『死亡遊戯』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | シネフィリー

『死亡遊戯』ブルース・リー没後50年WBLC 2023⑤

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『死亡遊戯』
 Game of Death

ブルース・リーの突然の死後に代役とスタントでどうにか完成させた、幻の遺作。

公開:1978 年  時間:100分  
製作国:香港
 

スタッフ 
監督・脚本:     ロバート・クローズ

キャスト
ビリー・ロー:      ブルース・リー
           アルバート・シャム
アン・モリス:    コリーン・キャンプ
ジム・マーシャル:     ギグ・ヤング
ドクター・ランド:  ディーン・ジャガー
スタイナー:    ヒュー・オブライエン
カール・ミラー:     ボブ・ウォール
スティック:       メル・ノヴァク
ハキム: カリーム・アブドゥル=ジャバー
パスカル:      ダニー・イノサント
チャーリー:    ジェームス・ティエン
合気道の達人:          池漢載
カールの試合相手: サモ・ハン・キンポー
ヘンリー・ロー:      ロイ・チャオ

勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

(C)Fortune Star Media Limited. All Rights Reserved.

あらすじ

人気絶頂の映画スター、ビリー(ブルース・リー)は、芸能・スポーツ界を裏で牛耳る国際犯罪組織のボス、ドクター・ランド(ディーン・ジャガー)から自分の傘下に入るよう迫られていた。

ビリーは首を縦に振らず、業を煮やしたランドはビリーの恋人である歌手アン(コリーン・キャンプ)にも魔の手を伸ばし始める。

ランドの刺客が放った凶弾で重傷を負ったビリーは、一計を案じて自ら死を偽装。影の存在となり、復讐の機会をうかがう。

今更レビュー(ネタバレあり)

ハリウッド合作の『燃えよドラゴン』の撮影のために、1972年から撮影開始していた本作は中断されていた。まさかその間に、肝心のブルース・リーが急死しようとは、誰が想像しただろう。

それから5年が経過し、残された彼のフィルムと、苦心の末の代役や編集作業により、幻の遺作はついに日の目を見る。『燃えよドラゴン』ロバート・クローズが再びメガホンを撮り、遺志を引き継ぐ。

冒頭はいきなりチャック・ノリスとの対決シーン。『ドラゴンへの道』からの使いまわしだ。ありもののフィルムを繋ぎ合わせるつもりかと思いきや、これは映画の撮影という設定。

つまり、本作でリーが演じているビリー・ローはカンフーアクション・スターという設定なのだ。これはうまい手だ。こういう役なら、過去フィルムも有効に再利用できる。

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ビリーはドクター・ランド(ディーン・ジャガー)率いる巨大組織から契約を迫られていた。この組織は、映画スターやスポーツ選手を脅迫し終身専属契約を結ぶことで、多額の上前をはねていた。

ビリーはそれを拒絶したことで組織に狙われる羽目に。また、彼の恋人の歌手アン・モリス(コリーン・キャンプ)もまた同様の憂き目に遭っていた。

撮影中に照明が落下する脅迫でも屈しないビリーに、組織は小道具の銃に秘かに実弾を入れてビリーの顔を撃たせる。

1993年にブルース・リーの息子ブランドンが、同じような小道具の銃の発砲事故で実際に亡くなっている運命の皮肉を思い出す。

本作でのビリーは一命を取り留めるが、世間には盛大な葬式を執り行い、整形手術して復讐に動き出す。

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リー本人の残した撮影フィルムはほぼ対決シーンだったため、俳優ビリーとしてのシーンの多くは代役アルバート・シャム、そしてアクションのスタントにはタン・ロンユン・ワー、それにユン・ピョウの名もある。

正直言って、本人でないことはバレバレだし、中にはリー顔写真を貼っただけの合成もあり、半ばやけくそ気味の出来だ。スタントのアクションもレベルは低くはないのだろうが、さすがに本物の一打必殺のキレとは比較にならない。

でも、みんな終盤には本物のリーの最後のアクションが待っていると信じ、ひたすら温かい目で作品を観るのである。

死人となったビリーは変装し、マカオの世界空手大会に潜入し、ランド子飼いの空手チャンピオン、カール・ミラー(ボブ・ウォール)をロッカールームで叩きのめす。

ちなみにカールがリング上で倒した相手はサモ・ハン・キンポー。あのふくよかな体型で回し蹴りを決めるのは凄い。

カールが殺されて、ビリーの死を疑いだしたランドは、配下のスタイナー(ヒュー・オブライエン)に墓をあばかさせる。棺の中にはビリーの陶器の顔。

こうして組織はビリーの恋人アンを拉致し、ビリーの仲間のジャーナリスト、ジム・マーシャル(ギグ・ヤング)を介して、ビリーを誘き出す。

本来の構想では、敵を一人ずつクリアして上階に昇っていく五重塔を舞台にしたアクションだったはずが、リーの急死により変更を余儀なくされた。

だが、バイクで襲ってくる連中を一人ずつ蹴散らし、かの有名なマスタードイエローのジャンプスーツを敵から奪って着替えたビリーは、単身で敵のアジトへ。

ここから先は、いよいよ本物のブルース・リー登場だ。整形したはずなのに、カットが繋がらないよと文句をいう観客はいないだろう。だって、我々はこれが目当てなのだから。

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1階ではヌンチャク対決(ジェームス・ティエン)、2階では合気道の猛者(池漢載)、3階では巨人との戦い(カーリム・アブドゥル=ジャバール)、そして棒術の達人(ダニー・イノサント)をはさんで遂にランドと対峙するビリー。

黄色いジャンプスーツを着て、これだけサマになるヤツは他にいない。『キル・ビル』ユマ・サーマン『コンフィデンスマンJP』長澤まさみなど、その着こなしは女子にも浸透。

アクションシーンは見応えがあるというより、一瞬たりとも見逃すものかと瞬きをこらえて見入る感じになる。圧巻なのは、あの進撃の巨人とのバトル。

彼はNBAのレイカーズの選手だったそうだが、2メートル超えの体躯から生み出される超人的な蹴りには圧倒される。ビリーと並ぶと大人と子供だ。胸にくらった足跡のでかさは怪獣なみである。

ラスボスのランドは当然戦うはずもなく、逃げるうちに屋上から転落死。そしてエンドクレジットは、ブルース・リーの過去映像でスーパースターを偲ぶ。

映画の完成度としては不満点が多いかもしれないが、彼を愛した仲間たちが何とかここまで仕上げたことに、敬意を表したい。