『青の稲妻』今更レビュー|青のイナズマも僕を責めるget you

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『青の稲妻』
 任逍遥

ジャ・ジャンクー監督の青春映画、ミューズであるチャオ・タオをダンサーに。

公開:2002年 時間:112分  
製作国:中国

スタッフ 
監督:   ジャ・ジャンクー(賈樟柯)
キャスト
チャオチャオ:  チャオ・タオ(趙濤)
ビンビン:

    チャオ・ウェイウェイ(赵维威)
シャオジィ:   ウー・チョン(吴琼)
チャオサン:リー・チュウビン(李竹斌)
ウー:   ワン・ホンウェイ(王宏偉)

勝手に評点:2.5
 (一見の価値はあり)

あらすじ

中国の地方都市・大同。年上のダンサー・チャオチャオ(チャオ・タオ)に恋をした19歳のシャオジイ(ウー・チョン)

彼の親友で19歳のビンビン(チャオ・ウェイウェイ)と受験生の恋人ユェンユェン(チョウ・チンフォン)は、まだキスさえしたことがない。

都会の生活に憧れながらも、生まれ育った土地を離れられない。ニュースでは、WTO加盟やオリンピック開催決定など報じている。

恋や現実に揺れ動きながら、未来を掴もうと手を伸ばす。まだ見ぬ享楽を求め、疾走する彼らのココロ。

今更レビュー(ネタバレあり)

ジャ・ジャンクー監督の新作『新世紀ロマンティクス』は過去の監督作品のアーカイブ映像で構成されており、その中でまだ観ていなかった、本作『青の稲妻』に手を伸ばしてみた。

ジャ・ジャンクー監督作品のミューズであるチャオ・タオがまだ若い。デビュー作『プラットホーム』に続き、ジャ・ジャンクー監督監督と組んだ二作目。

舞台は2001年の山西省大同市。メインとなるのは19歳の若者、ビンビン(チャオ・ウェイウェイ)シャオジイ(ウー・チョン)

失業したビンビンは定職につかずフラフラしている。恋人のユェンユェン(チョウ・チンフォン)とデートを重ねるが、彼女は北京にある大学の受験準備に忙しい。まだ手を握り合うだけのピュアな関係。

ビンビンは北京市へ行くために兵役検査を受けるが、肝炎を患っていることが判明し、不合格となる。

相棒のシャオジィは、仕事をもらおうと出かけたモンゴル王酒のイベントオーディションで、ダンサーのチャオチャオ(チャオ・タオ)に出会い、恋におちる。

彼女はチャオサン(リー・チュウビン)という悪そうな男の情婦のようだが、それでもシャオジィは果敢に攻め込み、やがて二人は親しくなっていく。

どこか懐かしさを感じさせる青春映画だ。ビンビンもシャオジィも器用に人生を歩んでいるとはいいがたく、いつも刹那的な感情に身を任せて、人生を疾走している。煙草と酒、バイクにダンス。

後のジャ・ジャンクー作品に見られるような大自然は登場しないが、ステージで華麗に舞い踊るチャオ・タオのシーンだけで、誰が監督なのかは一目瞭然だ。

(C)2002 LUMEN FILMS,E-PICTURES,BITTERS END

2001年という時代背景が、まだ近代化やハイテク化に向けて急成長を遂げる一歩手前の中国の地方都市を映し出していて、興味深い。

米国との距離感WTOへの加盟2008年北京五輪の開催地決定と、勢いに乗る中国の時代の息吹は感じさせるが、昔ながらの地方都市でくすぶる若者たちは、胸の中の熱い何かを発散させようがなく、壁にぶつかっている。

モンゴル王酒の飲料イベントのステージ脇で、ロケバスの中にいるチャオチャオとチャオサン。

バスから飛び出して逃げようとする彼女を、チャオサンが押し戻して座席に座らせるという動きを何十回も繰り返す場面がある。

これは『新世紀ロマンティクス』にも使われたシーンだが、まるでコントのようなので、一体どんな前後関係があったのか気になっていたが、結局本作を観てもよく分からなかった。

ビンビンが恋人のユェンユェンと逢瀬を重ねるカラオケボックスのような部屋で、歌われる曲が「任逍遥」。台湾の人気歌手リッチー・レンのヒット曲だそうだ。本作の原題にもなっている。

「何ものにもとらわれず、自由に生きる」というこの曲の歌詞が、中国の若者たちにうけたという。この曲は本作のテーマとして象徴的に使われている。

人生を生き急ぐビンビンとシャオジィは、カネ欲しさに銀行強盗を計画し、ビンビンは偽物の爆弾を胸に巻いて銀行を襲い、すぐに警備員に捕まる。

「お前、銀行強盗するならライターくらい用意してこいや」

何とも間抜けなビンビンを置いて、シャオジィはひたすらバイクで逃げる。

(C)2002 LUMEN FILMS,E-PICTURES,BITTERS END

ジャ・ジャンクー監督初期の作品であるせいか、青春濃度が高い。

映像的にもまだ粗削りな部分が多く、円熟の境地に達しているとはいえないが、むしろそのおかげで、青春映画との相性のよさが生まれた気もする。

シャオジィを演じた新人ウー・チョンがクールでいい感じ。