『キャプテン・マーベル』 MCU一気通貫レビューvol.21:そんならスティーブから盾を託されたサムは、キャプテン翼って呼ぼうぜ

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『キャプテン・マーベル』 
 Captain Marvel

アベンジャーズ誕生前の物語が、この期に及んで出てこようとは。MCUとしては初の女性単独主人公もの。まだ若いころのフューリーやコールソンとの出会いが、その後の地球の運命を変えていく。

公開:2019 年  時間:124分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:      アンナ・ボーデン
        ライアン・フレック

キャスト 
キャロル・ダンヴァース:
          ブリー・ラーソン
ニック・フューリー:
     サミュエル・L・ジャクソン
フィル・コールソン:
         クラーク・グレッグ
タロス:   
        ベン・メンデルソーン
ロナン・ジ・アキューザー: 
            リー・ペイス
コラス・ザ・パーサー:
        ジャイモン・フンスー
マリア・ランボー:
         ラシャーナ・リンチ
モニカ・ランボー:
          アキラ・アクバル
ミン・エルヴァ:  
          ジェンマ・チャン
ウェンディ・ローソン:
         アネット・ベニング
ヨン・ロッグ:   
           ジュード・ロウ

勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

(C)2019 MARVEL

あらすじ

1995年、ロサンゼルスのビデオショップに空からひとりの女性が落ちてくる。彼女は驚異的な力を持っていたが、身に覚えのない記憶のフラッシュバックに悩まされていた。

彼女は、過去の“記憶”を失い、その代償として強大な力を得た戦士ヴァース。彼女の過去に隠された“秘密”が、恐るべき戦いの引き金となってしまう。

自在に姿を変える正体不明の敵に狙われ、孤独や不安に打ちのめされても、彼女は不屈の精神で何度も立ち上がる。果たして彼女は記憶を取り戻し、この戦いを終わらせることができるのか?

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

MCUでは初の女性単体主人公

『ブラック・パンサー』でようやく白人ではなくアフリカ系男性を、MCU作品の主役に据えたマーベルだが、本作では女性を単体主人公に抜擢

過去にも女性ヒーロー映画は、『スーパーガール』『キャットウーマン』『エレクトラ』など興行的には成功とは言い難いものの、存在はしている。そこにDCの『ワンダーウーマン』がスマッシュヒットを飛ばしたため、こちらもついに踏み切ったのか、とつい勝手に想像してしまう。

主人公は、女性米軍パイロットのキャロル・ダンヴァース(ブリー・ラーソン)

彼女は、敬愛する科学者のウェンディ・ローソンアネット・ベニング、実はクリー人)が襲われる事故に巻き込まれ、特殊な能力を授かる。だが、記憶を失ってしまったヴァースは、クリー人に拾われ、エリート特殊部隊スターフォースに所属する。

ベースとなる物語はこの通りだが、ご丁寧に入り組んだ構成のため、映画を観ていても、なかなかストーリーは頭に入ってこない

この作品はアベンジャーズ誕生の前日譚として描かれたものであり、若き日のニック・フューリーやフィル・コールソンが登場し、ヴァースと共に活躍するだけでも目新しさが十分なのに、なぜ複雑な作品にしてしまったのか、疑問が残る。

(C)2019 MARVEL

話が複雑で十分楽しめない

どうして、こんなに分かりにくいのか。

記憶のないヴァースが、何の説明もなく普通にクリー人と一緒に惑星ハラで生活している。断片的に思い出す、地球の戦闘機や、子供の頃のカートレースや、米軍キャンプの記憶。

これをわざわざミステリー仕立てで見せるほど、鮮やかな種明かしがある訳ではない。ならば、『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のスターロードのように、宇宙をさすらっているのになぜ地球人なのか、もっと悩ませずに伝えてくれた方が楽しめる。

主人公が記憶喪失というのは、それだけで観る者を悩ませるのだが、それに加えて、本当の敵が誰なのか、騙されるような巧妙な作りにしている。

普通に考えれば、誰が見たって戦闘力の高いイケメン上官ヨン・ロッグ(ジュード・ロウ)は味方であり、何にでも擬態できる変幻自在のタロス(ベン・メンデルソーン)たちスクラル人は、悪党である。

人相からして悪人顔だし、そもそも変幻自在というのは、MCUのロキでもX-MENのミスティークでも、悪役にこそ相応しい能力なのだ。

だが、本作はそれを覆しており、私もまんまと騙されてしまう。この<誰が本当の敵か>というのが映画の主題なら大成功だが、MCUの一作品として、ヒーローアクションと、次作への物語の橋渡しに重きを置くのならば、もう少しシンプルな構成が良かったと思う。

小ネタはみな面白いのに

アイアンマンの誕生やキャプテン・アメリカの覚醒する前の1990年代の設定ゆえ、ブロックバスターレディオシャックが出てきたり、通信環境がメチャクチャ遅い懐かしい環境だったりと、なかなか楽しんで作っている。これに対抗して、ワンダーウーマンは1984年まで戻る続編を作ったのだろうか。

冒頭のマーベルスタジオのお馴染みのロゴも、公開前に逝去したスタン・リーへの敬意を込めて特別仕様になっている。彼が好みそうな遊び心に溢れる。

時代的にはフューリーとコールソンしか絡みようがないのは当然だが、後に『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』と戦うことになる、私の買っているロナン・ジ・アキューザー(リー・ペイス)が出てきたり、インフィニティ・ストーンでは常連の四次元キューブが登場したり、ニヤリとできる点は多い。

これでまた一つ、テッセラクトの足取りがつかめたことになる。

猫のグースが、実は危険生物のフラーケンだったというのも、コミックリリーフで好きだ。確か、『ガーディアンズ』でロケットが猫をみてフラーケンだと見破って怖がったシーンがあったと思う。

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目が光ったら怖すぎる

各種小ネタはいい感じで冴えを見せた本作なのだが、肝心のキャプテン・マーベルのアクションは結構残念な印象だ。

宇宙を飛び回って目を光らせて光線を出すビジュアルは、善玉ヒーローのそれではない。かつてソーが目を光らせて雷を落とした、あの怖さと似ている。

これだと、ヒーロー好きな幼い女の子たちはワンダーウーマン派になってしまうと余計な心配をしたくなる。

ヴァースの戦闘アクションで一番良かったのは、冒頭の上官ヨン・ロッグとの稽古試合ではないか。だとすれば勿体ない話だ。

だが、終盤に「素手で勝負だ」と虚勢を張るヨン・ロッグを一撃でこらしめるのは良かった。『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』で強敵マウを呆気なく宇宙船から放出しちゃうのと同パターンだ。

(C)2019 MARVEL

おいしいところを持っていく

『インフィニティ・ウォー』といえば、そのラストでフューリーが砂塵になりながら最後に発信したポケベルのメッセージが、遠く宇宙の果てのキャプテン・マーベルに届いていたのだと分かり、やっと現代に繋がってくれる。

「どうしても困った時にだけ使うのよ」という約束を律儀に何十年も守っているフューリーも、きちんと駆けつける彼女も憎いではないか。

ただ、サノスとの戦いも『アベンジャーズ/エンドゲーム』を残すのみというこのタイミングで、彗星のようにキャプテン・マーベルが現れ、次回作でおいしいところを持っていくのであれば、ちょっとずるい気はする。だって、アベンジャーズの名称さえ、彼女由来なのだから。