『アベンジャーズ/エンドゲーム』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | シネフィリー

『アベンジャーズ エンドゲーム』MCU一気通貫レビュー22

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『アベンジャーズ/エンドゲーム』 
Avengers: Endgame

前作でサノスに赦した指パッチン攻撃で全人口は半分になり、もう負けられない土壇場の最終戦。長い長いインフィニティ・サーガがついに終わりの時を迎えた。怒涛の三時間に、全神経を傾けよう。

公開:2019 年  時間:181分  
製作国:アメリカ
  

スタッフ 
監督: アンソニー・ルッソ
     ジョー・ルッソ

キャスト
<指パッチンで消えなかった人>
トニー・スターク / アイアンマン: 

ロバート・ダウニー・Jr
スティーブ・ロジャース: 

        クリス・エヴァンス
ソー: 
       クリス・ヘムズワース
ブルース・バナー / ハルク: 

         マーク・ラファロ
ナターシャ・ロマノフ: 

     スカーレット・ヨハンソン
クリント・バートン / ホークアイ:

        ジェレミー・レナー
ローディ/ ウォーマシン: 

          ドン・チードル
スコット・ラング / アントマン:

          ポール・ラッド
キャロル・ダンヴァース: 

         ブリー・ラーソン
ネビュラ: 

          カレン・ギラン
ペッパー・ポッツ: 

      グウィネス・パルトロー 
ヴァルキリー: 

        テッサ・トンプソン

<指パッチンで消えた人>
サム・ウィルソン / ファルコン: 

       アンソニー・マッキー
ワンダ・マキシモフ: 

        エリザベス・オルセン
ピーター・パーカー/スパイダーマン:

           トム・ホランド
スティーヴン・ストレンジ: 

    ベネディクト・カンバーバッチ
ティ・チャラ / ブラックパンサー:

     チャドウィック・ボーズマン
バッキー・バーンズ:

        セバスチャン・スタン
ピーター・クイル:

          クリス・プラット
ドラックス:

        デイヴ・バウティスタ
マンティス:

       ポム・クレメンティエフ
ホープ・ヴァン・ダイン / ワスプ:

      エヴァンジェリン・リリー

<指パッチンした人>
サノス:    ジョシュ・ブローリン

勝手に評点:4.0
(オススメ!)

(C)2019 MARVEL

あらすじ

宇宙最強の敵サノスに立ち向かうも、ヒーローたちを含めた全人類の半分を一瞬で消し去られてしまうという敗北を喫したアベンジャーズが、残されたメンバーたちで再結集し、サノスを倒して世界や仲間を救うため、史上最大の戦いに挑む姿を描く。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

土壇場からの形勢逆転なるか

前作『アベンジャーズ/インフィニティ・ウォー』では、追い詰めたはずのサノスに土壇場で指パッチン攻撃をくらい、全人類の半分が塵となって消失してしまった。

その後、フューリーが送信したポケベルのメッセージに気づき、キャプテン・マーベルが参戦し、また量子の世界に閉じこめられていたアントマンが復帰し、あとは残されたメンバーで、このエンドゲームで形勢逆転しなければならない。

これまでにあれだけ広げまくった大風呂敷を、180分できちんと物語として破綻なく完結させ、しかも随所に盛り上がりを詰め込むという離れ業を、よくもやりきったものだと思う。ルッソ兄弟には称賛の言葉を惜しまない。

指パッチンで殆どのヒーローが消えてしまったように思えたが、実際には主要メンバーは残っていたのだ。

従って、物語の大半はこの生き残りメンバーだけの活躍になるのだが、過去のタイムスリップ場面や、全員復活してからの戦国時代のような大人数の戦いのおかげで、物足りなさはない。

各自が贔屓にしているキャラは、しっかり見せ場がもらえているように思う。

とはいえ、前作でサノスに殺されたロキ、ヴィジョン、ガモーラ、それに今回のストーン集めで自ら犠牲になったナターシャは、指パッチンで消えてしまった他の大勢のようには、復活できていない。

(C)2019 MARVEL

タイム泥棒作戦

さて、アベンジャーズは、スコットの提唱する量子力学を使ったタイムスリップにより、サノスが集める前に全ての石を奪ってしまおうというタイム泥棒作戦に乗り出す。

『インフィニティ・ウォー』の時と同様、もう一度6つの石を振り返ってみたい。

①パワー・ストーン(紫)

力を司り身体能力を大幅に強化する石。タイム泥棒作戦では、ローディネビュラが惑星モラグにタイムスリップし、ピーター・クイルを気絶させてオーブを回収する。

だが、ネビュラはサノスにつかまり、アベンジャーズの作戦を知られてしまう。ネビュラは今回も、基本的に不運と苦痛に見舞われた役で気の毒になる。

②リアリティ・ストーン(赤)

