『デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-』 考察とネタバレ:好き者にはたまらない、B級テイストのバイオレンス

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『デンジャラス・プリズン -牢獄の処刑人-』
 Brawl in Cell Block 99

容赦ない暴力描写でカルト的人気のS・クレイグ・ザラー監督。何の迷いもなく突き進む塀の中のバイオレンス溢れるミッション。

公開:2017 年(日本未公開)  時間:132分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:       S・クレイグ・ザラー

キャスト
ブラッドリー:   ヴィンス・ヴォーン
ローレン: ジェニファー・カーペンター
ウォルデン・タッグス :ドン・ジョンソン
プラシッドマン:      ウド・キア
ギル:        マーク・ブラカス

勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

(C) 2017 BCB99, Inc. All Rights Reserved.

あらすじ

失業してドラッグの運び屋になった元ボクサーのブラッドリー(ヴィンス・ヴォーン)は、取引現場で警察との銃撃戦に巻き込まれ、逮捕されてしまう。

刑務所に送られた彼のもとにギャングの弁護士(ウド・キア)が面会に訪れ、取引失敗の代償として、レッドリーフ重刑務所に服役している男の殺害を命じる。

妊娠中の妻ローレン(ジェニファーカーペンター)を人質に取られたブラッドリーは、レッドリーフ重刑務所への移送を狙って騒動を起こす。

レビュー(まずはネタバレなし)

カルト人気S・クレイグ・ザラーが濃厚

容赦ないバイオレンス描写とユニークな世界観で、カルト的な人気があるというS・クレイグ・ザラー監督。

作品は日本未公開が多く、初公開作が先日観た『ブルータル・ジャスティス』なのだが、その独特な作風から、本作に手を伸ばしたくなった。

さすがに本作の方が古いだけあって、『ブルータル・ジャスティス』よりも監督の作りたいものの純度が濃厚に感じられる。

タランティーノやロドリゲスの『グラインドハウス』を思わせるB級ムービー特有の匂い。好き者にはたまらないだろう。

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全ては、ツイてないあの日から始まった

冒頭でいきなり勤め先をレイオフされるボクサー崩れの主人公ブラッドリー(ヴィンス・ヴォーン)。帰ってみれば自宅では妻ローレン(ジェニファー・カーペンター)浮気が発覚。

この泣きっ面に蜂な状態で、大男ブラッドリーが激昂して妻や浮気相手に暴れまわる話かと思えば(実際、クルマは素手で大破させるが)、夫婦仲は戻る。

そして1年半後、妻は妊娠し、夫は麻薬売買を仕切るギル(マーク・ブラカス)の下で腕利きの運び屋になっている。

ここから物語はテンポよく進む。ギルには一目置かれるブラッドリーだったが、初めての相手との気の進まない大きな麻薬取引に駆り出された末、警察との銃撃戦で逮捕されてしまう。

彼は、自分の警告に従わずにこの危機を招いた取引相手を銃撃戦のどさくさで射殺する。

警察は彼に、相手の身元を吐けば悪いようにしないと取引を持ち掛けるが、ブラッドリーは口を割らず、7年の実刑で刑務所に収監される。

何より楽しみにしていた、娘の出産にも立ち会えず、厳しい受刑者生活が始まるのだ。いよいよタイトル通りの展開になってくる。

ブルータル・ジャスティスの出演者たち

主演のブラッドリー役のヴィンス・ヴォーンをはじめ、妻のジェニファー・カーペンター、そして、この後登場するドン・ジョンソンウド・キアも、みんな『ブルータル・ジャスティス』の出演者だ。

S・クレイグ・ザラーは、息の合った身内で出演者を固めるタイプの監督なのかもしれない。ただ、ここに挙げた俳優陣の誰もが、本作の役柄の方がより活躍の場が与えられているように思う。

それぞれに、鬱積していたものを爆発させるようなスカッとする瞬間があり、観ている方も留飲が下がる。

ヴィンス・ヴォーンは、『ブルータル・ジャスティス』の刑事役と同様、無口で無愛想だが、たまに語る時のとぼけてぶっきらぼうな台詞が面白い。

刑事役では彼のマッチョな体格をあまり活かしていなかったのを不思議に思っていたが、本作では、全編にわたり全身の筋肉総動員の場面が多く、本領発揮の感がある。

レビュー(ここからネタバレ)

ここからネタバレする部分がありますので、未見の方はご留意願います。

刑務所でじっとしていられるはずがない

さて、こうして刑務所に入るブラッドリー、大事な結婚指輪は没収され、看守には Enjoy your stay !と皮肉られ、興味もないボクシング部に勧誘されと大忙し。

通常なら、ここで気のいい相棒と出会い、刑務所内の情報屋や、牢名主のような暴れん坊がいて。だが、そんなありがちなパターンが本作に通用するわけがない。

すぐに、麻薬取引を潰された相手組織が報復で妊娠した妻を拉致し、妻の産科医を装った男が面会に来る。組織の弁護士を名乗る男・プラシッドマン(ウド・キア)

レッドリーフ重刑務所に服役するクリストファー・ブリッジという男を殺せば、取引のミスを帳消しにしてやる。だが、失敗すれば、生まれてくる娘の手足を切って、送りつけてやる。

プラシッドマンの何という卑劣ながらも盛り上がる設定。ウド・キアの演技が冴える。引き受けない訳にはいかない。ここからいっきに、バイオレンス・モードが加速する。

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更にハードなステージへ

まずは、この刑務所で懲罰をくらって、レッドリーフ重刑務所とやらに搬送されなければいけない。いきなり、刑務官をボコボコにして腕をへし折る荒業に出る。

そして念願かなって運ばれたレッドリーフで、ついに現れたサディスティックな所長がドン・ジョンソンなのである。くーっ、似合い過ぎる。

まずは便器も壊れて臭くて食事もできない個室をあてがわれ、ここでも暴れに暴れて、文字通りダンジョンに到達。

99番の部屋にいるはずの、ブリッジという名の男を探しあてるまでの不気味さは、『20世紀少年』の海ほたる刑務所を思い出させる。

ここから先は、文字にしても伝わらないバイオレンスだ。妻と生まれ来る娘のために、必死でミッションをクリアしようとするブラッドリーに感情移入しつつも、その容赦ない暴力性には、ちょっとドン引きもする。

死体の顔のつぶれ具合も、妙にコミカルだったりする。まあ、この辺は好き嫌いが分かれるところだろう。

万人受けはしないけれど、万人に受ける映画などクソくらえだ、という人はハマってしまうかも。

話の手じまい方も、無駄がなくていい感じ。B級映画の終わり方はこうでなくては。全体の仕上がりとしては、私は『ブルータル・ジャスティス』の洗練よりも、本作の粗削りの魅力を買う。