『アンカット・ダイヤモンド』 考察とネタバレ:ダイヤじゃなくて、主役はオパールの原石だけど

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『アンカット・ダイヤモンド』 Uncut Gems

こんなに凄みの効いたアダム・サンドラー、見たことない。どぎつい金の亡者の主人公は多額の借金地獄。しかも他人の金を拝借しては、せっせとNBAの賭け試合に突っ込む度胸のよさ。そこに力の源たるオパール登場。

公開:2020 年  時間:130分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:      ベニー・サフディ
       ジョシュ・サフディ

キャスト
ハワード・ラトナー: 
       アダム・サンドラー
デマニー: 
   ラキース・スタンフィールド
ジュリア: 
      ジュリア・フォックス
ケヴィン・ガーネット:    本人
アルノ:  エリック・ボゴシアン
フィル: 
キース・ウィリアムズ・リチャーズ

勝手に評点:3.0
(一見の価値はあり)

(C)Netflix. All Rights Reserved.

あらすじ

ニューヨークで有名な宝石商のハワード・ラトナー(アダム・サンドラー)はギャンブル中毒により借金を抱えていた。借金はハワードの義兄のアルノ(エリック・ボゴシアン)にまで及んでおり、ハワードはアルノの用心棒から常に監視されている状況だった。

ある日、ハワードはエチオピアで採掘されたブラック・オパールを手に入れた。そのオパールはNBAのスター選手ケヴィン・ガーネット(本人)の興味を引き、ハワードはオパールの取引をすることになった。この取引で一攫千金を狙うハワードは、あらゆる面でリスクの高い賭けに挑むことになる。

レビュー雑記(ネタバレあり)

相変わらず、A24は尖がってて不思議な作品を世に出してくる。

冒頭にエチオピアで採掘されたオパール原石の散りばめられた塊。すぐに舞台はNYのダイヤモンド・ロウに移り、あこぎな商売で儲ける宝石商のユダヤ人ハワードが登場。

預かった宝石を質に入れて作った原資で賭けバスケにビッドし、それで更に宝石を仕入れ、みたいな自転車操業で宝石店を切り盛りしている。

運よく入手したオパール原石を、顧客のNBAセルティックス選手KG(本名で本物が出演)が欲しがるものだから、競売にライバルを仕込み高値で売ろうとして失敗。

なお、賭けに出てくるセルティックスの対戦相手はいつもシクサーズ。この年のNBAは、両チームが優勝を争い、KGが活躍したシーズンだったとか。

終始一貫してハイパワーでお下劣な男をアダム・サンドラーが熱演、『靴職人と魔法のミシン』或いは『マイヤーウィッツ家の人々(改訂版)』あたりの草食系キャラからの振幅がすごい。普段見慣れているコメディ映画のサンドラーとは、まるで別人だ。

ただ、ひたすらに金の亡者となって、返済に追われるこの人物は、正直いって人間としては褒められたものではなく、まあ、勝手にボコられて野垂れ死んでくださいといったキャラクターの方が近い。

映画としてはハワードとその周辺の暴力系な人たちの迫力に気圧されてつい高く評価してしまうが、共感できる要素はあまりない。

(C)Netflix. All Rights Reserved.

借金取りに追われるハワードは、NBA賭博で一攫千金の賭けに出る。

彼の小さな店には入口との間が防弾ガラスのデッドマンズドアになっている。入室前に通過が必要な極小の空間だ。外から入ってきたドアを閉め、店の誰かに開錠してもらわないと、先に進めない。

序盤からやけに何度も、そこを出入りするシーンを見せると思っていたら、終盤ではその構造に意味を持たせていた。ここを使った展開は、本作における白眉。

アンカットのオパールには不思議なパワーが宿っている。オープニングとエンディングには、そのオパールが主役となる。オパール原石だから原題のままアンカット・ジェムでいいと思うが、邦題はなぜかダイヤモンド。

宝石映画といえば中高年には思い浮かぶ『ピンクパンサー』がダイヤだから? んな訳ないか。まあ、舞台がダイヤモンド・ロウなので、嘘ともいえないけれど。