『探偵はBARにいる』
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』
『探偵はBARにいる3』
『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』
公開:2013 年 時間:119分
製作国:日本
スタッフ 監督: 橋本一 脚本: 古沢良太 須藤泰司 原作: 東直己 『探偵はひとりぼっち』 キャスト 俺: 大泉洋 高田: 松田龍平 河島弓子: 尾野真千子 橡脇孝一郎: 渡部篤郎 フローラ: 篠井英介 マサコ: ゴリ(ガレッジセール) 松尾: 田口トモロヲ 相田: 松重豊 佐山: 波岡一喜 峰子: 安藤玉恵 野球男: 矢島健一 源(客引): マギー モツ(客引):徳井優 学生(客引):近藤公園 桐原組組長: 片桐竜次
勝手に評点:
(一見の価値はあり)
あらすじ
札幌・ススキノの探偵(大泉洋)と相棒兼運転手の高田(松田龍平)は、相も変わらず危ない仕事で日銭を稼ぐ日々を送っていた。
ある日、友人だったオカマのマサコちゃん(ゴリ)が殺害される事件が発生。警察の捜査は遅々として進まず、探偵が独自に調査を始めるが、事件の背後にカリスマ政治家の影がちらつく。
やがてマサコちゃんが熱狂的ファンだった美人バイオリニストの弓子(尾野真千子)が現れ、探偵に事件の真相を暴くよう依頼する。
一気通貫レビュー(ネタバレあり)
ゴリは意外とマジメな役
二作目は、大倉山のジャンプ台から始まる。斜面でスキーに固定され、滑走させられそうな探偵(大泉洋)。よせばいいのに、最初からギャグ路線。まるで生田斗真の『土竜の唄 潜入捜査官REIJI』のようだ。
その後は、マサコちゃん(ゴリ/ガレッジセール)の勤めるゲイバー「トムボーイズ・パーティー」でマジックショーが展開され、おふざけは前作以上かと思いきや、このマサコちゃんが殺されたことで、急にシリアスタッチに様変わり。
犯人さがしに動き出す探偵。マサコちゃんは地元で絶大な支持を得ている二世議員の橡脇孝一郎(渡部篤郎)のかつての愛人だったという極秘情報を手に入れる。
マジックショーの大会で優勝し名前と顔が売れてしまった彼女は、皮肉にも政界の闇に葬られてしまったのか。
さて、今回のマドンナ(古いね)はバイオリニストの河島弓子を演じる尾野真千子。
マサコちゃんは彼女の熱烈なファンだった。その弓子が、犯人さがしにからんでくるというわけだ。この弓子は、なかなかのパワフルな女性で、押しの強い大阪弁キャラに、今回は探偵の大きな声が気にならないほどだ。
マスクの暴徒たちがまじ怖いっす
役者がそろった中盤で、話は再び冒頭の大倉山ジャンプ台に戻る。
このシーン、ヤクザの若頭・相田(松重豊)が登場するときは、必ず探偵が痛い目に遭うというお約束のコントにしたかっただけのようで、本筋にあまり関係なく、笑いを取りに行く(取れてないと思うけど)。
それにしても、本シリーズはこの手の回想構造を好むが、簡単な事件を難解に見せたいだけのような気もしてしまう。
さて、橡脇(渡部篤郎)の調査をしようとしたことで、彼の支持者たちから札幌の各所で狙われるようになる探偵。
マスク姿でバットを振り回し、必ず古い外国人選手のスイングをまねる男(矢島健一はマスクでもわかる)も怖いのだが、もっと怖いのはマスクを付けた一般大衆の群れ。
探偵と高田(松田龍平)が乗った路面電車の停車駅を大勢で包囲し、マスクの集団が乗り込んでくるのは、ゾンビ映画のように怖い。ここの演出は秀逸、お色気ショットも含め。
本作も前作同様に、序盤でのキャラクターイメージを後半で覆すパターン。依頼人の弓子、橡脇議員、マサコちゃん、みんな隠れた本当の顔がある。それは必ずしも悪人という意味ではない。このあたりの役者の変幻ぶりはよい感じ。ドラマの展開としては、前作よりも好みだ。
今回は依頼人を守れたか
ここからはネタバレになるのでご留意願いたい。特にクライマックス、札幌の街頭演説で脱原発を訴える橡脇議員に、多くの支持者が参集する。ここはなかなかの大人数で見応えがあった。
「探偵は、依頼人を守るもんだ」
前作では依頼人を死なせてしまった探偵だが、今回は身体をはって、議員を刺殺しようとする弓子を阻止する。
それは、彼女が罪を犯そうとしているからではない。マサコちゃん殺しの真犯人は、議員ではなかったからだ。探偵は、無益な殺生を防いだのである。
では犯人は誰か。これは想定外な人物だった。犯人の意外性という点でも、前作より凝っている。
シリーズ化したことで、探偵と高田のほかにもススキノの町を愛するジャーナリストの松尾(田口トモロヲ)や
ヤクザの相田(松重豊)といったバイプレイヤーズや、探偵に色目を使うウェイトレスの峰子(安藤玉恵)など、周囲もキャラが立ってきた。
ただ、よせばいいのにポンコツ車ビュートのネタはひっぱる。ラストではついに高田がクルマを買い替えたのに、同じ色で同じポンコツのビュートというのはちょっと笑えたが。