『マイティ・ソー』 MCU一気通貫レビューvol.04:北欧神話とマーベルのコラボ企画が醸し出す意外な格調の高さ

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『マイティ・ソー』 Thor

クリス・ヘムズワースの能天気な豪傑ぶりとトム・ヒドルストンのダークヒーローぶりの対比が冴える、北欧神話とMCUのコラボ企画。

公開:2011 年  時間:114分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:         ケネス・ブラナー

キャスト 
ソー:      クリス・ヘムズワース
ロキ:       トム・ヒドルストン
ジェーン・フォスター:
         ナタリー・ポートマン
エリック・セルヴィグ:
       ステラン・スカルスガルド
ダーシー・ルイス: カット・デニングス
フィル・コールソン:クラーク・グレッグ
オーディン:  アンソニー・ホプキンス
ラウフェイ:    コルム・フィオール
フリッガ:              レネ・ルッソ
ヘイムダル:     イドリス・エルバ
シフ:   ジェイミー・アレクサンダー
ヴォルスタッグ:レイ・スティーヴンソン
ファンドラル:   ジョシュア・ダラス
ホーガン:            浅野忠信
クリント・バートン:ジェレミー・レナー


勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

TM & (C)2010 Marvel (C)2010 MVLFFLLC. All Rights Reserved.

あらすじ

神々の王オーディンの息子ソー(クリス・ヘムズワース)は、ごう慢な性格をとがめられ、王位を継承されず、謙虚さを学ぶために人間界へ送り込まれる。

神の世界での力を失ってしまったソーは、天文物理学者のジェーン・フォスター(ナタリー・ポートマン)と出会い、次第に惹かれ合っていく。

だが、王位を巡る確執から、ソーの弟のロキ(トム・ヒドルストン)が凶悪な敵を地球に送り込む。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

他の作品とは一線を画す北欧神話の格調

さて、いよいよMCU第4弾では、北欧神話の世界観まで取り込んでいくことになる。

これまではアーク・リアクターを原動力にマシンを作ってみたり、血清投与で人体実験してみたりと、無理筋とはいえ科学的根拠を示してきた本シリーズだが、今回はそれを超越してしまった。

何せ、神々の物語である。その意味では、これまでの作品とは大分毛色が異なる。

ニューメキシコに落下してからの話は、S.H.I.E.L.D.も出てくるのでMCUの匂いはする。

だが、アスガルドやヨトゥンヘイムで繰り広げられる、父であるオーディン(アンソニー・ホプキンス)の王位継承をめぐる王室内の兄弟喧嘩や、ラウフェイ(コルム・フィオール)率いる巨人たちとの戦いは、文字通り神話アクション映画だ。

そして、そこに面白味のみならず格調の高さまで感じさせてしまうのは、シェイクスピア劇俳優としても名高いケネス・ブラナーが監督だからに相違ない。

『オリエント急行殺人事件』の名探偵ポアロのように、彼自身が監督・出演する作品も少なくないが、残念ながら本作では監督業に専念。

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マンネリズムあってこその高揚感

本作ではトニー・スターク同様に、ヒーロー或いは王位を継ぐものとして人格的に問題ありありの、傲慢で好戦的な主人公ソーが、厳しい試練の中で人間的成長を遂げ、最後には敵を撃破してめでたしめでたしという、お約束のプロットに則る。

だが、それでよい。彼を心配するジェーンの心の優しさに触れ、自分の愚かさに気づいたソーは覚醒し、解き放った飼い犬のように大空を駆け戻って来る魔法のハンマー<ムジョルニア>を手に復活する。

ここの高揚感は、お約束のマンネリあってこそだから。

主演のクリス・ヘムズワースは、人気シリーズの弊害だろうが、本作以降は何をやってもソーに見えてしまう

『ラッシュ/プライドと友情』の主人公ドライバーも『タイラー・レイク 命の奪還』の傭兵も、みな神通力がありそうで。まあ、それだけ、ソーがハマリ役ってことだ。

弟のロキを演じたトム・ヒドルストンの、ダークヒーローぶりが素晴らしい。宿敵ラウフェイの息子を奪い取ってオーディンが育てるという、シェイクスピア的な悲劇性もよい。

狡猾さと器の小ささに秀で、ニヒルな笑いが良く似合っている。元々ソー役のオーディションを受けていた彼を、ダークサイドの代表選手として抜擢したのはブレナー監督の慧眼だ。

天文学の研究熱心な気丈なヒロインのジェーン役のナタリー・ポートマン。次第にミステリアスなソーと惹かれ合うプロセスがよい。

MCUの過去作では、主役とヒロインは既に親しい関係にあり、きちんと出逢いを描いたのは本作が初だ。ジェーンはMCUの後半作品では殆ど出番がなくなってしまったのは残念。サミュエル・L・ジャクソンとともに、スターウォーズ・ファミリーでもある。

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その他の出演者で驚きはオーディンのアンソニー・ホプキンスか。ちょっと素顔が見えにくいが。彼以降、超大物俳優が共演者で登場するパターンが増えていく気がする。

ウォーリアーズ・スリーの一人の浅野忠信も、結構台詞があったし、続編にも登場する。MCUでの日本人としての初出演は嬉しい(もしかして、この後『アベンジャーズ/エンドゲーム』の真田広之までいない?)。

女戦士シフ(ジェイミー・アレクサンダー)も含めたこの連中はみな<陽気なソーの仲間たち>という感じで楽しい。

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だいじょうぶマイフレンド

地球に落ちてきたソーが怪力ぶりを発揮して、病院や町の人など周囲に迷惑をかけるコミカルなシーンは、昔懐かしい村上龍の『だいじょうぶマイフレンド』を思い出す。あれはピーター・フォンダだったかな。

バトルシーンとしては、ロキ操るデストロイヤーが古風なデザインにして意外と強く、ニューメキシコでの戦いはガンファイトっぽい要素もあり盛り上がる。それ以外は、ソーとロキの兄弟喧嘩なので、正直印象は薄い。

コールソンはじめS.H.I.E.L.D.は今回出番は多いが、ジェーンの研究を阻むお役所仕事が中心で、精彩を欠く。

ホークアイ(ジェレミー・レナー)の初登場は1シーンなので、忘れていた。銃を選ばず弓を手にするシーンがあった。但し、活躍はない。

本作で一番カッコよく活躍するのは、番人仕事を全うするヘイムダル(イドリス・エルバ)かも。

出たテッセラクト、最初のインフィニティ・ストーン

本作では、MCUの物語の鍵であるインフィニティ・ストーンの一つ、青い光のスペースストーンのテッセラクト(四次元キューブ)が登場。

ラウフェイからオーディンが奪い、箱に入れてアスガルドに保管していると思っていたが、本作ラストでフューリー長官が研究用にとテッセラクトをエリック・セルヴィグ博士(ステラン・スカルスガルド)に見せる。

どうやらいつの間にか箱からテッセラクトが地球に移っていたようだが詳細は語られず。

結局、ビフレストをソーが破壊したことで、地球に戻りジェーンと再会する約束が果たせなくなる。愛し合う二人の運命やいかに。