『デッドプール』『デッドプール2』|俺ちゃんの活躍を一気通貫レビュー | シネフィリー

『デッドプール』『デッドプール2』|俺ちゃんの活躍を一気通貫レビュー

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『デッドプール』(2016)
『デッドプール2』(2018)

『デッドプール』
 Deadpool

マーベルヒーローで類のない型破りキャラ、無敵の男デッドプールのスピンオフシリーズ。

公開:2016年  時間:108分  
製作国:アメリカ

スタッフ 
監督:         ティム・ミラー
キャスト
ウェイド・ウィルソン/ デッドプール:

          ライアン・レイノルズ
ヴァネッサ:    モリーナ・バッカリン
フランシス/ エイジャックス: 

            エド・スクライン
エンジェル・ダスト:  ジーナ・カラーノ
ウィーゼル:        T・J・ミラー
ブラインド・アル:  レスリー・アガムズ
ネガソニック・ティーンエイジ・

 ウォーヘッド:ブリアナ・ヒルデブランド
ドーピンダー:      カラン・ソーニ

評点:3.0
 (一見の価値はあり)

(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

あらすじ

好き勝手に悪い奴らをこらしめ、金を稼ぐヒーロー気取りな生活を送っていた元傭兵のウェイド・ウィルソン(ライアン・レイノルズ)は、恋人ヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)とも結婚を決意し、幸せの絶頂にいた矢先、ガンで余命宣告を受ける。

謎の組織からガンを治せると誘われたウェイドは、そこで壮絶な人体実験を受け、驚異的な治癒能力と不死の肉体を得るが、醜い身体に変えられてしまう。ウェイドは、赤いコスチュームを身にまとった「デッドプール」となり、人体実験を施した張本人のエイジャックス(エド・スクライン)の行方を追う。

一気通貫レビュー(ネタバレあり)

マーベルのヒーロー映画で、ここまで悪ふざけした作品があっただろうか。誰一人として出演者の名前を出さないオープニングのクレジット画面から、ヒーロー映画そのものをバカにしまくる。そして謎の無責任R指定ヒーロー、デッドプール(ライアン・レイノルズ)登場。

『ガーディアンズ・オブ・ギャラクシー』のアライグマなんかも、口の悪いキャラではあるが、デッドプールには敵わない。

映画初登場は『ウルヴァリン X-MEN ZERO』、本作と同じくライアン・レイノルズウェイドを演じていたのだが、当時はどうみても手抜きデザインのヴィランであり、まさかこんなスピンオフ企画が生まれるとは思わなかった。

確かにあの作品でウルヴァリン(ヒュー・ジャックマン)セイバートゥース(リーヴ・シュレイバー)の最強兄弟と互角以上の戦いを見せるのだから、強いのはよく分かった。だが、とてもピンで主役を張れるキャラだったとは。

もっとも、さすがに同じ見栄えでは冴えないと思ったか、本作では血がついても目立たない赤のタイツスーツに身を包み、自分をこんなミュータントにしてしまった憎き宿敵フランシス(エド・スクライン)を復讐のために追い回す。

まあ、それにしても強い。撃ちまくり、斬りまくり、暴れまくる。そのうえ、ウルヴァリンと同じ回復能力を持ちながら、彼のように無益な戦いを避けることのない、好戦的なミュータントなのだから、これは扱いづらい。

そして、最大の特徴は、いわゆる「第四の壁」を越えてスクリーンから観客に終始語りかけること。同じことをするマーベル・ヒーローが皆無だったわけではないが、ここまでのべつ幕なしに喋ってくるキャラは珍しい。

(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

さて、映画はこのデッドプールが、まだウェイドというただの陽気でうるさい男だった二年前に遡る。

あまりキャラが変わらないのと、昔から悪い奴を懲らしめてカネを稼いでいた生活ぶりからつい忘れてしまうが、この頃はまだウェイドは生身の人間だ。

恋人のヴァネッサ(モリーナ・バッカリン)と楽しく暮らしている。ところがウェイドは末期ガンに冒されてしまい、治療のためにウェポンXプログラムの人体実験の被験者に志願してしまう。

(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

拷問のような責め苦で能力を覚醒させられ、驚異的な治癒力でガンを克服したまでは良かったが、全身の皮膚は焼けただれ、デッドプールへと変貌してしまう。

こんな姿ではヴァネッサにも会えないと彼女の前を去り、彼はフランシスへの復讐に走る。『ウルヴァリン X-MEN ZERO』では想像もしなかったサイドストーリーだ。

あの作品では、黙ってさえいれば最強の兵士だったウェイドが、パワーを求めて人体実験に志願したのだと思っていたが、その陽キャには似合わない、こんなシリアスな過去があったのだ。

ストーリーそのものはシンプルで、敵陣営はヴァネッサを人質にとってデッドプールを返り討ちにしようと待ち構えるフランシスとその相棒の女ミュータント、エンジェル(ジーナ・カラーノ)

一方、デッドプールの援軍は、銀色の巨人コロッサスと坊主頭の少女ネガソニック・ティーンエイジ・ウォーヘッド(ブリアナ・ヒルデブランド)。二人とも「恵まれし子らの学園」から来たX-MENのメンバーだ。

(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

もっと、メジャーなミュータントはいなかったのか?」と思ってしまうが、本家「X-MEN」シリーズのメンバーはみんな、契約の関係で出られなかったのか。

「ほかにX-MENメンバーはいないのか。予算のせいか。プロフェッサーと話そう。マカヴォイ、スチュワート、どっちだ?時系列が混乱して」とデッドプールが言うのには笑。

この助っ人二人も十分強いのだけれど、コロッサスがCGキャラなのは魅力半減。やっぱり、実際に俳優が演じていないと、イマイチ感情移入できないなあ。

(C)2016 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

ライアン・レイノルズは、『ウルヴァリン X-MEN ZERO』から本作公開の間に、DCコミックのヒーロー『グリーンランタン』の主人公を演じている。

「グリーンのコスチュームはやめてくれよ」というのは、その主演が黒歴史だからなのだが、それは確か、次作でもこき下ろされる。