『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | ページ 2 | シネフィリー

『ヴェノム』『ヴェノム:レット ゼア ビー カーネイジ』一気通貫レビュー!

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1. 『ヴェノム』(2018)
2. 『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』(2021)

『ヴェノム:レット・ゼア・ビー・カーネイジ』
Venom: Let There Be Carnage 

公開:2021 年  時間:97分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:        アンディ・サーキス

キャスト
エディ・ブロック / ヴェノム: 
            トム・ハーディ
クレタス・キャサディ / カーネイジ: 
          ウディ・ハレルソン
フランシス・バリソン / シュリーク: 
            ナオミ・ハリス
アン・ウェイング: 
        ミシェル・ウィリアムズ
パトリック・マリガン刑事: 
        スティーヴン・グレアム
ダン・ルイス:    リード・スコット
チェン:         ペギー・ルー

勝手に評点:2.5
          (悪くはないけど)

(C)2021 CTMG. (C) & TM 2021 MARVEL. All Rights Reserved.

あらすじ

「悪人以外を食べない」という条件でエディ(トム・ハーディ)の体に寄生した地球外生命体シンビオートのヴェノムは、食欲制限を強いられ不満を抱えながらも、エディとの共同生活をそれなりに楽しんでいた。

そんな中、ジャーナリストとして未解決事件の真相を追うエディは、刑務所で死刑囚クレタス・キャサディ(ウディ・ハレルソン)と再会する。

クレタスは猟奇殺人を繰り返したシリアルキラーで、死刑執行が迫っていた。エディに対し異様な興味を示すクレタスは突如として彼の腕に噛み付き、その血液が人間とは異なることに気づく。そして死刑執行の時、クレタスはついにカーネイジへと覚醒する。

レビュー(ネタバレあり)

カーネイジのキャラは良かったけど

私には残念な作品にしか思えなかった前作が興行的には成功を収めたらしく、めでたく二作目が世に出ることになった。

起死回生の一打となることを期待したが、やはり前作でダメ出しした本質的な欠点は変えようもなく、評価としては横ばいだった。

ただ、意外と健闘していた点も多い。一般的には二作目の利点ともいえるテンポのよさ。

シンビオートというものの出自や、ヴェノムの脳みそとチョコレートが大好物というキャラ設定、或いはエディ(トム・ハーディ)アン(ミシェル・ウィリアムズ)との人間関係など、無駄な説明は不要でポンポンと話が進む。これは気持ちよい。

そして、前作のラストでチラ見せだけだったダークヒーローのクレタス・キャサディ(ウディ・ハレルソン)が、なかなか魅力的だ。

前作のリズ・アーメッドが若造に見えてしまう、ウディ・ハレルソンの渋さ。コーエン兄弟の『ノーカントリー』の頃と変わらない不敵な笑み。

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彼の恋人役のフランシス・バリソンには、007のマネーペニーで活躍のナオミ・ハリス。それもただの恋人ではなく、イルカ並みの超音波を発声することができ、人間の聴覚を麻痺させるどころか、ヴェノムたちの嫌いな高周波まで自在に操れる。

さすがにジョーカーとハーレイ・クインほどはキャラ立ちしていないけれど、前作よりは敵陣の面白味は増している。

そして、大量殺人の犯人として捕らえられ、死刑執行前夜のクレタスに記者として面会したエディが彼に指を噛まれたことで、ヴェノムの血液が彼の体内に残留。

そこに死刑執行で毒薬が注入されたことで、はい怪物カーネイジの出来上がりといったところだ。

二人羽織的なコントがさらに強化

前作でも指摘した、敵味方が同じ造形の怪物同士で争うのは変化に乏しくつまらないという点は、今回少し改善されている。

カーネイジもシンビオートなので基本はヴェノムに似るが、背中から生えているドクター・オクトパスのような長い脚は特徴的だし、何よりヴェノムの黒に対してカーネイジの赤い身体は判別しやすくてよい

ところで、この敵キャラの名前でもあるカーネイジ<大殺戮>を意味する。Let There Be Carnageだと、「大殺戮を生じさせよ」或いは「大殺戮を起こせ」といった日本語になるのだろう。

だが、英語ならともかく、カタカナで並べられてもちょっと言いにくく覚えにくい。どうせ日本ではみんな「ヴェノム2」としか呼ばないのでは。まあ、そんなことが興行成績に影響するのか知らないが。

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本作は前回以上に脱力系で、ヴェノムとエディの二人羽織みたいなやりとりは終始コントだった。

ヴェノムのせいでエディの口から不規則・不適切な発言が次々飛び出していると周囲に誤解される様子は、エドワード・ノートン『マザーレス・ブルックリン』で演じた、思ったことが口に出てしまう病気の男のようだ。

  • クレタスが独房の壁に描いていた絵をヴェノムが両手で画用紙に再現するところ
  • 今では二人の良き理解者となっている中国人女性のコンビニ店長チェン(ペギー・ルー)との会話
  • エディと喧嘩別れしたヴェノムが参加して大いに盛り上がるコスプレパーティ

どれもみな面白いのだが、はたしてこの「ソニーズ・スパイダーマン・ユニバース」というやつは、こんなに笑い主体の構成でよいものなのか、少々不安になる。

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お祭り騒ぎの血の結婚式

クレタスとフランシスが結婚式をあげることになり、クレタスと共生しているカーネイジが、それなら一人ずつゲストを招こうと言い出す。かつてフランシスの目を撃った、室田日出男似のマリガン刑事(スティーヴン・グレアム)、そしてエディとヴェノムの三人だ。

結局その結婚式でこの6名入り乱れての大バトルが繰り広げられ、そこにエディの元カノのアンとその婚約者のダン(リード・スコット)も入ってお祭り騒ぎとなる。

この戦いの終わりにマリガン刑事の目が青く光る。それはきっと、次作にでてくる新たなヴィランなのだろう。なんか、こうやって無理やり続編キャラに繋げていくマーベルお得意パターンも、いい加減食傷気味だ

しかも本作のラストには、とってつけたようにピーター・パーカーが出てくる。そりゃスパイダーマン・ユニバースなのだから、出てきたっていいけれど、ならばちゃんと本筋に絡んでこいや、といいたい。

しかし、このノリと品質が続くようだと、次の『モービウス』観るべきか悩むなあ。