『悪女 AKUJO』 考察とネタバレ:どうやって撮ったのか想像もつかないアクションてんこ盛り

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『悪女 AKUJO』 

長回し50人斬りのヒロイン殴り込みに冒頭から度肝を抜かれる。韓流色恋とド派手アクションの融合。『キルビル』から『ニキータ』まで各種アクションのいいとこ取りだが、スタイリッシュにまとまっている。

公開:2017 年  時間:124分  
製作国:韓国

スタッフ 
監督: チョン・ビョンギル

キャスト
スクヒ:   キム・オクビン
ジュンサン: シン・ハギュン
ヒョンス:  ソンジュン
クォン幹部: キム・ソヒョン

勝手に評点:4.0
(オススメ!)

(C)2017 NEXT ENTERTAINMENT WORLD & APEITDA. All Rights Reserved.

あらすじ

犯罪組織の殺し屋として育てられたスクヒ(キム・オクビン)は、育ての親ジュンサン(シン・ハギュン)にいつしか恋心を抱き、結婚する。

甘い新婚生活に胸躍らせていた矢先、ジュンサンは敵対組織に無残に殺害されてしまい、逆上したスクヒは復讐を実行。

しかしその後、国家組織に拘束されてしまい、国家の下すミッションを10年間こなせば自由の身になるという条件をのみ、国家直属の暗殺者として第二の人生を歩み始める。

やがて、新たな運命の男性ヒョンス(ソンジュン)と出会い、幸せを誓ったスクヒだったが、結婚式当日に新たなミッションが下される。

レビュー(まずはネタバレなし)

スタイリッシュな女性アサシンもの

犯罪組織の殺し屋として育てられた一人の女性が、国家直属の暗殺者となり、愛と裏切りに翻弄されながら最強無敵の<悪女>と化していく。

『ニキータ』に代表される女性アサシンものであり、暗殺者としてみっちりと鍛えられた娘が、その手腕で復讐をはたしていくところは既定路線だが、愛憎ドラマがうまく織り込まれ、更にはアクションがかなりハイレベルであることに驚く。

スタイリッシュ・アクションの名に恥じない作品。数年ぶりに観直したが、十分楽しめた。

監督はチョン・ビョンギル。日本でもリメイクされたヒット作『殺人の告白』は面白かったが、スタントマン出身の異色な経歴の持ち主だけあり、やはりアクションが得意分野なのだろう。本作では俄然、本領発揮でパワー全開だ。

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冒頭から度肝を抜くワンカット50人斬り

いきなりの冒頭シーンで圧倒される。何者かが敵の組織に単身乗り込み、50人以上ものヤクザたちと死闘を繰り広げ、次々と血祭りに上げていく。

15分ほどのワンシーン・ワンカットは疑似手法とはいえ、雑居ビルを一人称カメラで何十人を銃殺・斬殺、途中鏡に激突してからカメラが切り替わり、暗殺者が判明するアイデアは新鮮だ。

戦闘ゲームのような大量殺傷で不快感を催す人もいそうだが、組織壊滅後に女が逮捕されてからは、全く異なる雰囲気になる。

この女・スクヒ(キム・オクビン)が送り込まれた国家情報局は女暗殺者の養成施設となっていて、バレエレッスンや料理教室、演劇の舞台といろいろな部屋でスパイを育てている不思議空間なのだ。

やがて、スクヒは優秀な成績でここを卒業し、施設で産んだ娘とともに、表向きは舞台女優として第二の人生を始める。

ところで、あらすじの項ではわかりやすく記載しているが、以下の点は映画の回想シーンから徐々に分かってくる経緯である。

・スクヒが幼いころ、父親が仲間に殺され、いつか仇を討つと誓う。
・犯罪組織の殺し屋として育てられたスクヒは、育ての親ジュンサンに恋心を抱き、ついに結婚する。
・結婚した矢先、ジュンサンは敵対組織に惨殺され、逆上したスクヒが復讐を実行。

