『A Little World』
公開:2012 年 時間:20分
製作国:日本
スタッフ 監督: 藤井道人 キャスト eP、清野優美、塩澤英真、木村大志、日高秀
勝手に評点:
(一見の価値はあり)
あらすじ
写真家の道をあきらめ、母国に帰ることになった韓国人のジュンス。渋谷で専門学校の仲間とお別れ会をしているジュンスだったが、チンピラに絡まれ意識を失ってしまう。
ジュンスが目を覚ますと、彼の前にひとりの女性が立っていた。これは、ジュンスとその女性アヤの東京の街をめぐる、一晩の記憶の物語。
今更レビュー(ネタバレあり)
渋谷の繁華街のはずれで偶然出会い夜明けまでを過ごす一組の男女を描く。15分しかない短編だが、切り取り方がいい。
写真を学びに日本に来たが、夢敗れて、裕福な父の暮らす韓国に明日戻ることになる韓国人の若者。仲間との送別会。二か国語を話すイケメンの彼の巧みな話術で、女の子をひっかけるのが仲間たちの定番スタイル。だがその晩は女の連れの男たちに絡まれ、ボコられる。
一方、韓国語の通訳を勉強している生真面目な女は、合コンの軽薄なノリに辟易し、二次会を断り終電へと急ぐ。公園で傷だらけで自暴自棄の男が叫ぶ韓国語が耳に入り、心配した彼女が彼を看る。
そこからの一晩。といってもラブホ街に向かうような話ではなく、コンビニ前で缶ビールで語り合うだけなのだが、その純朴な爽やかさに好感。渋谷で夜明けを迎えるのなんて、久しく経験してないな。さあ、狭い世界から飛び出そう。
『東京』
公開:2014年 時間:43分
製作国:日本
スタッフ 監督: 藤井道人 キャスト 世良優樹、打越梨子、大谷哲朗、金沢匡紘、蝦名聖也、池田薫、田中優希、土田さなえ、益田篤、アベラヒデノブ
勝手に評点:
(悪くはないけど)
あらすじ
地方から様々な理由で上京してきた若者たち。彼らは何を思い東京に残り、何を思い東京を去っていくのか。東京に生きる若者にスポットを当てた群像劇。
今更レビュー(ネタバレあり)
「あなたにとって東京とは?」
「一旗あげる場所です」
渋谷の街頭インタビュー。田舎から東京に出てきた若者たち。夢をあきらめずに売れない役者を続ける者や、パワハラ女上司のもとでブラック営業に明け暮れる者。娘のアイドルデビューを目指して、家族で上京してきたヒステリー気味の母と、その犠牲になっている姉妹。
題材も描き方もあまりに出がらし感があって、正直40分は長かった。東京といえば東京タワーに行ってしまう男女も、いまだにそういうものなのか。東京タワーはリリー・フランキーでブームが去ったのかと思っていたが。
「おれ、地元に帰るわ」
それって、こんなに衝撃的な展開につながる台詞なのかい。ああ、ちょっと鬱陶しい。
デリヘル嬢やってる女子高生が、ステージママに憧れるヒステリーママの長女なのだけれど、彼女が母親に真向から反論してボロボロ涙を流すシーンだけは見事だった。あそこまで泣いて訴える演技はすごい。