『コンフィデンスマンJP ロマンス編/ プリンセス編』:劇場版二編を一気通貫レビュー

はじめに

人気脚本家・古沢良太の手掛けたテレビドラマ『コンフィデンスマンJP』の劇場版二編のレビューです。作品の趣旨を踏まえ、ネタバレは極力回避して書いています。

01『コンフィデンスマンJP ロマンス編』 
02『コンフィデンスマンJP プリンセス編』 

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『コンフィデンスマンJP ロマンス編』 

公開:2019 年  時間:116分  
製作国:日本

スタッフ 
監督:     田中亮
脚本:     古沢良太

キャスト
ダー子:   長澤まさみ
ボクちゃん: 東出昌大
リチャード: 小日向文世
五十嵐:   小手伸也
モナコ:   織田梨沙
赤星栄介:  江口洋介
ラン・リウ: 竹内結子
ジェシー:  三浦春馬


勝手に評点:3.5
(一見の価値はあり)

(C)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会

あらすじ <公式サイトより引用>

華麗に大胆に人を騙し続ける百戦錬磨のコンフィデンスマン(=信用詐欺師)、ダー子、ボクちゃん、リチャード、そして五十嵐。

次なるオサカナ(=ターゲット)は、香港マフィアの女帝で、その冷酷さから<氷姫>という異名を持つラン・リウ。

彼女が持つと言われている伝説のパープルダイヤを狙って、三人は香港へ。ランに取り入ろうと様々な策を講じるが、なかなかエサに食いつかず苦戦する。

そんな中、天才詐欺師ジェシーが現れ、同じくランを狙っていることがわかる。そして、以前ダー子たちに騙され恨みを持つ日本のヤクザ・赤星の影もちらつき始め、事態は予測不可能な展開に。

騙し騙されの三つ巴の戦いを制するのは誰なのか!

一気通貫レビュー(ネタバレなし)

ダ―子、ボクちゃん、リチャード

長澤まさみのダー子、東出昌大のボクちゃん、そして小日向文世のリチャード、お馴染みの三人のコンフィデンスマン

奇想天外な計画で、欲望にまみれたターゲットのオサカナちゃんから大金をだまし取る痛快エンタメ。本編が初の劇場版となり、香港ロケがメインでテレビドラマ版よりはスケールもアップ。

劇場版にありがちな、予算アップで話は壮大になったが中身はスカスカで、ドラマ放映時の魅力が失せてしまう、といった失敗もない。さすが古沢良太脚本だ。

本シリーズで感心するのは、長澤まさみ体当たりの演技だろう。

彼女がここまで突き抜けたキャラクターを全編通じて持続するとは、というか時には変顔に近いブス状態になるキャラ設定を、彼女が面白がって演じている(ように見える)のは凄い。

『リーガル・ハイ』の堺雅人にも通じるのかもしれないが、この古沢良太の強烈なキャラ設定が、本作の人気の原動力だろう。

小日向文世は相変わらず何でもこなすカメレオン俳優、東出昌大は、本当に<ボクちゃん>らしいちょっと子供っぽい下手な芝居をあえてやっている(と思いたい)。

彼らに復讐をたくらむ元祖オサカナの赤星も、江口洋介が楽しんで参加している様子が見て取れる。

波乱に満ちたキャスティング

また、作品そのものとは関係ないが、ロマンス編と次のプリンセス編を通じて、竹内結子三浦春馬が揃って出演していることは、やはりインパクトが大きい。

二人が、実に生き生きと、そして楽しそうにコンフィデンスマンの世界の中で役を演じている姿をみることは、嬉しくもあり、また、失ったものの大きさを再認識させられることでもある。

この二人が仲の良い役として共演しているのみならず、スキャンダルで社会をにぎわせ、自粛の続く東出昌大もまた、本作の主要メンバーだ。

本作で知名度をあげた小手伸也にもちょっとした醜聞ネタはあったと記憶するが、それを抜きにしても、相当話題性の高いキャスティングといえる。

そんな中でも、毎作品でしっかりと数字や作品評価を残し、ダー子同様自らリーダーシップをとって、本シリーズを牽引している長澤まさみには恐れ入る。

(C)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会

これは映画といっていいのか

テレビのドラマやアニメが劇場版になったときに、オリジナルを知らずに初めて映画を観る人が理解でき、楽しめるか、というのは一つの論点になる。

世間には、ファンなら誰でも知っている物語の成り立ちや人物設定をご丁寧に映画の前半をかけて説明する作品もあれば、ファンの鑑賞前提で一般ピープルを置き去りに独走する作品もある。

本作は、大してキャラ説明もなくハイテンポで進むが、コアなファンにサービス満点なだけでなく、初めて観る人にも、悩まず十分楽しめる内容に仕上がっていたと思う。

正直、ドラマ放映開始時には、このハイテンションなノリには少々引き気味だったのだが、だんだんと慣れてくるというか、クセになっていく、ラーメン二郎的な症状がでる。

「目に見えるものが真実とは限らない」とダー子がカメラ目線で語りだしてみんなが追随するシーンの高揚感は、エンディングでヒゲダンの主題歌が流れてくるまで持続する。

いや~、楽しい。映画としての評価が高いかどうかは、この際脇に置いておいておこう。

テレビドラマの拡大版ではないかと言われれば、反論できないが、楽しければいい気もする。「楽しくなければテレビじゃない」とかつて全盛期に豪語していたフジテレビのDNAを感じる。

同局で人気ドラマを手掛けてきた田中亮監督は映画としては本作が初監督ということだが、演出に戸惑いは感じられない。

私は彼のドラマ『リッチマン,プアウーマン』が好きだったのだが、その縁なのか本作には小栗旬がチョイ役で登場する。

毎回どんでん返しがあり、結局ダー子たちはうまくやる、この基本原則は常に守られているというのに、毎回驚かされる楽しみが味わえる。この醍醐味は劇場版でも健在だった。

ハリウッド映画と違い、香港ロケといっても高層ビルを舞台にアクションがある訳でもなく、路上で飲茶するのが関の山。

二丁拳銃は構えても、けして発砲はされない映画なのだが、そのチープさがまた、コンマンらしさなのだ。

(C)2019「コンフィデンスマンJP」製作委員会