『JSA』
공동경비구역
北と南、イ・ビョンホンとソン・ガンホの38度線を越えた友情。パク・チャヌク監督の出世作
公開:2001年 時間:108分
製作国:韓国
スタッフ
監督: パク・チャヌク
原作: パク・サンヨン
『DMZ』
キャスト
ソフィー・チャン: イ・ヨンエ
イ・スヒョク: イ・ビョンホン
オ・ギョンピル: ソン・ガンホ
ナム・ソンシク: キム・テウ
チョン・ウジン: シン・ハギュン
勝手に評点:
(一見の価値はあり)

コンテンツ
あらすじ
1999年10月28日深夜、JSAで北朝鮮の兵士2名が射殺される事件が発生した。
容疑者である韓国軍兵士イ・スヒョク(イ・ビョンホン)と現場に居合わせた北朝鮮兵士オ・ギョンピル(ソン・ガンホ)の証言は大きく食い違い、捜査は中立国監視委員会に委ねられることに。
捜査のため現地に派遣された韓国系スイス人の将校ソフィー・チャン(イ・ヨンエ)は、事件の関係者たちと面会を重ねながら真相に迫るが、そこには思わぬ真実が隠されていた。
今更レビュー(ネタバレあり)
パク・チャヌク監督の出世作
パク・チャヌク監督の最新作『しあわせな選択』に主演のイ・ビョンホンが、遡ること四半世紀前に初めて監督とタッグを組んだ作品。
監督の出世作となった本作は、北朝鮮と韓国の軍事境界線上にある共同警備区域(Joint Security Area=JSA)で起きた射殺事件を描いている。
パク・サンヨンによる原作『DMZ』の題名のようなDMZ(非武装地帯)なのかは知らないが、舞台となる朝鮮半島の38度線で国境を挟んで睨み合っている両軍の兵士たち。
両国の微妙な関係を描いている王道スパイアクションの『シュリ』と同じカテゴリーかと思ったが、実はまったく異なるものだった。
◇
主人公はJSAの中立国監視委員会の韓国系スイス人の女将校ソフィー・チャン(イ・ヨンエ)。彼女が韓国軍兵による北朝鮮兵射殺事件の真相を探る形で物語は進行する。
本作の出演以降、<復讐三部作>のひとつ『親切なクムジャさん』やNHK放映の『宮廷女官チャングムの誓い』でも知名度を上げ人気を博すイ・ヨンエ。本作での軍服姿も美しい。

帰れない橋で結ぶ友情
しかしながら、本作の実質的なメインは彼女ではない。
- 事件当日、境界線上に倒れているところを発見された韓国軍兵長のイ・スヒョク(イ・ビョンホン)
- そして事件当日、スヒョクと共に警備についていた韓国軍一等兵ナム・ソンシク(キム・テウ)
- それに対し、スヒョクに撃たれて負傷した朝鮮人民軍中士オ・ギョンピル(ソン・ガンホ)
- 射殺されたその部下の朝鮮人民軍兵士チョン・ウジン(シン・ハギュン)
この、韓国と北朝鮮の二名ずつの兵士こそが、本作のメインキャストなのである。

話は事件前に遡り、ある夜非武装地帯での任務に就いたスヒョクたちは誤って北朝鮮側に入ってしまう。
部隊から離れて行動していたスヒョクは地雷のトラップに足をひっかけ動けなくなり、偶然居合わせた敵軍のギョンピルとウジンに助けてもらう。
これがきっかけとなり、スヒョクとギョンビルたちは少しずつ親しくなっていく。
当然、敵軍との親睦など軍罰ものの行為だが、スヒョクはやがてソンシクを仲間に引き入れ、こっそりと国境を越え北朝鮮側に侵入し、ギョンビルやウジンと密会を重ね友情を深めていく。
それも、政治的な話や戦争について語るわけでもなく、バカな遊びに興じたり、故郷の恋人の写真を見せ合ったり、住所やプレゼントを交換したりと、ごく普通の戦友同士のように四人だけの時間を過ごすのだ。

仕方ない、北に亡命しろ
韓国から持参したチョコパイを渡し、冗談めかして、「南へ来ないか。チョコパイがくえるよ」と誘うスヒョクに対し、「いつか北でもこれよりうまい菓子を作るんだ」と祖国への忠誠を捨てないギョンビル。
一見のどかな光景だが、これは薄氷を踏むような関係だという緊張感が伝わる。撃ち合い、殺し合う映画ではなく、二国の兵士の友情の物語だったのか。
◇
だが、結局この関係は長続きせず、最後には殺人が起きる。死んだのは、ウジンと北朝鮮軍の上司。負傷したのはギョンビル。

一体なにが起きたのか。裏切りではない。戦争が激化してきて、これ以上の密会は危険だということで最後の楽しい交流会となった夜に、その現場を北朝鮮軍の上司にみつかってしまう。
銃口を向け合うスヒョクと上司。一触即発の状況。
「みつかった以上は仕方がない。北に亡命しろ。俺が助ける」というギョンビルを、信じ切れるか。必死に両者の銃口を下ろさせたギョンビル。
だが、ふとしたことが原因で、ソンシクがまず発砲、それがきっかけで激しい撃ち合いとなり、生き残ったスヒョクとソンシクがギョンビルの偽装工作で国境を越えて韓国に戻る。
一枚の写真を残して
起きてしまったことはもう取返しがつかない。だが、ソフィーの捜査によって偽装がばれそうになったことを苦にしたソンシクは官舎の窓から飛び降り自殺を図る。
またスヒョクは、最後まで自分たちを信じ、その立場も理解してくれていたギョンビルのことを思い、自責の念から自分の頭を撃ち抜く。
◇
けして韓国寄りではなく、北朝鮮軍の二人もきちんと魅力的なキャラに描いているところがよい。ソン・ガンホもイ・ビョンホンもその後の大活躍ぶりを思えばまだまだ青臭い演技ではあるが、それがこの作品の魅力でもある。
なお、ウジン役のシン・ハギュンは<復讐三部作>の『復讐者に憐れみを』でもソン・ガンホと共演する。

この映画のように、韓国軍と北朝鮮軍の兵士同士がこのような親睦を深めることがあり得るのかは知りようもない。
ただ、映画の最後に登場する、欧米人の観光客が撮った一枚の写真。
韓国側の観光客が落として国境を跨いで転がった帽子をギョンビルが拾って渡し、その姿をカメラに撮るのを制するのがサングラス姿のスヒョク。北朝鮮側には行進するウジンがおり、韓国側の警備兵にはソンシクが配置されている。
まだ知り合う前の四人が偶然に一枚の写真に収まっているラストは、しんみりと泣かせる。
