『沈まない三つの家』
『お兄チャンは戦場に行った!?』
『お兄チャンは戦場に行った!?』
公開:2013 年 時間:29分
製作国:日本
スタッフ
監督: 中野量太
キャスト
お兄チャン: 内村遥
妹: 小宮一葉
勝手に評点:
(悪くはないけど)
あらすじ
4年間引きこもっていた兄は、戦場カメラマンになるという夢を見つけて部屋を出た。そして、都会で女優を目指している妹に会いに行く。妹だけが持っている幸運の御守りをもらいに!
今更レビュー(ネタバレあり)
お兄チャンが頼りないのは王道パターン
こちらは30分の短編であるが、『沈まない三つの家』と同じ舞台ではないかと思われる、大きな川と橋が登場。
4年間引きこもりだったお兄チャン(内村遥)が、一人暮らしの妹(小宮一葉)を突如訪ねてきては、自分がやるべきことがやっとみつかったという。それは戦場カメラマン。
バカらしい話ではあるが、兄妹のかけあいは微笑ましく、妹のインスタントラーメンを褒め称える兄にも笑える。
中野量太監督の描く家族にしては、比較的平和なことに意外性を感じる。何をやっても中途半端でダメな兄貴は、車寅次郎に通ずる邦画の王道パターンといえる。
◇
いい味を出していた主演の二人は、今泉力哉監督の『こっぴどい猫』でも共演。というか、この作品には、二人のほかにも『沈まない三つの家』のコンビニ店長(木村知貴)と入院の叔父(泉光典)も出演しているのだ。
監督が違うのに、こんなに出演者が被るのは、監督の交友関係なのか、事務所が一緒なのか、よく分からないが。
なお、本作の内村遥がその後に日曜劇場『陸王』、中野監督の同年公開『チチを撮りに』の滝藤賢一が日曜劇場『半沢直樹』で、いずれも池井戸原作のドラマで知名度を上げている。
お兄チャンはお守りをもらった
さて、この話の骨格となるのは、戦場で流れ弾にあたらないように、古式ゆかしく、女性の〇〇の毛をお守り代わりに頂戴という話。
このネタで映画を引っ張るのも凄いが、画面いっぱいに神々しく縮れた毛が映し出されるシーンも珍しい。「母さんには即刻断られ、婆ちゃんのは効き目が弱そうで」は笑えた。
駅前の証明写真ボックスの映画的な活用法では、かの名作『アメリ』や『都会のアリス』に続く作品かもしれない。
さて、結局お兄チャンはお守り持って、戦場に行ったのか!?