『アメイジングスパイダーマン1・2』一気通貫レビュー|恐れるな、蜘蛛男のキスを

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『アメイジング・スパイダーマン』
 The Amazing Spider-Man

マーク・ウェブ監督がアンドリュー・ガーフィールドを主演にリブートさせた新生スパイダーマン・シリーズ。

公開:2012 年  時間:136分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:          マーク・ウェブ
原案:   ジェームズ・ヴァンダービルト

キャスト
ピーター・パーカー:
      アンドリュー・ガーフィールド
グウェン・ステイシー:  エマ・ストーン
カート・コナーズ / リザード: 
            リス・エヴァンス
ジョージ・ステイシー: デニス・リアリー
ベン・パーカー:   マーティン・シーン
メイ・パーカー:   サリー・フィールド
ラジット・ラーサ: イルファーン・カーン
リチャード・パーカー:
          キャンベル・スコット
メアリー・パーカー:
         エンベス・デイヴィッツ
フラッシュ・トンプソン: クリス・ジルカ

勝手に評点:3.0
        (一見の価値はあり)

(C)2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

あらすじ

ピーター・パーカー(アンドリュー・ガーフィールド)は、ちょっとサエない高校生。正義感は強いが、女子にはモテない。両親は彼が幼いときに謎の失踪をとげ、以来ベンとメイの伯父夫婦に育てられてきた。

ある日ピーターは父の消息を探るため、オズコープ社で遺伝子を研究するコナーズ博士(リス・エヴァンス)を訪ね、実験中の蜘蛛にかまれてしまう。

翌日、ピーターの人生は激変する。蜘蛛のように自由自在に動き回れるパワーとスピード、超感覚で危険を感知するスパイダーセンスを身につけたのだ。ピーターはその能力で悪と闘い、スパイダーマンと呼ばれるスーパーヒーローとなる。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

若返りで原点回帰

サム・ライミ監督とトビー・マグワイアによる『スパイダーマン』シリーズ三部作の続編構想がポシャって、代わりに登場したのがアメイジング・スパイダーマン。

マーク・ウェブ監督は『(500)日のサマー』くらいしか実績がない初々しさだが、大型企画に大抜擢(名前がウェブ(くもの巣)だなんて、出来すぎだ)。

新たなピーター・パーカーの座はアンドリュー・ガーフィールドが獲得し、続編ではなくリブートとして、再び高校生時代のスパイダーマン誕生から描いている。

(C)2011 Columbia Pictures Industries, Inc. All Rights Reserved.

最近のMCU版スパイダーマンを見慣れてしまったせいか、改めて本作を観ると、いろいろな気づきがある。

サリー・フィールドが演じるメイ叔母さんは、マリサ・トーメイのように妖艶な叔母ではなく、それなりに年配の設定である。まあ、MCU版では出てこないベン叔父さん(マーティン・シーン)と夫婦なのだから、育ての親としては、このくらいの年齢層が妥当だ。

それにしても、ベン叔父さんの死はピーターにとって重たい。自らの無自覚・無責任な行為が、ベンの死に繋がってしまうのだから。

「何かをする力があるのなら、それを使う責任がある」

本作ではベンが言い、MCU版でトム・ホランドにも言い伝えられていたこの台詞を、アンドリュー・ガーフィールドのピーター・パーカーは胸に刻むことになる。

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孤高のヒーローだったピーター

改めて観ると、本来のスパイダーマンは、孤高であり苦悩するヒーローだったのだと思い知る。そこには、助けてくれるアイアンマンもいなければ、相談できる親友のネッドもいない。マスクも、スーツも、糸が出る装置も自作。

アベンジャーズなんて知らない世界では、孤独に町の平和のために戦っているのだ。

キャンパスライフにも、トム・ホランド版のような充実感はない。本作のフラッシュ・トンプソン(クリス・ジルカ)は完全にジャイアン的ないじめっ子キャラだが、途中からいいヤツに急変する。

オズコープ社で遺伝子交配の研究をしていた父リチャード・パーカー母メアリーは息子のピーターをメイ夫妻に預け、飛行機事故で亡くなる。

ことの詳細は続編で明らかになるが、本作では、両親の同僚だったカート・コナーズ博士(リス・エヴァンス)が、研究途中の遺伝子を自らの身体で試す羽目になり、リザードというトカゲの怪物になってしまう。善人が研究の犠牲でヴィランとなるのは、本シリーズの王道パターンともいえる。

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MJではなくグウィン・ステイシー

最新作『スパイダーマン・ノーウェイホーム』で歴代ヴィランが同一キャストで登場する中、リス・エヴァンスのリザードの扱いが一番少なかったように思うが、これはコスチュームデザインから何となく納得できる。コナーズ博士がリザードに変身すると、単なる爬虫類の顔になってしまうから、面白味がないのだ。

他のヴィランには人間の顔があり、マスクが不評だったグリーンゴブリンも『ノーウェイホーム』では顔出ししている中で、リザードではキャラが埋もれてしまうのは無理もない。

本作でピーターの彼女は、メリー・ジェーン(MJ)ではなく、グウェン・ステイシー(エマ・ストーン)。原作コミックでも、最初の恋人とされている女性である。

スパイダーマンといえば、初代ピーターの逆さづりキスがあまりに印象的だが、グウェンを糸で引き寄せて強引にキスしてしまうアメイジングなピーターも、なかなかに大胆だ。

そして他のピーターとMJのカップルと同様、アンドリュー・ガーフィールドエマ・ストーンも撮影中に交際を始めている(破局したけど)。

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グウェンの父親の存在が大きい

本作でリザード以上に目立っているのは、このグウェンの父親のジョージ・ステイシー(デニス・リアリー)。ニューヨーク市警を陣頭指揮する警察幹部で、家族にも厳しい人物。

勝手にニューヨークを自警するクモ男を敵対視しており、娘のボーイフレンドとなったピーターの手強い相手となるマヌケ警部だと思っていたが、リザードとの戦いで苦境に立つスパイダーマンを「彼はひとりじゃないぞ」と体を張って援護する。

スパイダーマンが橋から落下した息子を救ってくれたお礼に、街中のクレーン車のアームを高く掲げて、彼が通れる道を作るよう指示する父親の話もあった、これらはいずれもベタではあるが、泣かせるエピソード。

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グウェンの父親は『ダークナイト』のジム・ゴードン警部のように孤高のヒーローの数少ない理解者となり、特殊装置を使い町中の人々をリザード化する荒唐無稽な計画の阻止をサポートする。だが、リザードには勝てず、殺されてしまう。

「ピーター、ひとが来る前に消えろ。君は町に必要だ」

だが、息絶える前の彼の言葉が重い。
「約束してくれ。グウェンには近づくな」

約束はしたものの、結局すぐに元の関係にもどってしまうピーターとグウェン。何だか随分と軽い誓いだったのだなと思っていたが、ピーターがその言葉を引き摺って生きてきたことが続編で明らかになる。

映画『アメイジング・スパイダーマン』予告編