『ホビット 思いがけない冒険/ 竜に奪われた王国/ 決戦のゆくえ』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー | ページ 3 | シネフィリー

『ホビット 思いがけない冒険/竜に奪われた王国/決戦のゆくえ』一気レビュー

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『ホビット 決戦のゆくえ』
The Hobbit: The Battle of the Five Armies

公開:2014 年  時間:145分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督・脚本:    ピーター・ジャクソン
脚本:        フラン・ウォルシュ
          フィリッパ・ボウエン
          ギレルモ・デル・トロ
原作:       J・R・R・トールキン
           『ホビットの冒険』
キャスト
ビルボ・バギンズ:マーティン・フリーマン
ガンダルフ(灰):  イアン・マッケラン
スランドゥイル:      リー・ペイス
レゴラス:     オーランド・ブルーム
タウリエル:  エヴァンジェリン・リリー
ガラドリエル:  ケイト・ブランシェット
エルロンド:  ヒューゴ・ウィーヴィング
サルマン:     クリストファー・リー
バルド:       ルーク・エヴァンズ
湖の町の統領:   スティーヴン・フライ
ラダガスト:  シルヴェスター・マッコイ
ネクロマンサー: 
      ベネディクト・カンバーバッチ
ビヨルン:  ミカエル・パーシュブラント
アゾグ:        マヌー・ベネット
ボルグ:      ローレンス・マコール
ダイン:        ビリー・コノリー
<13人のドワーフ>
トーリン・オーケンシールド:
       リチャード・アーミティッジ
バーリン/①兄:     ケン・ストット
ドワーリン/①弟:
       グレアム・マクタヴィッシュ
フィーリ/②兄:  ディーン・オゴーマン
キーリ/②弟:    エイダン・ターナー
ドーリ/③長男:    マーク・ハドロウ
ノーリ/③次男:   ジェド・ブロフィー
オーリ/③三男:    アダム・ブラウン
オイン/④兄:      ジョン・カレン
グローイン/④弟:ピーター・ハンブルトン
ボンブール/⑤兄:スティーヴン・ハンター
ボフール/⑤弟: ジェームズ・ネスビット
ビフール/⑤従兄:ウィリアム・キルシャー

勝手に評点:3.5
  (一見の価値はあり)

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

あらすじ

ビルボ・バギンズ、トーリン・オーケンシールドら旅の一行は、邪龍スマウグからドワーフの故郷を奪還することに成功するが、怒りに燃えるスマウグは町を襲う。

スマウグから取り戻した財宝に執着するトーリンは、友情や名誉も犠牲にしても財宝を守ろうとし、その行為をいさめようとするビルボは危険な選択をせねばならなくなる。

そうした中、魔法使いのガンダルフは、さらに恐るべき存在である冥王サウロンの復活に気付いていた。

サウロンはオークの大群を放ち、その危機にドワーフやエルフ、人間といった中つ国に生きる各種族は、わだかまりを捨てて団結するか、さもなくば滅びるか、究極の決断を迫られる。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

さあ、長かった冒険の旅もついに最終ゴールに近づいた。前作のラストでトーリンら一行がスマウグから故郷エレボールを取り戻したのはいいが、火を吐く竜は報復にバルドの住む港町を襲う。

バルドは折れてしまった弓を柱に刺し、勇敢な息子が差し出す黒い矢をどうにか竜に放つ。渾身の一矢がついにスマウグに突き刺さり、邪龍は死ぬ。

こうしてみると、トーリンたちはエレボールと財宝を奪還したかもしれないが、敵のとどめをさした弓の達人バルドの方が、英雄に相応しい。

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

トーリンは財宝の中にあるはずのドワーフの秘宝アーケン石を必死になって探すが、みつからない。なぜなら、その石はすでにビルボがみつけ、隠し持っていたからだ。

アーケン石の魔力に憑りつかれたかのように人が変わったトーリン。はじめは純然たる英傑だと思って見ていたが、前作の後半あたりから、ちょっと様子がおかしくなっていく。

バルドの登場で主役の座を奪われたかのように、トーリンはダークサイドに堕ちていく。まるで、リングの魔力に我を忘れてしまうLOTRの展開のようだ。トーリンがアーケン石を目にしたら、「いとしいしと」と言い出しそうで幻滅。

一方、単独行動のガンダルフはガラドリエル、サルマン、エルロンドに危機を救われ、闇のオークの軍勢がエレボールに向かっていることを知る。

エレボールが奪還されたと知るや否や、オークだけでなく、多くの者が財宝を求めて結集し始める。冥王サウロンが復活し、エレボールを狙っている。

エルフ王のスランドゥイルは自分たちの秘宝を取り戻そうと軍を率いて現れる。港の町の人々も、トーリンらを救援した約束の財宝をもらえるはずだった。

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

「アーケン石を勝手に持っていった奴がいる。裏切者には金貨1枚たりとも渡してやんねー」

すっかり強欲なはだかの王様と化したトーリンは、エルフとバルトたちの連合軍がせっかく提示してやった和平案にも首を振る。さあ、本来の敵の襲来などそっちのけで、争いが始まろうとしている。

私が『ホビット』シリーズがLOTRよりも映画的だと思うのは、若きビルボ・バギンズは、フロド・バギンズよりも主人公としての立場をわきまえており、三作ともきちんと仲間を救う活躍をするからだ。

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

本作でも彼は、エレボールを奪還した分け前をもらう14分の1の権利だと主張し、勝手にアーケン石をスランドゥイルに進呈してしまう。これで和平になるはずだ、と。

だが、そんな奇策ではトーリンを改心させられない。やがて彼らのもとにアゾク率いる闇の大軍勢が襲来し、エルフもバルドも、そしてトーリンの従兄弟であるダインまで参加し応戦する。

それでも、トーリンは彼らの苦戦を横目に動こうとはしない。

「命などどうでもよい。財宝を守れ」

やがて、彼に失望して離れていく仲間たちを前に、トーリンはようやく自分の愚かさに気づく。

「信じてくれとは言わぬ……もう一度だけついて来てくれぬか?」

(C)2014 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND METRO-GOLDWYN-MAYER PICTURES INC.

随分と手間暇がかかったが、ようやくトーリンが目覚め、仲間たちは戦いに加わる。ここからはアゾク、ボルグの敵たちに対し、トーリンら旅の仲間たち、タウリエル、レゴラスらエルフとの戦いと、見応えがある。

ハラハラはさせるが、結局最後は無傷でトーリンらが勝利するのだろう。そう思ったが、結果は無傷ではなかった。タウリエルは愛するキーリを助けられず、眼前で敵に殺されてしまう。

そして宿敵アゾクは倒したものの、トーリンも相討ちにあう。トーリンは死に際にビルボに自分の非礼を詫び、真の友だと別れを告げる。

こうしてホビットの冒険は終わる。焦らされたものの、トーリンは闇落ちから復活して旅の仲間たちに惜しまれながら人生を閉じた。

レゴラスは「もう森には帰らない」と父スランドゥイルに告げ、「ならばストライダーに会いに行け」と言われる。これはアラゴルンのことなのだろう。こうしてLOTRに物語は引き継がれる。

ビルボは1年以上戻っていない故郷に戻り、そして時は流れ111歳の誕生日。ガンダルフが会いに来る。LOTRのオープニングに繋がった。