『パレード』(2024)考察とネタバレ|豪華キャストなのは認めるけど

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『パレード』
 The Parades

藤井道人監督が長澤まさみほか豪華キャストで描く、成仏できない者たちのNETFLIX配信映画

公開:2024年 時間:132分  
製作国:日本

スタッフ 
監督:         藤井道人


キャスト
美奈子:       長澤まさみ
アキラ:       坂口健太郎
勝利:         横浜流星
マイケル:  リリー・フランキー
かおり:       寺島しのぶ
ナナ:          森七菜
田中:         田中哲司

勝手に評点:2.5
(悪くはないけど)

(C)Netflix. All Rights Reserved.

あらすじ

瓦礫が打ち上げられた海辺で目を覚ました美奈子(長澤まさみ)。離ればなれになったひとり息子の良を捜す彼女は、道中でアキラ(坂口健太郎)という青年や元ヤクザの勝利(横浜流星)、元映画プロデューサーのマイケル(リリー・フランキー)らと出会う。

やがて彼女は、自分がすでに亡くなっていること、未練を残して世を去ったため、まだ“その先”に行くことができずにいることを知る。そしてアキラたちもまた、さまざまな理由でこの世界にとどまっていた。

現実を受け止めきれない美奈子だったが、月に一度死者たちが集い、それぞれの会いたかった人を捜すパレードに参加したことをきっかけに、少しずつ心が変化していく。

レビュー(ネタバレあり)

売れっ子の藤井道人監督が長澤まさみを主演に迎え、この世から旅立った人々から残された人々への思いをテーマに描いたNETFLIX配信のヒューマンドラマ。

勢いが衰えたといっても、さすがは破格の製作費を誇るNETFLIXだけあって、キャストは超豪華だ。

だが、嫌味ったらしい言い方をさせてもらえば、それだけの映画だった。人気俳優ばかりを起用した煌びやかな作品が、必ずしも面白いとは限らない典型例になっている。

カネはふんだんにかかっているけれど、脚本が薄っぺらくて本気度が感じられない、配信映画という恵まれた環境だからうまれた作品というのは、NETFLIXアマプラでもよく見かけるが、この作品もその罠に陥っているように思えた。

公開時期でいえば、本作は『最後まで行く』『青春18×2 君へと続く道』に挟まれた格好だが、藤井道人監督の作品ならば、この二作の方が断然よく出来ている。

映画は冒頭、東日本大震災の津波によって、主人公の美奈子(長澤まさみ)が波打ち際に打ち上げられる。見失った我が子を懸命に探すが、瓦礫だらけの町並で多くの行方不明者を探す人々は、誰も彼女の声に反応しない。

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ようやく声をかけてくれた青年アキラ(坂口健太郎)に連れられて、美奈子は夜行観覧車の下で営業する屋外のスナックにたむろする連中と出会う。

若きヤクザ者の勝利(横浜流星)、映画プロデューサーのマイケル(リリー・フランキー)、銀行員の田中(田中哲司)、そしてスナックのママのかおり(寺島しのぶ)

この連中はいずれも亡くなった者たちだが、この世に未練があるために、まだ成仏できずにいる。つまり、美奈子もまた、津波で死んでしまっているのである。

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震災の犠牲者は美奈子だけで、他のメンバーはそれぞれ、様々な理由で亡くなっている。やがて、そのメンバーにイジメの末に自殺した女子高生のナナ(森七菜)も加わる。

みんなこの世に何らかの未練があるわけだが、すでに死んでいるために誰かに自分の存在を知らせることもできず、もどかしい思いをしている。

成仏できない者たちを主人公にするプロット自体は珍しくない。だが、古くは『想いのこし』『ツナグ』、近年なら『片思い世界』など、そのもどかしさや切なさが観る者に訴えかけるはずなのに、本作にはそれが絶望的に希薄だ。

これだけの豪華キャストを揃えているにも関わらず、まったく盛り上がらないのは、それぞれの人物のエピソードが薄っぺらいからだろう。

期待した横浜流星は、ヤクザの抗争で早死にし、残してきた恋人(深川麻衣)の行く末が気がかりという未練。心配せずとも、女は強かに新たな恋をみつけるものだ。流星が早々に成仏して登場場面がなくなるのは惜しい。

元映画プロデューサー役のリリー・フランキーは、学生運動に参加していた若い頃の親友と彼女との思い出を映画に撮っていたが、未完成のままという未練。

この回想を若林拓也、中島歩、黒島結菜という布陣で描くが、エピソードそのものは今ひとつ腑に落ちない。

また、リリー・フランキー裸の大将みたいなデフォルメなキャラにしているのも興ざめ。彼はインテリの役の方が似合う。彼の演じるマイケルが、企画した故・河村光庸のイメージなのであれば、尚更あれで良かったのか疑問。

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スナックのママ役の寺島しのぶは、遺った子供たちが何人もいて心配していたが、みんな立派に成長して孫が生まれて一安心というエピソード。これはあまりにありきたりで印象が薄い。

銀行員の田中哲司に至っては、死後の世界の監視員みたいな役らしく、何が未練なのかも語られない始末。

病弱でみんなの生き様の記録者となっている坂口健太郎は、そういう役柄のせいもあって、出番は多いのに印象が薄い。酪農をやっている父(でんでん)が夜毎書いている小説の完成を何年も待っているという話にも、どこか無理がある。

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下手に総花的な映画にするくらいなら、いっそ長澤まさみの息子探しの話だけで通した方が良かった気もするが、これとて致命的なミスを犯している。理由は不明だが、ようやくみつけた息子は、死んでしまった母と再会し、会話までできるのだ。

ここは息子が母の存在を認識できないからこそ、泣ける場面になり得るはず。基本ルールが瓦解していないかい。

夫と離婚し、シングルマザーでTV局勤めの役柄は、『リング』松嶋菜々子と全く同じなのに、貞子の呪いのビデオから息子を救おうと奔走するあちらの方が、よほど胸に迫るものがあった。

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納得いかないものがもう一つ。なぜか自殺して仲間になっていた女子高生役の森七菜が、終盤で生き返って、映画監督になる。

これ、どうして生き返れたのか、私が説明を見逃しただけなのか、ただのご都合主義なのかが不明。おかげ様で、本当にわけの分からない仕上がりになっていた。

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『海街diary』長澤まさみ・坂口健太郎リリー・フランキー『国宝』横浜流星・寺島しのぶ・森七菜、その他、藤井作品常連の田中哲司

のほか、ちょっとした役に舘ひろし北村有起哉、高石あかりまで登場させるわ、最後に『MOTHER』に続いての長澤まさみの息子役で奥平大兼を起用するわ、やりすぎのキャスティング。そんな余裕あったら、もう少し演出と脚本に力を入れてほしかった。

ところで、劇中に登場する田舎の映画館って、『浜の朝日の嘘つきどもと』にも登場する福島県の映画館<朝日座>だろうか。何となく造りが似ていたけど。