『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』考察とネタバレ|アバシリに来たアシㇼパ

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『ゴールデンカムイ 網走監獄襲撃編』

一作目との間にWOWOW配信ドラマをはさんで、ゴールデンカムイの実写化第3弾。

公開:2026 年  時間:122分 
製作国:日本

スタッフ 
監督:         片桐健滋
脚本:          黒岩勉
原作:        野田サトル
       『ゴールデンカムイ』
キャスト
<杉元一派>
杉元佐一:       山﨑賢人
アシㇼパ:       山田杏奈
白石由竹:       矢本悠馬
キロランケ:      池内博之
谷垣源次郎:      大谷亮平
インカㇻマッ:高橋メアリージュン
チカパシ:        青木凰
尾形百之助:     眞栄田郷敦
<土方一派>
土方歳三:       舘ひろし
永倉新八:       木場勝己
牛山辰馬:         勝矢
奥山夏太郎:      塩野瑛久
家永カノ:       桜井ユキ
<第七師団と関係者>
鶴見篤四郎:       玉木宏
月島基:       工藤阿須加
二階堂浩平:      
栁俊太郎
鯉登音之進:      中川大志
宇佐美時重:       稲葉友
<網走監獄の関係者と囚人>
犬童四郎助:      北村一輝
門倉利運:       和田聰宏
都丹庵士:       杉本哲太
ウイルク:        井浦新

勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

(C)野田サトル/集英社 (C)2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

あらすじ

元軍人の「不死身の杉元」(山崎賢人)は、アイヌ民族から強奪された莫大な金塊の存在を知る。

その犯人「のっぺら坊」は捕まる直前に金塊を隠し、獄中で囚人たちの身体に金塊のありかを記した刺青を彫り、彼らを脱獄させた。刺青は、24人でひとつの暗号になる。

そんな折、杉元はアイヌの少女アシリパ(山田杏奈)と出会い、金塊強奪犯に父(井浦新)を殺されたという彼女と行動を共にする。

北海道征服をもくろむ大日本帝国陸軍第七師団の鶴見中尉(玉木宏)と、戊辰戦争で戦死したはずの土方歳三(舘ひろし)も金塊を狙っており、刺青囚人の苛烈な争奪戦が勃発。

闘いの舞台は、すべての謎を知る「のっぺら坊」が収監されている網走監獄へと移る。

レビュー(まずはネタバレなし)

前作『ゴールデンカムイ』の公開後、それに続く『北海道刺青囚人争奪編』WOWOWの配信ドラマになっていたことから、このまま劇場版はないのかと思っていたところに現れた今回の『網走監獄襲撃編』

この展開戦略はなかなか良い。『北海道刺青囚人争奪編』は次々に登場する刺青囚人を殺したり、味方につけたりのステージなので、挿話自体がやや小粒ゆえ、むしろドラマ形式の方が収まりがいいからだ。

そして、登場するキャラクターもある程度充実し、敵も味方もそれぞれ「のっぺら坊」の収監された網走監獄に向かい、そこで激しい戦いが勃発する本作は、まさに劇場の大画面で楽しむにふさわしい話というわけだ。

そこまでは良いのだけれど、意外だったのは、ドラマ版でかなり強調演出されていた<おふざけ路線>が、劇場版においても継承されていたこと。

ギャグに走ること自体は野田サトルの原作コミック由来でもあるので、けしておかしくはない

むしろ正当な方向性なのかもしれないが、個人的には、ドラマではふざけても、映画ではシリアス路線というほうが、好みではある。劇場版の一作目だって、おふざけは控えめなのが良かったのに。

特に、アヴァンタイトルで媚薬効果の高いラッコの肉を食した杉元たち男どもが、「ヒンナ、ヒンナ」の定番台詞に代わって、互いに相手の肉体美に惚れ合うBL展開。この禁断のコミカル場面でタイトルを出すとは萎えた。

キャスティングはほとんど既出なのでサプライズはないが、どれも絶妙なのを再認識。

メインの不死身の杉元(山﨑賢人)アシㇼパ(山田杏奈)脱獄王・白石(矢本悠馬)

ドラマから杉元一派に参加したのはキロランケ(池内博之)、マタギの谷垣(大谷亮平)、峰不二子的な謎の占い師インカㇻマッ(高橋メアリージュン)、凄腕スナイパーの尾形(眞栄田郷敦)

