『アバター』今更レビュー|ジェームズ・キャメロンの興行記録は、また自身により塗り替えられるのだろうか

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『アバター』 
 Avatar

観るのではない。そこにいるのだ。ジェームズ・キャメロン監督が世界を驚かせた最新3D技術による新体験。

公開:2009 年  時間:162分 
製作国:アメリカ
 

スタッフ  
監督・脚本:  ジェームズ・キャメロン
撮影:       マウロ・フィオーレ
音楽:      ジェームズ・ホーナー

キャスト
<地球人(スカイ・ピープル)>
ジェイク・サリー: サム・ワーシントン
マイルズ大佐:  スティーヴン・ラング
グレイス博士:  シガニー・ウィーバー
ノーム:ジョエル・ デヴィッド・ムーア
マックス・パテル博士:ディリープ・ラオ
トゥルーディ:  ミシェル・ロドリゲス
セルフリッジ:  ジョヴァンニ・リビシ
<ナヴィ>
ネイティリ:     ゾーイ・サルダナ
モアト(母):    CCH・パウンダー
エイトゥカン(父):ウェス・ステュディ
ツーテイ:       ラズ・アロンソ

勝手に評点:4.0
(オススメ!)

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

あらすじ

22世紀、人類は希少鉱物を求めて地球から遠く離れた神秘の星パンドラで「アバター・プロジェクト」に着手。

「ナヴィ」と呼ばれるパンドラの種族と人間のDNAを組み合わせた肉体「アバター」を操ることで、人体に有毒な大気の問題をクリアし、鉱物を採掘することが可能になった。

この計画に参加した元兵士ジェイク(サム・ワーシントン)は車椅子の身だったが、アバターを通して自由に動き回ることができるようになった。

パンドラの地で、ナヴィの族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と恋に落ちたジェイクは、パンドラの生命を脅かす自身の任務に次第に疑問を抱くようになり、星の運命を決する選択を迫られていく。

今更レビュー(ネタバレあり)

観るのではない。そこにいるのだ。

2009年に公開されて世界興行収入歴代1位となっている大ヒット作『アバター』。一時、『アベンジャーズ/エンドゲーム』(2019年)にその座を譲ったものの、2021年に中国での再公開により、再び王座に返り咲いているという。

そもそも本作の登場で、自身の監督作『タイタニック』(1997)から一位を奪っているのだから、ジェームズ・キャメロン監督の偉業には改めて恐れ入る

2022年12月に13年ぶりとなる待望の続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』公開が予定され、それに先立ち本作の3Dリマスター版が期間限定で劇場公開された。

おまけで、新作の特別映像が本編終了後に付け加えられている。本筋とは関係のない内容だが、これはこれで映像技術の進歩を感じさせ、期待値が高まる。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

さて、当時最高と謳われた3D映像をもう一度体験するには、やはり劇場に足を運ぶしかない。重い腰を上げたが、今回はスケジュールの都合でIMAXではなく、通常版の3Dを選んだ。

おそらく当初公開時の私は、IMAX版を観賞したのではないか。そのせいか、3Dのナチュラルな美しさには今回も感心させられたものの、今だに覚えている圧倒的な3Dの臨場感は、今回は希薄だった。

これは、13年の歳月を経て3D映像慣れしてしまったからではないと思う。とはいえ、通常版だから本作の価値が色褪せるわけではなく、十分に楽しめたので良かったのだが。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

スカイ・ピープルとナヴィ

時は22世紀。舞台は、地球の熱帯雨林を思わせる密林に深く覆われ、神秘的な美しさを湛える惑星パンドラ

地球のエネルギー問題の解決の鍵となる希少鉱物を採掘するため人類はパンドラに進出するが、先住民族のナヴィは地球側の提示する条件にまったく関心を示さなかった。

そこでRDA(資源開発公社)地球人とナヴィそれぞれのDNAを掛け合わせた人造生命体に操作員の意識を憑依させた<アバター>を開発し、交渉を進めようとする。

<アバター>とは本来、化身や分身といった意味の言葉だ。公開当時は聞き慣れなかったが、オンラインゲーム等の台頭で、今ではすっかり日常用語に定着している。

主人公は元海兵隊員のジェイク・サリー(サム・ワーシントン)。戦争の負傷で車椅子生活だが、双子の兄の急死で、代役として急遽この計画に抜擢される。

いきなり危険で重要なプロジェクトに投げ込まれた男が、ろくに知識も素養もないが、持ち前の海兵隊スピリッツと身体能力で道を切り開いていく。何とも分かりやすく、だが盛り上がる人物設定だ。

しかも、ジェイクはアバターとなることで、下半身不随から解放され、自由に走り回れる。アバターの概念を端的に観客に説明する意味でも、これは効果的だ。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

