『ブラッド・ダイヤモンド』
Blood Diamond
ブラッドダイヤモンドの社会問題に斬り込むレオナルド・ディカプリオ。
公開:2006 年 時間:143分
製作国:アメリカ
スタッフ
監督: エドワード・ズウィック
キャスト
ダニー・アーチャー:
レオナルド・ディカプリオ
ソロモン・バンディー:
ジャイモン・フンスー
マディー・ボウエン:
ジェニファー・コネリー
勝手に評点:
(一見の価値はあり)
コンテンツ
あらすじ
内戦状態にあるアフリカのシエラレオネ共和国。漁師ソロモン(ジャイモン・フンスー)は妻子と暮らしていた村を反政府軍RUFに襲撃され、ダイヤ採掘場での労働を強制される。
ある日、彼は大粒で高価なピンク・ダイヤを発見するが政府軍が採掘場へ乱入。ソロモンは刑務所へ連行される前にダイヤを森に隠す。
一方、同じ刑務所に投獄された密売人ダニー(レオナルド・ディカプリオ)は、ソロモンがピンク・ダイヤを見つけたと噂を聞き、ダイヤの引き渡しと条件に彼を釈放させようとする。
今更レビュー(ネタバレあり)
ブラッド・ダイヤモンドとは、紛争の資金源となるダイヤのことだ。
ダイヤを売った資金で武器を購入し、内戦が激化する。
舞台となっているシエラレオネでは内戦で、反政府軍が地元民を強制労働させたり、麻薬漬けで少年兵を仕立てたり、襲撃した村人の手足を切断したり、目を覆いたくなる惨劇が繰り広げられていた。
◇
映画が公開されてから10年以上が経過し、この惨状を改善させるべく新たな枠組みが制定されているようだ。
改善されたことを祈りたいが、映画はこの社会問題を真正面から取り上げた点で意義深い。
フィクションでありレオナルド・ディカプリオが主演している以上、ある程度の脚色やエンタメ要素が入るのは仕方ないと思うが、それはほどよい具合に抑制されていたのではないか。
少なくとも、問題に真摯に向き合っている作品だった。
米国人女性ジャーナリストとして、ジェニファ―・コネリーが登場するが、けして状況を無視してレオと恋愛ムードに浸るような、浮世離れした展開ではない。
二人は互いに牽制し、利用しあう打算的な関係であったが、最後には恋愛関係とも呼べる信頼の絆がうまれる。
この映画の前後でレオナルド・ディカプリオの演技が比較できるほど記憶が定かではないが、本作あたりから、ただの二枚目俳優ではなく、重厚な役もこなせる役者に成長してきたのかもしれない。
◇
ソロモン(ジャイモン・フンスー)とその家族たちの存在によって、市民の悲痛な叫びはよりリアルなものに感じられた。
愛する息子が洗脳されて自分に銃口を向けるようになる衝撃は、想像を絶する。シャブ漬けの少年兵たちが、兵器で市民に発砲する姿は、悪夢でしかない。
マーベル映画慣れしてしまった身には、みんなが激しく争って取り合う<石>は、宙に浮いたり、激しく光ったりするものだと思ってしまう。
淡いピンクのガラスの破片のようなピンクダイヤモンドの原石は、いくら貴重なものとはいえ、ちょっと映像的には物足りなさを感じてしまった(かと言って光らせる訳にもいかないだろうが)。
◇
ラストでヴァン・デ・カープ社の金庫に格納されるところで、ようやくピンクダイヤが貴重な品にみえた。ヴァン・デ・カープ社は、デビアス社がモデルだろうか。
「婚約指輪は給料3か月分が目安です」とか「スイート・テン・ダイヤモンドだ!」とか、高いのを買わないと肩身の狭い、過酷な時代があったのを思い出す。