①『東京リベンジャーズ』
②『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 運命』
③『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦』
『東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編 決戦』
遂に登場の大ヒット作の続編は二部構成。前作の謎の解明は置いといて、ひたすら決戦を堪能せよ。
公開:2023年 時間:96分
製作国:日本
スタッフ 監督: 英勉 脚本: 髙橋泉 原作: 和久井健 「東京卍リベンジャーズ」 キャスト 花垣武道/タケミチ: 北村匠海 佐野万次郎/マイキー: 吉沢亮 龍宮寺堅/ドラケン: 山田裕貴 場地圭介/バジ: 永山絢斗 松野千冬/チフユ: 高杉真宙 羽宮一虎/カズトラ: 村上虹郎 三ツ谷隆/ミツヤ: 眞栄田郷敦 稀咲鉄太/キサキ: 間宮祥太朗 半間修二/ハンマ: 清水尋也 橘直人/ナオト: 杉野遥亮 橘日向/ヒナタ: 今田美桜
勝手に評点:
(一見の価値はあり)
コンテンツ
あらすじ
東京卍會崩壊の危機へとつながる、かつての親友同士の決戦がついに火蓋を切った。
敵対チーム・芭流覇羅に寝返った場地(永山絢斗)を連れ戻すため戦うことを決めたマイキー(吉澤亮)。一方、芭流覇羅にいる一虎(村上虹郎)は、東京卍會を潰してマイキーを殺そうとしていた。
タケミチ(北村拓海)はそれぞれの思いを受け止めながらも、最悪の結末を阻止してヒナタ(今田美桜)や仲間たちの未来を救うべく、戦いに身を投じる。
レビュー(まずはネタバレなし)
血ハロ決戦の火蓋が落ちる
待ってました、『血ハロ』二部作の前編『運命』に続く後編『決戦』。永山絢斗の大麻所持で公開延期もあるかと心配したが、予定通り公開。作品に罪はない。
前作『運命』では第一作から時間も経っていたこともあり、当初からのストーリーを振り返っていたが、今回は大した説明もなく、『運命』からの物語が続く。
タイムリープも冒頭に一度だけで、ナオト(杉野遥亮)やヒナタ(今田美桜)は重要な役割ではあるが、登場場面はミニマムに近い。
◇
あとはひたすら、東京卍會と芭流覇羅との対決の物語となる。文字通り、血のハロウィンの決戦だ。
かつてマイキー(吉澤亮)の兄・佐野真一郎(高良健吾)を誤って殺害し、出所後に芭流覇羅に行った一虎(村上虹郎)。その親友で、東京卍會から芭流覇羅に寝返った場地(永山絢斗)。東京卍會の創設メンバーから、この二人がマイキー達のもとを離れていく。
一方、かつての敵だったキサキ(間宮祥太朗)は東京卍會に隊長として加入。身体を張ってマイキーを守るというが、どこまで信じてよいのか。
そして芭流覇羅を仕切るのはハンマ(清水尋也)だが、本当に組織を統率しているのは誰か。現代で刑務所にいるドラケン(山田裕貴)は、マイキーがヘッドだと前作で言っていたが、それはどういう意味なのか。
見応えありまくりの決戦
本作を観終わるまでは、和久井健の原作コミック読むのを我慢しようと誓ったので、なんの予備知識もなく、この決戦に向き合った。
うーん。正直、前作で投げかけられた思わせぶりな謎の数々が、本作できれいに解明されたかというと、しっくりはしていない。
これは、決戦後も原作は連載が続いているので、映画だけ全てをすっきりと決着させることができなかったのかもしれない。となれば、本作はまだまだ映画化の可能性もあるのか。
もっとも、ストーリー的には残尿感はあるものの、タイトルにもなっている『決戦』についてはとても見応えがある。総勢100人規模の大乱戦だ。浦沢直樹の『20世紀少年』が<血の大晦日>なら、こっちは<血のハロウィン>だもんね。
地上から10メートルはあるという、クルマのスクラップが山積みされた廃車場。本作の1/3は、この場所が舞台になっているというが、あまりの広大なセットに圧倒される。
この決戦に審判員がいるのは笑ってしまったが(ホイッスルを吹く訳ではない)、マイキーを殺してやると息巻く一虎(村上虹郎)に、売られた喧嘩で何の得もないが、勝って場地(永山絢斗)を取り戻すのだと気合を入れる東卍の面々。
騎馬戦がぶつかり合うような迫力とスピード感。アクションにも作り物のような誇張はなく、この手のアクション映画にしては本物感が漂う。
主要メンバーにはそれぞれ見せ場が与えられているが、ミツヤ(眞栄田郷敦)の復活は嬉しい限り。創設メンバーではパーちん(堀家一希)だけがまだ服役中か。
バジくんが主役だわ
本作で特筆すべきは場地(永山絢斗)の存在感。まずは創設メンバーとしての高校時代。青臭い台詞で泣かせるシーン。戦えば野獣だが、こういう場面では笑顔が眩しい。
更に、弟分のチフユ(高杉真宙)との出会いで見せる、黒縁メガネ秀才ルックスで笑いをとってからヤンキー集団を単独で潰滅の驚異的な強さのギャップ萌え。団地で弟分とペヤングがかっけーわ。
決戦においても勝敗を左右する役割であり、正直、場地が主役といってしまっても過言ではない。こと本作においては、マイキーやドラケンは勿論、本来の主役であるタケミチ(北村拓海)さえも霞んで見える。
永山絢斗の大麻所持は勿論赦されないが、場地が破天荒で暴力的なキャラだから、映画においては違和感がない。
当分活動自粛は避けられないだろうが、実質主演の本作が世に出ることができたのは良かった。撮り直しができるレベルではないし、あの役は永山絢斗でないとダメだった。
レビュー(ここからネタバレ)
ここからネタバレしている部分がありますので、未見の方はご留意ください。
前作『運命』には、次々と謎と驚きが提示される面白さがある。本作『決戦』では、なぜかそれがさほど回収されずに終わるが、後半の殆どを占める決戦シーンは、そんな細かい事をどうでもいいと思わせるだけの興奮を与えてくれる。
タケミチの旧友アッくん(磯村勇斗)は今回ほぼ出演なしなのが寂しいが、本作ではすでにチフユ(高杉真宙)というバディができたし、決戦不参加のキャラは極力登場させない方針なのだろう。
決戦でどちらが勝者となり、誰が死ぬのか、といったことはここでは触れずにおく。
ヒナタ(今田美桜)の存在も、途中からすっかり忘れていたが、タケミチは最後に、彼女の身を護るためにある決意をする。それは、前作で現代にいる彼女がタケミチに問いかけた「どうして、あの時ここで…」の答えなのである。
本作は前作のようなコメディリリーフ的なカットもなく、愚直に決戦を描いている点は好感が持てる。ただ、配給のワーナー・ブラザースが『るろうに剣心』でも多用した二部作システムが本作に必要だったかは疑問だ。
『るろ剣』の『最終章』は前後編でまったく異なる時制の話だったから、二部作構成でも許せた。
だが、本作の二部作は、単純に続き物だ。しかも二作の上映時間は単純合算で186分、エンドロールの重複や説明部分の無駄を省けば、3時間は楽に切れたはずだ。
そんなら、二部作じゃなくても回せるじゃん。興行成績重視なのは分かるが、この二部構成だったら、一本で見せてくれた方が良心的だったのに。
それに二部構成にするなら、もう少し順序が分かりやすいタイトルにしてほしい。前編・後編でいいと思うが。