『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
Harry Potter And The Goblet Of Fire
公開:2005 年 時間:157分
製作国:イギリス
スタッフ
監督: マイク・ニューウェル
脚本: スティーブ・クローブス
原作: J・K・ローリング
『ハリー・ポッターと炎のゴブレット』
キャスト
ハリー・ポッター:ダニエル・ラドクリフ
ロン・ウィーズリー:ルパート・グリント
ハーマイオニー・グレンジャー:
エマ・ワトソン
セドリック・ディゴリー:
ロバート・パティンソン
ビクトール・クラム:
スタニスラフ・アイエネフスキー
フラー・デラクール:
クレマンス・ポエジー
マッドアイ・ムーディ:
ブレンダン・グリーソン
ダンブルドア校長: マイケル・ガンボン
マクゴナガル: マギー・スミス
ハグリッド: ロビー・コルトレーン
スネイプ: アラン・リックマン
ドラコ・マルフォイ: トム・フェルトン
ネビル・ロングボトム:マシュー・ルイス
クラウチ: ロジャー・ロイド・パック
クラウチ・Jr: デイヴィッド・テナント
カルカロフ: ペジャ・ビヤラク
マクシーム:フランシス・デラ・トゥーア
リータ・スキーター:
ミランダ・リチャードソン
シリウス・ブラック:
ゲイリー・オールドマン
ピーター・ペティグリュー:
ティモシー・スポール
ヴォルデモート卿: レイフ・ファインズ
勝手に評点:
(一見の価値はあり)

コンテンツ
あらすじ
ホグワーツ魔法魔術学校の4年生になったハリーは、およそ100年ぶりに開催されることになった伝統の三大魔法学校対抗試合に出場することに。
本来ならばまだ出場資格のない14歳のハリーが代表選手に選出された裏には、いよいよ復活を遂げようとする闇の魔法使いヴォルデモート卿の陰謀があった。
ハリーはこれまでに培った能力や仲間の助けを得て、対抗試合の難関を突破していく。
一気通貫レビュー(ネタバレあり)
あの原作をこんなにコンパクトに!
ハリー・ポッターもシリーズ4作目となるとそろそろマンネリ化が進むかと危惧したが、まだまだ面白い。
ハリー・ポッター(ダニエル・ラドクリフ)、ロン(ルパート・グリント)、ハーマイオニー(エマ・ワトソン)のメイン三人がシリーズ展開とともに成長していき、今回は14歳の設定だが、学園恋愛ものとしても機能し始める。
本作ではロンが逞しくなり、またハーマイオニーがすっかり年頃の女性になっていることに驚く。
◇
J・K・ローリング原作はこれまでも長編だったが、本作は『アズガバンの囚人』の倍くらいの量になる。原作は勿論面白く読んだが、正直にいえば、さすがに長すぎだよなと途中で辟易した。
これを映画化するのなら、一本では厳しい。実際、以降のシリーズでは二部作になっている映画もある。だが本作は見事に一本の作品にまとめ上げ、しかも160分程度という丁度いい尺に収めている。これは立派だ。
冗長と思われる箇所やそこそこ重要な箇所も英断でバシバシと叩き切る。前作繋がりの屋敷しもべ妖精ドビーも出演見送り。荒っぽい作業になったとは思うが、この位やらないと、テンポよく話が転がらない。
◇
クィディッチのワールドカップ観戦などは大胆に短縮されたが、この試合風景は過去作で十分観てきたので、割愛は正解。今回のメインはあくまで、炎のゴブレットに選ばれた代表生徒による三大魔法学校対抗試合なのだから。
監督はアルフォンソ・キュアロンが前作のみで精魂尽き果ててしまったので、マイク・ニューウェルを抜擢。『狂っちゃいないぜ』はじめ、ラブコメ監督のイメージだったが、なぜかハリポタに招聘。
だが采配を振るってみれば、無駄を省いてメリハリの効いた作品に纏め上げるとは、大した手腕ではないか。
三大魔法学校対抗試合
100年ぶりに開催されることになった伝統の三大魔法学校対抗試合。体育会系男子の巣窟ダームストラング校(カルカロフ校長)からはクィディッチの名選手ビクトール・クラム(スタニスラフ・アイエネフスキー)。
宝塚音楽学校のようなボーバトン校(マダム・マクシーム校長)からは美少女フラー・デラクール(クレマンス・ポエジー)。
そして迎え討つ我らがホグワーツ校からは、セドリック・ディゴリー(ロバート・パティンソン)がそれぞれゴブレットにより代表として選出される。

