『アイアンマン2』
Iron Man 2
トニー・スタークの人格破綻ぶりが凄いので、一度ウォーマシンに叩きのめされて更生してほしい。ミッキー・ロークの薄汚れたヴィラン、ウィップラッシュが渋くて超クール!
公開:2010 年 時間:124分
製作国:アメリカ
スタッフ
監督: ジョン・ファヴロー
キャスト
トニー・スターク/ アイアンマン:
ロバート・ダウニー・Jr
ジェームズ・ローズ/ ウォーマシン:
ドン・チードル
ペッパー・ポッツ:
グウィネス・パルトロー
ナターシャ・ロマノフ:
スカーレット・ヨハンソン
ニック・フューリー:
サミュエル・L・ジャクソン
フィル・コールソン:クラーク・グレッグ
イワン・ヴァンコ/ ウィップラッシュ:
ミッキー・ローク
ジャスティン・ハマー:
サム・ロックウェル
勝手に評点:
(一見の価値はあり)コンテンツ
あらすじ
巨大軍事企業の経営者であり、天才科学者でもあるトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr.)は、前作で自ら開発したすさまじいパワーを発揮するパワードスーツを装着し、アイアンマンとしてテロ組織と激闘を繰り広げた。
その後、スタークはパワードスーツを軍事利用のため国家に引き渡すよう命じられるが、これを拒否する。一方、スタークを敵視するウィップラッシュ(ミッキー・ローク)がアイアンマンと同等なパワーを持つスーツでモナコGPに現れる。
一気通貫レビュー(ネタバレあり)
ヒーローが人格者とは限らないのだ
『アイアンマン』から2年でこれだけの規模の続編を仕上げるとは、すっかりマーベルも量産体制に入ってきた。
自分の正体を公言して以降、ロックスター気取りで民衆相手にスタークエキスポの舞台でバカ騒ぎのトニー。この人格破綻ぶりが凄い。ホントにヒーローでいいのか。
◇
自宅パーティで女性客が放り投げるシャンパンボトルを、クレー射撃してみせるお調子者。『ロッキー4』でバカ騒ぎしてリングで死んだアポロ・クリードを思い出す。
主役でなければ、敵に殺られておかしくない人材だ。せめて、良識ある親友ローズのウォーマシンに叩きのめされればいいのに。
ヴィランのウィップラッシュが渋いぜ
本作はヴィランがいい。トニーの父である故ハワード・スターク(ジョン・スラッテリー)にコケにされた父の恨みを晴らそうと、ロシアの天才科学者イワン・ヴァンコ。薄汚れた感じがカッコいいミッキー・ローク。
両手に鞭を持ってその名もまんま、ウィップラッシュ。モナコGPのレース中に突如現れる、豪華な特撮シーン。楊枝くわえて戦う姿に痺れる。
こいつとのバトルは、MCUでは初となる、似た者同士ではない敵との対決と言える。だから見応えがあった。
大量に現れた、陸海空軍+海兵隊のドローン軍団とウォーマシンたちも、見応え度アップに貢献。このドローン軍団は、ジオン軍のモビルスーツっぽいデザインと動きで、結構迫力があって好きだ。
◇
ヴィランとはいうには弱っちいが、武器商人のジャスティン・ハマー(サム・ロックウェル)も小悪党ぶりが面白い。次作『アイアンマン3』のキリアン(ガイ・ピアース)ほどの才覚もない、商売仇といったところ。
徐々に出てきたアベンジャーズメンバー
さて、一方の援軍では、まず大成長のジェームズ・ローズ。アベンジャーズの主要メンバーはハルク以外変わっていないと思い込んでいたが、テレンス・ハワードからドン・チードルに交代していた。製作者側は大して気にしていなかったようだけど。
前作『インクレディブル・ハルク』一本でブルース役を降りたエドワード・ノートンは脚本問題っぽいけど、こちらは単純にギャラの問題。ロバート・ダウニー・Jrのギャラ高騰のあおりを食らった格好か。
ドン・チードルは好きな俳優だけど、ローズはテレンス・ハワードの方がイメージ近いなあ。でも、本家からスーツを借りて、あそこまで互角に戦えるのだから、ローズの順応性は見事なものだ。
そして、ナターシャ・ロマノフがついに登場。それもスターク社の法務部社員だ。才色兼備が目立ちすぎのスカーレット・ヨハンソン。
彼女の戦闘アクションを一番長尺で丁寧かつクールに撮っているのは、本作なのではないか。いや、普通の人間なのに、強すぎる。まあ、ハッピー・ホーガン(監督のジョン・ファヴロー)の助太刀も良かったけど。
S.H.I.E.L.D.との関係や、いかに
スタークエキスポ会場から、日本庭園っぽい野外でのファイト。大量のドローン部隊に逃げる人々。アイアンマン・コスプレの男の子は、のちのピーター・パーカーだというのは、ちょっと後付けの説明っぽい。
このあと、ウォーマシンと力を結集して敵を倒し、ペッパー(グウィネス・パルトロー)と仲睦まじい感じになるまで、テンポよく映画は進む。
◇
なお、本作から、本格的にニック・フューリー(サミュエル・L・ジャクソン)も登場。今後S.H.I.E.L.D.とアイアンマン、更には、死んだ父のハワード・スタークはどう絡んでいくのか、現時点では匂わせるにとどめている。
トニーの寿命を縮めているアーク・リアクターのパラジウム中毒問題。父の遺したヒントで新元素を作り出すことに成功し、難を逃れるが、その製作過程に、キャプテン・アメリカの盾と思しきものもお目見えする(ただの台座扱いだったけど)。
◇
そういえば、ハワードの研究室の背景にテッセラクト(4次元キューブ)らしき図があった。これは、次作以降につながる大きなヒントだ。この辺も、想像が膨らむところである。
そして、任務でニューメキシコに向かったコールソン(クラーク・グレッグ)は、大地に突き刺さったムジョルニア(ソーのハンマー)に遭遇するのだ。