたり、ガイガーカウンターを持ち出したりという、東日本大震災を思い起こすような設定がなされていた。

原作では稀少な鳥の糞を集めて有機肥料にする事業をしているということだったが、さすがに映画向きではないか(裏では勿論、ロケットの誤誘導に手を染めているのだが)。

原作通りにすると、ボンドはその後巨大なイカと戦うなど、やや荒唐無稽な映画になりかねない懸念もあり、それらしくスパイアクションになるように脚色したという点はさすが。

孤島で出会った美女ハニー・ライダー役にウルスラ・アンドレス初代ボンドガールということになる。白いビキニで海から砂浜に上がってくる姿、その魅惑的なショットはのちのボンドガールのイメージを定着させる。

ボンドのコネリーともども、こちらも本家本元といえるかもしれない。ピアース・ブロスナン版ボンドの『ダイ・アナザー・デイ』(2002)でハル・ベリーの登場シーンは本作のオマージュだった。

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ちなみにボンドカーとしては、青いオープンカーのサンビーム・アルパインが該当しそうだが、どうもジャマイカでレンタルしただけのようで、特殊装備などはない。

本作のクライマックスは、ドクター・ノオが米国のロケット打ち上げを誤誘導させようとするのを、原子炉の作業員に扮したボンドが阻止するという展開。

宇宙服のような保護服でパンパンに膨らんだボンドが、施設内のハンドルを回す展開は、どこかコミカル。その後に原子炉プールでの博士との戦いも、どこか牧歌的。

両手義手のラスボスとの戦いなら、『燃えよドラゴン』なみのファイトを期待したいところ。

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戦いの末、ノオを原子炉プールに沈め、ハニーを助けて島を脱出するボンド。火炎放射の犠牲になったクオレルは気の毒だが、ボンドの相棒はみな早死になのだ。

CIAのライターが本作に登場したことはあまり記憶していなかったのだが、一緒に孤島に入らず待機している存在だった。これでは出番が少ないのも無理はない。

最後はボートに二人切りで愛を確かめ合うボンドとハニー。こういうエンディングも、今後繰り返されることになる。