本来ならば、この三人の魔法使いの死闘が描かれるべきところを、なぜかゴブレットはハリー・ポッターの名を4人目として出してくるのだ。
そりゃ、ハリーなしでは物語が進まないことは分かるが、さすがにこの高校野球21世紀枠みたいな出場はありだろうか。三校対抗戦でホグワーツだけ2名出場って、主催者国有利判定疑惑のパリ五輪じゃないんだから。生徒がブーイングするのも無理はない。
◇
体育会系マッチョと美少女、爽やかイケメンとメガネっ子。分かり易いキャラ設定。セドリックはドラコのようなイジメっ子に見えて、なにげに優秀で人柄もよい出木杉くんキャラ。
演じるロバート・パティンソンは本作で注目され、『トワイライト』シリーズでブレイク。『THE BATMAN-ザ・バットマン-』にまでなる出世頭。ハリポタ出演は本作のみなのが惜しまれるが、こんな好人物が残ってたらハリーが霞んでしまうか。
大会の最初の課題は凶暴なドラゴンを相手に金の卵を奪取。映画ではハリーの試合しか登場しない。
そして舞踏会では男女のペアで参加するため、誰が誰を誘うかという、欧米の学園青春ものではお馴染みの場面がハリポタでも繰り広げられる。
ハーマイオニーがハリーとロンには異性として見られておらず、彼女はクラムに誘われるという設定は、青春ラブコメにありがちなパターン。
大会の第二の課題は、湖中で囚われの身となった大切なものを、水中人から奪還してくるというもの。1時間も潜っている必要があり、ハリーは鰓昆布を食べて水中でエラ呼吸できるようになる。まるでドラえもんの秘密道具だ。
ダニエル・ラドクリフがエラで変形する姿は、彼が主演した『スイス・アーミーマン』のよう。ちなみに、クラムが変身したサメ人間って『ザ・スーサイドスクワッド “極”悪党、集結』に出てくるキャラにそっくり。

ついに最後にあの人が復活
大会で最後に勝者となるのは当然強引に参加した主人公ハリーだとは分かっているが、最終戦の行方はそれなりに気になる。
そしてその先には、なんと<口に出してはいけないあの人>、ヴォルデモート卿(レイフ・ファインズ)の復活。それにしても、せっかく名優レイフ・ファインズを起用したというのに、鼻のないあのマスクじゃ、誰が演じているか分からないではないか。
◇
なお、今回の新キャラで最も目立ったのは、片目が義眼の闇祓いで教師として招聘されたマッドアイ・ムーディ、演じるのは大和田伸也かと思えばブレンダン・グリーソン。
こいつこそ、ハリーを大会に出場させヒントを与え、優勝させてヴォルデモート卿の復活のための生贄にしようと画策した張本人。
ただし、本物のムーディは囚われて幽閉されており、こいつは魔法省のバーテミウス・クラウチの息子(デイヴィッド・テナント)が魔法で変身した姿なのである。新キャラが登場時点からニセモノというのでは、見破りようがない。
終盤、ヴォルデモート卿が登場してからの展開が重たすぎて、さすがにお腹いっぱいだ。二本立てにするのは賛成しないが、序盤をもっと削ってでも、終盤に時間を割いた方がバランスがよかった気もする。