『コンフィデンスマンJP ロマンス編/プリンセス編』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | ページ 2 | シネフィリー

『コンフィデンスマンJP ロマンス編/ プリンセス編』|一気通貫レビュー

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01『コンフィデンスマンJP ロマンス編』 
02『コンフィデンスマンJP プリンセス編』
 

『コンフィデンスマンJP プリンセス編』 

公開:2020 年  時間:124分  
製作国:日本
  

スタッフ 
監督:     田中亮
脚本:     古沢良太

キャスト
ダー子:   長澤まさみ
ボクちゃん: 東出昌大
リチャード: 小日向文世
コックリ:  関水渚
五十嵐:   小手伸也
トニー:   柴田恭兵
赤星栄介:  江口洋介
ジェシー:  三浦春馬
スタア:   竹内結子
波子:    広末涼子


勝手に評点:2.5
(悪くはないけど)

(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会

あらすじ <公式サイトより引用>

世界有数の大富豪フウ家の当主レイモンド・フウが亡くなった。

遺産を巡り火花を散らしていたブリジット、クリストファー、アンドリューの三姉弟の前で執事トニーが発表した相続人は、誰もその存在を知らない隠し子ミシェル・フウだった。

ミシェル捜しが続く中、10兆円とも言われる遺産を狙い、我こそはミシェルと世界中から詐欺師たちが伝説の島ランカウイ島に大集合。

そして、ダー子、ボクちゃん、リチャードの三人も、フウ家に入り込み、華麗に超絶大胆にコンゲームを仕掛け始める…はずが、百戦錬磨のコンフィデンスマン・ダー子たちに訪れる最大の危機。

誰がフウ家の当主の座を射止めるのか。世界を巻き込む史上最大の騙し合いが始まる。

一気通貫レビュー(ネタバレなし)

調子こいて、やっちまった感が強い

前作ロマンス編で、劇場版としても面白さを再認識させてくれた本シリーズだが、正直今回は調子にのりすぎた感が否めない

興行成績は良かったように思うし、世間的な評価もけして低くはないようだが、私には新鮮味が感じられなかった。

昨年惜しくも相次いで他界した三浦春馬竹内結子が、楽しそうに詐欺師を演じる姿がスクリーンで観られるだけでも、作品の存在意義はある。

だが、もしロマンス編を未見であれば、まずはそちらを観ることをお勧めする。映画の出来栄えも、二人の躍動感も、同作の方が優れているから。

(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会

お馴染みのメンバーと常連組

お馴染みメンバー、ダー子(長澤まさみ)ボクちゃん(東出昌大)リチャード(小日向文世)の息の合い方は相変わらず快調。今回は五十嵐(小手伸也)の活躍もいつもより増量なのが嬉しい。

そして今回加わった仲間、コックリを演じた関水渚『町田くんの世界』で主演デビューのフレッシュさは健在。

脇を固める連中もロマンス編からの続投が多い。赤星(江口洋介)ジェシー(三浦春馬)スタア(竹内結子)、その他カメオ出演的な過去キャラも本作の魅力である。

ただ、世界的な大富豪が亡くなって、仲の悪い三姉弟をさしおいて執事が発表した相続人は、存在を知らない隠し子という、カビの生えたような古臭いプロットはどうだ。

湖の底から死体の脚が浮き上がってきそうな、横溝正史もびっくりの相続争いものの古めかしい設定をコン・ゲームに使うには、もう少しリアリティが欲しかった。

三姉弟のビビアン・スー、古川雄大、白濱亜嵐。みんな熱演していたけれど、どうにも大富豪家で培った教養や品性が感じられず。出演者全員が詐欺師にみえてしまう始末だ。

北王路欣也柴田恭兵を起用して重厚感を出すにも限界がある。特に執事トニー柴田恭兵ひとりに、シリアスな芝居を求めるのは酷というものだ。

台湾・シンガポール・マレーシア

前作の香港から今回はシンガポールというのも安易だ。それもご当地ムービーに徹しているのならまだしも、およそ出演者たちが現地ロケしているのかさえ疑わしいレベル。

マリーナベイサンズのホテルの遠景を撮っただけで、あとは国内ロケでしたと言われても、私は驚かない。冒頭の台湾も、途中に強引に挟んだクアラルンプールも同様だ。

前回のブルース・リー『死亡遊戯』黄色いジャンプスーツに代わる新ネタが欲しかった。

(C)2020「コンフィデンスマンJP」製作委員会

なぜ、英語にこだわったのか

本作が心に響かなかった最大の理由は、英語セリフの多用ではないか。

出演者の英語は総じて流暢に話していたように思えたが、観る者の感情に訴えるレベルの英語には到底及ばない。無事に話せているね、とハラハラしながら聞くことになる。

北王路欣也の遺言にしたって、たとえ本人の声でも英語で読み上げられると、どうにも感動しにくい

出演者は殆ど日本人か日本語堪能なのに、あえて英語で台詞を言わせて、誰が喜ぶのだ。はじめに全部日本語吹き替えですと宣言することが可能な作品なのに、あえて英語漬けにしたのは残念。

最後に、私の気に入った点をひとつ。

元祖オサカナの赤星(江口洋介)は今回もダー子たちに一泡ふかせてやろうと企むのだが、キャラ的には前回より更に際立って、いよいよ銭形のとっつぁん化が加速している。

敵として追いかけながら、失えば寂しさを感じてしまう。赤星の登場のおかげで、映画としては少し面白味が出てきた。

まあ、それでも私は、本シリーズならロマンス編を観るか、或いは素直にテレビドラマを楽しむなあ。