『奇蹟の輝き』今更レビュー|ロビン・ウィリアズならではの奇蹟

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『奇蹟の輝き』
What Dreams May Come

ロビン・ウィリアムズの好演が光る、リチャード・マシスン原作の夫婦愛ファンタジー。

公開:1998年 時間:114分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:     ヴィンセント・ウォード
脚本:         ロナルド・バス
原作:      リチャード・マシスン
            『奇蹟の輝き』
キャスト
<ニールセン家>
クリス:     ロビン・ウィリアムズ
アニー:       アナベラ・シオラ
イアン:     ジョッシュ・パドック
マリー:ジェシカ・ブルックス・グラント
<その他>
アルバート: キューバ・グッディングJr.
道先案内人: マックス・フォン・シドー
リオナ:      ロザリンド・チャオ

勝手に評点:3.5
(一見の価値はあり)

あらすじ

一目見た瞬間に恋に落ち、結婚したクリス(ロビン・ウィリアムズ)とアニー(アナベラ・シオラ)。やがて二人は男の子と女の子を授かるが、子供たちは突然の事故で亡くなり、4年後にクリスも自動車事故で命を落とす。

彼の魂を天国に導いたのは、恩師アルバート教授(キューバ・グッディングJr.)だった。ある時、天国のクリスのもとに、アニーが地獄に行ったという知らせが届く。

悲しみに暮れ自殺したアニーだったが、自殺者は地獄に行くルールがあったのだ。クリスはアニーを救うため、ある決心をする。

今更レビュー(ネタバレあり)

原作者リチャード・マシスンは多くの著書が映画化されているが、本作は彼の原作映画の中でカルト的な人気を誇る『ある日どこかで』に比肩するファンタジーなのではないか。

突然の交通事故で死んでしまった主人公が、愛する妻に自分の存在を知らせようと天国で四苦八苦する話。

そう聞くと『ゴースト/ニューヨークの幻』をはじめ、いくつか似たような作品は思い浮かぶし、監督のヴィンセント・ウォードは作品も少なく、日本では無名に近い。

だからあまり期待していなかったのだが、主演のロビン・ウィリアムズが良かった

そうだよ、原作を読んだ時点では思い浮かばなかったが、彼なら家族思いで愛妻家の優等生的な主人公キャラでも、嫌味にならず暑苦しさもない。うまい配役だと思った。

ハリウッドは早逝した彼の穴をまだ埋めることができていないとさえ思う。1998年といえば、『グッド・ウィル・ハンティング』、『パッチアダムス』と脂の乗った時期のロビン・ウィリアムズだが、この作品はつい見落としていた。

原作は読ませる内容ではあったが、さほど感動までは至らなかったのが正直な感想。

だが、映画はこのロビン・ウィリアムズの好演と、『レインマン』の脚本家ロナルド・バスによるアレンジのうまさ、それにアカデミー視覚効果賞を獲った油絵タッチの天国世界の表現によって、ぐいぐいと引き込まれる作品になっている。

イタリアの海の上で小さなヨット同士がぶつかって、クリス(ロビン・ウィリアムズ)アニー(アナベラ・シオラ)が出会う場面から映画は始まる。

ここから意気投合して結婚し、やがて生まれた息子イアン(ジョッシュ・パドック)と娘マリー(ジェシカ・ブルックス・グラント)ももう思春期に成長。

冒頭の出会いからものの数分でこの四人家族の朝食風景にたどり着くテンポの良さ。

だが、この二人の子供たちは、交通事故で亡くなってしまう。そして四年後に、今度は小児科医のクリスまでもが、トンネルの事故に巻き込まれて死んでしまう

立て続けに家族を亡くして孤独になった妻アニー。しかも、どちらの事故も、画家である自分の仕事のせいで、その時間・場所にクルマを走らせることになったことに、彼女は責任を感じていた。

やがてクリスは天国で恩師アルバート教授(キューバ・グッディングJr.)と出会い、天国のルールを教わっていく。だが、目の前にいてもアニーは自分の存在に気づかない。

子供たちが事故死してしまうのは、原作にはない設定だ。三人も死んでしまうのはやりすぎではないかと感じたが、そのことが中盤以降に効果を生んでおり、感心させられた。

アニーが精神科医により日記セラピーを勧められるのも、彼女の夫に対する心情を知る上でうまいツールとなっている。

以前に死んでしまった飼い犬が天国でクリスに飛びついてくるシーンは原作にもあったが、この天国には原作以上に驚く仕掛が用意されている。

亡くなった60歳代よりも随分と若返った姿の恩師アルバート教授。そしてアジア人女性のリオナ(ロザリンド・チャオ)道先案内人『エクソシスト』の神父役でお馴染みの御大マックス・フォン・シドー!)。

天国では思いのままに姿形を選べるので、クリスに献身的に協力してくれる天国の面々は、実はそれぞれが自分の正体を隠している。

クリスが亡くなった子供たちとの記憶を思い返すうちに、この連中の正体に気づき抱擁するシーンには感動させられた。この演出は映画ならでは。

さて、次第に天国の生活にも慣れてくるクリス。やがてアニーにも再会できるようになるのだろうと思っていると、なんと彼女は、悩んだ末に自殺してしまう。

それ自体はショックだが、これで天国で会えるだろうと喜ぶクリスに、アルバートは告げる。「自殺した者は、ここには来られない。地獄に行くのだ」と。

こうしてクリスは、これまで誰も成功したことのない、地獄に行って愛する誰かを探すこと、そして自分の存在に気づかせることに挑戦する。

地獄での冒険譚といっても、ホラーではない。賽の河原で石のかわりに死者たちの顔が埋まっている光景はさすがに怖かったが、それ以外はグロい場面もない。

この地獄に飛び込んで、かつて夢の家と称していた屋敷に一人で暮らすアニーをみつけ、どうにか自分だと分からせようとするクリス。そして最後には、彼女が自分を認識してくれるまで、地獄に残ると言い出す。

クリスとアニーは離れ離れになっても、互いを愛し、激しい喪失感で狂いそうになっている。

ここまで仲睦まじい夫婦の姿を見せられると、我が身はどうかと自問自答してしまう。倦怠期の夫婦にこそ、オススメの映画なのかもしれない。

繰り返しになるが、これが二枚目俳優の主演だったら、およそ見ていられない作品になっていただろう。ロビン・ウィリアムズならではの、まさに<奇蹟の輝き>なのだ。

子供たちとの感動の再会も、彼だからこその味わい深さがでている。天国に絵具を使った視覚表現も、ただの見た目の斬新さだけでなく、アニーの職業ときちんと絡めているところがうまい。

それに、こんなこと書くと天国のリチャード・マシスンに怒られそうだが、彼の著作って、映画化すると大抵原作より面白くなってないか?