1.『X-MEN:ファーストジェネレーション』(2011)
2.『X-MEN:フューチャー&パスト』(2014)
3.『X-MEN:アポカリプス』(2016)
4.『X-MEN:ダーク・フェニックス』(2019)
『X-MEN:ファースト・ジェネレーション』
X-Men: First Class
公開:2011 年 時間:131分
製作国:アメリカ
スタッフ 監督: マシュー・ヴォーン キャスト チャールズ・エグゼビア: ジェームズ・マカヴォイ エリック・レーンシャー/マグニート: マイケル・ファスベンダー セバスチャン・ショウ: ケヴィン・ベーコン モイラ・マクタガート:ローズ・バーン レイヴン・ダークホルム/ミスティーク: ジェニファー・ローレンス エマ・フロスト/ホワイト・クイーン: ジャニュアリー・ジョーンズ ハンク・マッコイ/ビースト: ニコラス・ホルト アレックス・サマーズ/ハヴォック: ルーカス・ティル ショーン・キャシディ/バンシー: ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ アーマンド・ムニョス/ダーウィン: エディ・ガテギ アザゼル: ジェイソン・フレミング エンジェル:ゾーイ・クラヴィッツ ヤーノシュ・クエステッド/リップタイド: アレックス・ゴンザレス ヘンドリー大佐:グレン・モーシャワー ウィリアム・ストライカー:ドン・クリーチ
勝手に評点:
(一見の価値はあり)
あらすじ
国際情勢が緊迫する1960年代、強力なテレパシー能力を持つ青年チャールズ(ジェームズ・マカヴォイ)が、金属を自在に操れるエリック(マイケル・ファスベンダー)とめぐり合う。
ミュータントとして人類と闘うべきか共存すべきか、異なる信念を抱きながらも友情を深めたふたりは、世界各地のミュータントを仲間に迎え入れていく。
しかし戦時中にエリックの母親を殺した元ナチスの科学者セバスチャン(ケヴィン・ベーコン)が、ミュータント集団・ヘルファイアークラブを結成。
やがてセバスチャンが悪魔のごとき計画を実行に移したとき、チャールズとエリックはその野望の阻止に挑むが、過酷な運命は彼らの絆を引き裂き、人類との“共存”か“支配”か、という正反対の道へと導いていくのだった…。
レビュー(ネタバレあり)
オリジナル三部作の前日譚
『X-MEN』シリーズは時系列が複雑で観る順番に悩む。まずは公開順に旧三部作『X-メン』・『X-MEN2』・『X-MEN:ファイナル・ディシジョン』を観るのが分かりやすい。主人公のウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)を中心に物語が理解できるから。
この三部作で対立をしていた、スキンヘッドと車椅子のプロフェッサーX(パトリック・スチュワート)と、金属を自在に操るヴィランのマグニート(イアン・マッケラン)。強大な力を持つ二人は、いい歳をした高齢者なわけだが、過去には敵ではなく仲間だったことが匂わされる。
◇
本作から始まる新シリーズは、この二人を中心にした、X-MENの前日譚にあたる。二作目以降、時間軸が分岐するような構造となるため難易度が増すが、本作に限っては、旧三部作のメンバーの若き日の物語として素直に楽しめる。
プロフェッサーXを名乗る前のチャールズ・エグゼビアにジェームズ・マカヴォイ。髪の毛フサフサで車椅子なしで歩行可能。マグニートを名乗る前のエリック・レーンシャーにマイケル・ファスベンダー。こちらも目の下にたるみもなく、ともに若々しく精悍そのもの。
若き日のチャールズとエリック
冒頭、ナチスのホロコーストで家族と引き裂かれ、母を殺されたエリック少年が自分の能力を覚醒させる。セバスチャン・ショウ(ケヴィン・ベーコン)への復讐心がエリックを鍛え、成長させる。
イアン・マッケランのエリックは悪人にみえたけど、この彼の若き日の悲劇を思えば、ナチス、ひいては人類に敵意を抱くようになるのは理解できる。どこかメフィラス山本耕史っぽく上から目線のチャールズよりも、むしろ感情移入できる。
そのチャールズは、テレパスの才能を活かして全米から次々とミュータントを発掘し、集団を形成していく。変幻自在のレイヴン(ジェニファー・ローレンス)も少女の頃はチャールズの妹分となり、その後エリック側に付くまで、一緒に暮らしていた。
監督はマシュー・ヴォーン。前年公開の『キックアス』を思わせるテンポの良さと、様々な能力をもつミュータントたちの見せ場づくり、そして旧三部作でおなじみのアイテムのさりげない登場のさせ方など、非凡な才能を感じさせる。
過去作品との繋がりが見事
チャールズがなぜ車椅子生活になってしまったのか、彼が愛用するテレパシー増強マシンのセレブロは誰がどう開発したのか、エリックが愛用する、思考を読まれないための特殊ヘルメットはどのように作られたか、レイヴンはなぜエリックになびいたか。
あれやこれやが、見事にはまり旧三部作に繋がっていく気持ちよさ。カメオ出演のウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)には、酒場で勧誘して一蹴されたり、モイラ(ローズ・バーン)に「プロフェッサー」と呼ばれて、「まだ禿げてないぞ」とチャールズが冗談を言ったり、軽いジョークも織り交ぜる。
本作では、セバスチャン・ショウ率いるミュータント集団ヘルファイア・クラブがメインの敵になっており、チャールズとエリックは他の仲間たちと結集してこいつらを倒す。
その後に、彼らに銃口を向ける人間たちに対し、攻撃をしようとするエリックと、あくまで共生を目指すチャールズとは、目指すべきところの違いから、袂を分かつ。
一度は同じミュータントとして出会い、信じ合った者同士が、ここで訣別するところに、ただのヒーローアクションにはない深みを感じる。
◇
マシュー・ヴォーン監督は、本作を境に『キングスマン』シリーズに移ってしまい、次作以降は旧シリーズを手掛けたブライアン・シンガーに大政奉還する形となる。本作の完成度が高かっただけに、マシュー・ヴォーン監督に続投してほしかった気持ちはある。