それが冒頭の長尺殴り込みシーンなのだ。ここまでは、あまり悩まずに理解できる展開。

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数々のアクション映画へのオマージュ

前述の『ニキータ』のみならず、本作には数多くの暗殺者アクション映画のオマージュが感じ取れる。いってみれば、いろいろな作品のいいとこ取りの詰め合わせだ。

女性アクションとしては『LUCY』、『ハンナ』、『アトミックブロンド』、スタイリッシュな雰囲気は『バイオハザード』あたりも意識しているかもしれない。

花嫁がライフル構えるところやクルマのボンネットに乗ってのアクションは、タランティーノ監督の『キルビル』、『デスプルーフ』の影響をモロに受けている。

雑居ビルの縦軸を使ったアクションは、『ザ・レイド』を思わせる。夫婦そろって諜報部員というのは『Mr. & Mrs. スミス』か。

感心するのは、いろいろな影響は受けても、ツギハギな感じはなく、全体としてよくまとまっているところだ。

キム・オクビンシン・ハギュンは、本作のほかに『渇き』『高地戦』でも共演しており、息の合ったところを見せてくれているのだろう。

だが、失礼ながら、この二作の鑑賞当時の記憶があまりなく、過去作のコメントは控えたい。ただ、二人とも演技力に加え身体能力の高さが際立っていることは、本作で十分伝わった。

本作は当然ながら、ハイレベルなアクションが売りではあるのだが、それだけではなく、結婚した途端に殺されてしまったジュンサンとの悲恋であったり、彼女に身分を伏せてアプローチする国家情報局の若者ヒョンスとの韓流ラブストーリーだったりと、結構盛り沢山な内容。

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レビュー(ここからネタバレ)

以下、ネタバレになりますので、未見の方はご留意願います。

サプライズもスタイリッシュ

ヒョンスとの結婚式の直後に、スクヒが狙撃命令を受けた相手は、何と死んだはずのジュンサンだった。ここは、最初のサプライズ。

確かに、顔をつぶされた死体はすり替えられたものというのが、バナナの皮があれば必ず転ぶのと同じくらいお約束だ。

花嫁の狙撃シーンもカッコよくキマッたが、私が好きなのは、死んだジュンサンの仇を討とうとするスクヒを、弟分が敵アジトに案内するシーン。

彼も襲われて負傷した脚を引き摺っていたはずなのに、スクヒと別れた途端に普通に歩きだすのだ。ここで、スクヒは仲間たちに騙されていたと分かるのだが、実にスタイリッシュな映像。

冒頭の50人斬りシーン以外にも、日本刀を持ったライダーたちとのバイクバトルや、お座敷で半裸で戦うお色気アクション、バスを横転させてのラストバトル等、それぞれに趣向をこらした戦い方は観る者を飽きさせない。

そこにヒョンスとのラブストーリーも巧みに織り込まれる。彼にももう少し戦う見せ場があってもよい気もしたが、それだと彼女が引き立たないか。

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悪女になるなら月夜はおよし

それにしても、父の仇から始まり、愛した男が敵だと分かり死闘を繰り広げるスクヒの、どの辺が<悪女>なのだろう。男を翻弄するファム・ファタールの意味ではなさそうだ。

『悪人』の妻夫木聡が、実はいいヤツだったのと同様に、スクヒだって悪い女ではないと思うのだが。そりゃ、大勢殺しちゃっているのは問題だけれど。

ラストシーンのスクヒの不敵な笑みこそ、<悪女>の証なのだろうか。これは、私はジュンサンと違って、「あんたを殺したって、罪悪感に苦しんだりはしないわよ」という意味に思えた。

日本でリメイクした時の勝手なキャスト予想

最後に、数年前の鑑賞時に書き残していた、日本でリメイクした場合の超勝手な思い込みキャスティング予想を。
スクヒ(整形前は波瑠、整形後は香里奈)、ジュンサン(渋川清彦)、ヒョンス(坂口健太郎)、クォン幹部(三浦春馬)

当時、見た目の印象だけで選んでいたようです。失礼しました。

ちなみに、チョン・ビョンギル監督の『殺人の告白』に関しては、入江悠監督のリメイク『22年目の告白-私が殺人犯です-』の方が正直面白かった。本作も邦画リメイクすればいいのに。その時は三池崇史監督がいいなあ。