映画『鬼灯さん家のアネキ』考察とネタバレ!あらすじ・評価・感想・解説・レビュー(きとうさんちのあねき) | シネフィリー

『鬼灯さん家のアネキ』今更レビュー|ハートウォーミングなエロ路線

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『鬼灯さん家のアネキ』

今泉力哉監督初の原作ものに挑戦。エロ路線ながらもハートウォーミングという、難しい境地を目指す。

公開:2014 年  時間:113分  
製作国:日本
  

スタッフ 
監督:      今泉力哉
原作:      五十嵐藍

キャスト
鬼灯ハル : 谷桃子
鬼灯吾朗 : 前野朋哉
水野麻衣:  佐藤かよ
楓:     川村ゆきえ

勝手に評点:2.0 
(悪くはないけど)

(C)2014「鬼灯さん家のアネキ」製作委員会

ポイント

  • セクシーな義理のアネキとの突然の同棲生活が始まり、困りながらも嬉しそうな弟。モテても真面目路線の前野朋哉。やはり、こういう青春H路線は、今泉力哉監督と相性がいいとは思えない。

あらすじ

母の再婚相手の娘で、血の繋がらない姉ハル(谷桃子)と暮らす童貞男子高校生・鬼灯吾朗(前野朋哉)。セクシーで可愛いハルは、過剰なスキンシップなどで悪戯をしかけては吾朗を困らせている。

吾朗もそんなハルに日々泣かされ、悩まされ、振り回されているが、実は二人は互いを思い合っていた。そんな二人の関係を、吾朗の同級生・水野(佐藤かよ)は怪訝に思っている。

レビュー(ネタバレあり)

エロ路線も今泉監督の守備範囲

今泉力哉監督作品ということで手を出してみたが、同じ年に公開の『サッド・ティー』とは大分毛色が異なり、本作は完全にエロ路線だった。

青春Hシリーズというのも撮っているので、こういうのも監督としては守備範囲なのだ。

監督初の原作もの。あいにく私は原作を知らず、タイトルが(ほうずき)さんちと読むことも後で知ったほどなのだが、元ネタのコミックとは大分違うのではないか。

原作の表紙を見ただけでも、キャラのイメージは違うのではないかと心配する。前野朋哉は好きな俳優だが、吾朗のキャラに合っているのだろうか。

(C)2014「鬼灯さん家のアネキ」製作委員会

この手の物語にはお約束なシチュエーション

吾朗は血のつながらない姉のハルと突然一緒に住むことになり、しかも実母(葉山レイコ)は再婚後すぐに死に、義父(モト冬樹)は登山家で、実質二人アパートで同棲生活。

さすがコミック出自のお誂え向きなシチュエーションだ。

ハルが吾朗をエロたっぷりに挑発しまくるお約束な展開な訳だが、そこに、級友の水野が入り込む三角関係が発生。

ネタバレになるが、水野は実はアネキが好きで、それを吾朗が勘違いしてというオチは正直はじめから読める。

吾朗には、ハルのほかに実の姉(川村ゆきえ)もいて、何とグラビア系の女優比率の高い映画なのだろうと感心する。とはいえ、相当に弟と距離のある、実の姉の存在は、いまひとつ必然性が理解できていないのだが。

映画全体のトーンは、古くはドラマ『毎度おさわがせします』から園子温『みんな!エスパーだよ!』的な路線。

けれど、なぜかハルと吾朗は相思相愛で、弟のためにアネキは内緒でグラビアのバイトをするという、実は奇想天外にハートウォーミングな話なのだ。

(C)2014「鬼灯さん家のアネキ」製作委員会

私が乘りきれなかったポイント

だが、私はここがダメだった。

本作の路線であれば、徹底的におバカなお色気映画にしてくれた方が、観る方は気楽なのである。<みんな、スケベーだよ>でいいのだ。姉弟愛ウルッとさせるのなら、アネキも肌の露出度は控えてほしい。

感心した点もある。吾朗が自宅の居間に仕掛けた盗撮カメラが、家に入り込みカメラを仕掛ける水野の様子を撮り、さらに吾朗が水野を問い詰める様子をアネキのクマのぬいぐるみが盗撮している。

この三層構造は面白かった(原作にあるのかは知らないが)。

映画『鬼灯さん家のアネキ』予告編

また、二人の暮らすアパートが半地下のような位置にあり、家の前の道路から見下ろせる構造であることが、シーンに活力を与えた。ここをロケハンした人は偉い。パラサイトではないが、半地下の家族である。

原作コミックもぜひ。