エーテルという赤い液体状の石で、現実を歪める力を司る。タイム泥棒作戦では、ソーロケットがダーク・エルフ侵攻直前のアスガルドにタイムスリップし、宮殿に匿われていたジェーンに寄生していたエーテルを吸引し、回収する。

ソーは殺される直前の母に会い、未来から来たと見抜かれ、勇気づけられるマザコンぶりを発揮。ロケットの毒舌は絶好調。

③スペース・ストーン(青)

青白い立方体テッセラクトに納められた、移動を司る石。タイム泥棒作戦では、トニースコットがニューヨーク決戦後のスターク・タワーに潜入し盗もうとするも失敗。

そこでトニーはスティーブと、更に1970年にタイムスリップし、石とピム粒子を同時に入手。トニーは若き父ハワードに出会い言葉を交わすが、スティーブは愛するペギーを窓越しに覗くだけ。切ない。

(C)2019 MARVEL
④マインド・ストーン(黄)

セプターという杖に収められた思考・精神を司る石。タイム泥棒作戦では、ニューヨーク決戦後のスターク・タワーに潜入したスティーブが、当時の自身との格闘戦を制して回収に成功した。

過去MCUではヒーローとヴィランの似た者同士対決が多く見られ、どれもイマイチだったが、今回は本物同士なので見応えがあった。

⑤タイム・ストーン(緑)

時間を司る石。タイム泥棒作戦では、ブルースがニューヨーク決戦時のサンクタム・サンクトラムを訪ね、当時の所有者だったエンシェント・ワンにストーンの貸与を懇願。ストレンジが未来で自らストーンをサノスに渡したことを聞き、ワンは貸与を了承する。

なお、この時点のNYにはストーンが三つ存在していたのだ。チタウリとの決戦の頃から、タイムスリップの構想があったのだろうか。

⑥ソウル・ストーン(橙)

魂を司る石。かつてサノスは「最愛のものを犠牲にする」という条件のためにガモーラを殺し、ストーンを得た。

タイム泥棒作戦では、ナターシャクリントが惑星ヴォーミアを来訪し、双方が自ら犠牲になろうと争うが、結果ナターシャが身を投げ、クリントはストーンを手にする。本作では初めての大きな犠牲者だ。

アベンジャーズ、アッセンブル!

惑星により、ミッションの難易度やシリアス度合いは異なったが、こうして全ての石が集まった。ハルクがガントレットで指パッチンをすると、ついに消えてしまった人々が復帰する。ここまで約2時間。

だが、この作戦を察知していたサノスは、大部隊を率いてアベンジャーズたちの総攻撃をしかける。もはや、アベンジャーズたちも、生き残ったメンバーだけではなく、続々メンバーが戦線に復帰。

ワカンダ軍マスターズ・オブ・ミスティック・アーツ(魔術師たちです)、ラヴェンジャーズまで加わって、総力戦の構え。究極の全部入り。

そしてスティーブの発する「アベンジャーズ、アッセンブル!」 いやもう、鳥肌もんです。

このシーンのために、MCUを何十本も観続けてきたようなものだ。これまでの全てが、この戦いに集約されようとしている。

細かい不満もないわけではない。女性ヒーローだけ集めて戦うシーンを無理に作っているが、そんなこと好んでやりそうにない顔ぶれだし、時代錯誤な気がする。

ブクブクのビール腹になったソーや、凶暴性は薄まってシュレックのように劣化したハルク、新参者のくせに美味しいとこ攫って行く無駄に強すぎるキャプテン・マーベル、本編とは無縁なのに目立ちすぎて勿体ない真田広之

だが、そんなことは水に流そう。気になった点はあったが、アッセンブル!で、もう満足だ。

長い長いサーガはここで終焉を迎える

そして、ここまでMCUを牽引してきたトニーとスティーブには、作品のなかで花道が用意されている。

ガントレットの着用で肉体が耐えきれず、息絶えてしまうのは、生身の人間であるトニーにふさわしい役割だった。

勿論、彼がいなくなるのは寂しいことだが、サノスと刺し違えて死ぬとすれば、やはりトニーなのだろう。大勢の仲間が集まった葬列は、一層悲しみを誘う。今回出番のなかったフューリーもやっと登場。

(C)2019 MARVEL

そして、一方のスティーブもまた、ラストに過去に石を戻しに行き、ペギーと共に時間を過ごして老いて帰ってくる。こちらもようやく彼が自分の人生を手にしたと思える、心温まるシーンだ。

彼がサムに手渡し未来を託した盾をもとに、その場に居合わせたバッキーとともに『ファルコン&ウィンターソルジャー』が始まるなんて、当時は思いも寄らなかったが。

ああ、これで世代交代なのだろうな。さすがに、今回は○○ will be backはエンディングに出てこない。

すぐに、ピーター・パーカーの次回作が控えているけれど、しばらくは、長いサーガの余韻に浸っていたい。