この辺までは、杉元の味方として参戦しているが、すでに第七師団を裏切って仲間入りした者もおり、全幅の信頼は置けない。

そして、一作目では敵と思われた土方歳三(舘ひろし)の一派。右腕の永倉新八(木場勝己)と怪力絶倫男・牛山(勝矢)、賭場の用心棒・奥山(塩野瑛久)に狂気の外科医家永カノ(桜井ユキ)

(C)野田サトル/集英社 (C)2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

本作では、アシㇼパの父ウイルク(井浦新)を奪還するという利害関係が一致し、杉元に協力するが、この共闘体制も怪しい。

玉木宏の怪演ぶりが凄まじい鶴見中尉率いる第七師団には、側近の月島(工藤阿須加)と、双子の弟を杉元に殺された二階堂(栁俊太郎)、鶴見の崇拝者・鯉登(中川大志)と新顔の宇佐美(稲葉友)。彼らは徹底して杉元たちの集めた囚人の人皮を追いかける。

そして今回登場の網走監獄には所長の犬童(北村一輝)と看守長の門倉(和田聰宏)。また、脱獄囚の中で盲目の窃盗団を統率する都丹(杉本哲太)

今回は登場人物の出演バランスもよく、大物俳優のカメオ出演的なものもほぼないのが好感。イケメン封印の栁俊太郎は相変わらず誰だか分からない役。今回大活躍の盲目男も杉本哲太とは気づけなかった。

それにしても、本シリーズの配役は原作コミック寄せが見事だ。

山崎賢人は顔の傷と軍帽、玉木宏はあの特殊メイクがあれば似るのは自明だろうが、大谷亮平眞栄田郷敦の演じているキャラは、そのまま原作から飛び出してきたように見えるほど。

映画自体はおふざけが気になったとは書いたが、全体を通じてみれば、きちんと網走監獄の襲撃と敵味方の乱戦模様がダイナミックに描かれており、物足りなさはない。

(C)野田サトル/集英社 (C)2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

山崎賢人は本シリーズの他に『キングダム』の仕事も抱えており、前回2024年に続き、2026年も本作と『キングダム』の新作の公開が重なる多忙ぶり。よくスケジュール調整ができるものだ。

完全シリアス路線の歴史アクションである『キングダム』に比べ、『金カム』は半分コミカル路線で走っているが、これはこれで慣れれば快適なのかもしれない。

少なくとも、『アンダーニンジャ』をはじめ脱力系の福田雄一ワールドでの山崎賢人よりも、こっちの方が断然いい。

(C)野田サトル/集英社 (C)2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

主演は勿論、山崎賢人なのだけれど、本シリーズのキャストのキモは山田杏奈だと思う。無敵で不死身のヒーローキャラはアクションこそ大変だと思うが、演じる対象は分かり易い。

だが、自然との共生やアイヌの生き方を大事にし、父親がアイヌ殺しだったのではと不安を抱えるアシㇼパというキャラは、演じるのが難しそうだ。

でも、けして原作イメージに近くもないのに山田杏奈はもはやアシㇼパと一体化している。シリアスな芝居から弓矢での応戦、アイヌの食の説明まで卒なくこなし、牛山には「チンポ先生!」と笑顔をふりまく。大したものだ。

(C)野田サトル/集英社 (C)2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

レビュー(ここからネタバレ)

ここからネタバレしている部分がありますので、未見の方はご留意ください。

脱獄王・白石の作戦どおりトンネルを掘って網走監獄に侵入し、「のっぺら坊」のいる独房についに忍び込んだところまではいい。

だが、そこから先は裏切りに継ぐ裏切りで、杉元一派と土方一派、更には第七師団と網走看守という4者がもつれ合っての大混戦となる。

この戦いはなかなかの迫力だ。特に、網走監獄の独房の扉が一斉に開き、700人の凶悪囚人たちが一斉に暴れ出てくるところは見応えがある。

(C)野田サトル/集英社 (C)2026 映画「ゴールデンカムイ」製作委員会

これで「のっぺら坊」の正体が本当にアシㇼパの父親なのか、更にはアイヌを殺して金品を奪った犯人なのかが明らかになるのかと思いきや、大事なことはいくつか明らかにはなるものの、物語自体はまだ先に続いていく。

とはいえ、ここまでで2時間。最後にあわてて話を終息させても勿体ないので、むしろ終わらないことに安堵した。

さて、果たしてドラマになるのか、劇場版なのか。どちらでも構わないが、次があることを祈りたいよ。