持ってるヤツには敵わない

勇猛果敢にナヴィの暮らす集落に単身入り込んだジェイクは、猛獣たちに襲われそうになったアクシデントを奇貨として、族長の娘ネイティリ(ゾーイ・サルダナ)と出会い、ここから二人は親密になっていく。

自然の森の中で暮らす動物たちの生命と、それを食して生きる者の感謝の気持ち、神を崇める信仰心。ナヴィのネイティリの生き様が風の谷のナウシカとどこか重なる。

彼女をはじめナヴィは人間ではないので、みな青い皮膚と、肉食動物を思わせる独特の風貌を持っている。はじめは若干馴染めないが、途中からはこのビジュアルに何の違和感も感じなくなるほど、心情的にナヴィに肩入れしているはずだ。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

それにしても、ネイティリ役のゾーイ・サルダナは、『アベンジャーズ/エンドゲーム』にもガモーラ役で出演しており、世界興行収入歴代1位作品と実に縁が深い。

ネイティリは青い肌、ガモーラは緑の肌と、素顔が認識されにくい役ばかりなのはお気の毒だが、ゾーイ・サルダナ<(強運を)持ってる俳優>なのは確か。

AVATAR Official Final Trailer (2009) James Cameron Sci-Fi Action Movie HD

意外やストーリーは古典的

脳神経と機械をつないで本人のアバターのような存在が登場する作品としては、例えばウォシャウスキー姉妹『マトリックス』ノーラン監督『インセプション』が挙げられるだろう。

だが、どれも仮想空間や夢の中が舞台であり、本作のように、本人とアバターが同じ現実世界に存在する例は珍しい(同時に覚醒はできないが)。

このような新奇な舞台設定や高品質の3D技術による全く新しい映像体験などを目の前にした観客が、更に混乱をしないように配慮したのか、本作のストーリーは極めて古典的であり、あまり頭を悩ませる心配はない。

ナヴィたちに敵視されていたジェイクも次第に受け容れられるようになり、当然のようにネイティリと恋に落ちる

マッチョなマイルズ・クオリッチ大佐(スティーヴン・ラング)は、この惑星でも元海兵隊大佐のステレオタイプなキャラを背負って憎まれ役を貫く。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

ナヴィとの共存よりも人類の未来、或いは組織の損得優先の計画責任者パーカー・セルフリッジ(ジョヴァンニ・リビシ)も定型キャラ。

一方、ジェイクの味方に付く側は、グレイス・オーガスティン博士(シガニー・ウィーバー)や同僚のノーム(ジョエル・デヴィッド・ムーア)、大佐に背いてこちらに付くヘリパイの女性兵士トゥルーディ(ミシェル・ロドリゲス)など、こちらも分かりやすい布陣。

(C)2022 20th Century Studios. All Rights Reserved.

敵味方の陣営がはじめから読めるのと、地球人(スカイ・ピープル)対先住民ナヴィの最終決戦に流れ込む構図。これも古くは西部劇から語り継がれるスタイルと思え、予想外の展開はあまりない。

それを不満とする声もあるかもしれない。私も久々に観直した本作で、話の流れがあまりに分かりやすいことにはちょっと物足りなさを覚えた

だが、圧倒的な武力行使でナヴィたちの虐殺に走るスカイ・ピープルの暴挙に対し、民族の力を結集し立ち向かうナヴィ、そして神の思し召しか、そこに森の動物たちも参戦しての一大決戦は、その物足りなさを打ち返す圧巻の出来栄えだった。感動的でさえある。

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ジェームズ・キャメロンの再起動

本作には、ジェームズ・キャメロン監督のエッセンスがふんだんに詰まっている。ジェイクとネイティリの「ロミオとジュリエット」的な家柄の違いを超える禁断の愛は、『タイタニック』を意識したのかもしれない。

マイルズがパワーローダーに搭乗して戦う姿など、まんま『エイリアン2』のようだし、今回は戦わないけどシガニー・ウィーバーもいる。

『ターミネーター』シリーズからは、サム・ワーシントンが出演していることで、どこか繋がりを感じさせる。そもそも、生身の人間であるマイルズが、いくら攻撃してもなかなか死なないところなど、『ターミネーター』譲りのしぶとさである。

Avatar | Official Trailer (HD) | 20th Century FOX

さあ、いよいよ続編の登場だ。ジェームズ・キャメロン監督は近年企画・製作に携わることはあっても、自身で映画のメガホンを取るのは、実に前作以来13年ぶり

しかも、なんとここから2年おきに4本の続編が企画されているというではないか。嬉しい限りだ。よし、今度こそIMAXで観るぞ。